2021年2月18日木曜日

写真の撮り方とコツ

ビギナー向け:写真を上手く撮る方法



 カメラで写真を撮り始めたころは、いろいろ設定が難しそうで、ついカメラ任せのオートですべて済ましがちです。近頃のカメラはオート設定もかなりカメラの判断の精度があがってきて、本当に余計な事をしないほうがいいシチュエーションも多々あります。


 しかしせっかくいいカメラを買ったのなら、できるだけ自分がコントロールして狙ったとおりに撮りたくなるものです。はじめはなかなかうまく撮れずにイライラします。なんでこんなピンボケなんだろう? 白飛び、黒潰れがひどすぎる? 見たままに色にならない!
 そんな悩みが膨れ上がり、挙句は「このカメラ初期不良?」などと疑ってみたりもします。でもやがて経験をこなせば自分の設定が如何に間違いだらけであったかに気付くはずです。
 今回はそんな遠回りをせず、できるだけ効率よく撮影が上達するテクニックや心がけを網羅してみました。私自身が昔カメラ講座で学んだことや、勤務先の撮影スタジオで自明のごとく行っていたルーティンを見て得たものをヒントに書き改めてみました。またいくつかのネットの情報も参照にさせていただきましたので、一部以前書いたものとの重複もありますのでご了承ください。


上手くなる写真:前編

・構図の基礎

主題を選ぶ

 写真の焦点とは、興味を引く主要なポイントのことです。それは空でも、建物でも、人でも何でも構いません。フォーカルポイントを見つけることは、写真を撮るための基本ステップの一つです。撮影を計画したり、撮影の準備をしたりするときには、立ち止まって「何に注目してほしいか」と自問してみましょう。

 何に焦点を当てたいのかがわかれば、それをできるだけ強くなるよう心掛けるようになります。以下の構図のルールを参考にして、見る人の注意を引きつけるフォーカルポイントを作ってみましょう。


3分の1の法則に従う



 フォーカルポイントを写真の真ん中に配置するのではなく、3分の1の法則に従えば、より面白い構図を作ることができます。このルールでは、写真の中で最も重要な要素を中心から外れるように配置する必要があります。

 フレームを縦横9つのブロックに分割し、これらの線に沿って、またはそれらが交差する4つのポイントのいずれかに配置する必要があります。
 これは、プロの撮影方法を学ぶ最も簡単な方法の一つです。このガイドラインは、メインの被写体と背景の間のより良いバランスを見つけるのに役立ちます。


リーディングラインを使う

                                      


 リーディングラインとは、見る人の目をフォーカルポイントに誘導するのに役立つ、写真の中の線の形のことです。道路、フェンス、建物、長い廊下、木、影など、写真の中に線を作るものなら何でも構いません。
 要は見る人の注意をあなたの狙ったポイントに引き寄せることです。これには、見る人の目をまっすぐに被写体に引き寄せたり、構図の中で視覚的な旅をするように誘導したりすることが含まれます。

 また、導線の方向によっても構図の雰囲気を変えることができます。例えば、垂直方向の導線は力強く、堂々としたムードを伝えることができますが、水平方向の導線は静けさや静けさを連想させる傾向があります。



遠近法で考える

 遠近感は、写真の構図に大きな影響を与えます。撮る角度や距離を変えるだけで、写真の雰囲気や意味を大きく変えることができます。
 簡単に言えば、同じ被写体を上から撮った場合と下から撮った場合です。鳥瞰図で撮影すると人物が小さく見えますし、下から撮影すると同じ人物がそびえ立っているように見えます。遠くから撮影すると人物が小さく見えますし、近くで撮影すると迫力が伝わってきます。
 撮影する際には、遠近法を考えることに時間をかけてみてください。被写体の周 りを歩き回って面白いアングルを探し、それが構図の雰囲気をどれだけ劇的に変えることができるかを確認することです。そうすれば、プロの写真の撮り方に一歩近づくことができます。



奥行きを作る

 深みを伝える方法を見つけることは、プロの写真の撮り方を学ぶ上でもう一つの重要なステップです。このルールを無視すると、あなたの写真は非常に平坦で退屈なものになってしまいます。奥行きを伝えるための最良の方法は、前景、中景、背景にいくつかの要素を含めることです。例えば、壁を背にして人物を撮影するのではなく、カメラに近づけたり、背景に奥行きを持たせたりしてみましょう。



ボケを使って被写体を浮かび上がらせる

 あなたの写真に深みを加えたい場合、ボケ効果を追加することが有効です。ボケとは、多くのプロの写真に見られる、意図的なボケ効果のことです。多くの場合、写真家はこの効果を使用して、背景がソフトでぼやけているかわりに、被写体を鮮明でクリアに浮き上がらせます。
 最も簡単な方法は、被写体をカメラに近づけて、遠くの背景の前で撮影することです。ズームレンズがあれば、さらに良いでしょう。焦点距離を最大にして使うことで、被写界深度を小さくし、より強いボケ味を出すことができます。


写真を額縁化する

 フレーミングは、プロの写真を撮るのに役立つもう一つのテクニックです。これは、額縁効果といって、被写体がまるでその枠の中にあるように撮影することです。例としては、出入り口、アーチ、葉っぱ、壁の穴などがあります。このようなフレーミングは、見る人の注意をフォーカルポイントに向けるのに役立ちます。

 また、フレームがカメラの比較的近くにある場合は、前景レイヤーとして機能し、画像に奥行きを加えることができます。背景にボケ味を出すのと同じように、手動でフォーカスを合わせて中間地点の被写体にズームインすると、フレームの焦点がずれてしまうことがないので、ピントが合っていない状態を保つことができ、ピントが合わなくなることがありません。


フレームを埋める

 写真教室の学生がプロの写真の撮り方を教わるとき、よく「フレームを埋めろ」と言われます。メインの被写体の周りにスペースを空けすぎると、背景に気が散って構図が崩れてしまうので、これはとても良いアドバイスです。

 例えば、ポートレートを撮るときには、腰から上の人だけを入れてもいいですし、顔だけを入れてもいいかもしれません。不要で余分なスペースを切り取ることで、より魅力的でプロフェッショナルな写真になります。



パターンとシンメトリー

 写真にパターンや左右対称の要素を入れると、より目を引く写真になります。人間はパターンを見抜く傾向があり、それが写真にパターンを含める理由の一つでもあります。最初のステップは、あなたの被写体が見えるように十分な光を持っていることを確認することです。十分な光がない場合、カメラはシーンの詳細をキャプチャするのに苦労するかもしれません。

 
 

 以下、後編に続きます。












2021年2月17日水曜日

Nikonの逆襲はあるのか?

 よみがえるニコン



 ミラーレスカメラのシェア争いで老舗ニコンの苦境が取り沙汰されていますね。早くからデジタルカメラの将来性を見極めて軸足をミラーレスにシフトしていたソニーとは対照的に、ニコンはなかなか本格的なミラーレスカメラの開発を急ぎませんでした。世間一般でもミラーレスはミラーレス、一眼レフ主流の流れは当分変わらないだろうと思っていました。でもソニーが次々とフルサイズミラーレスの新製品を投入し、a7 IIIの大ヒットあたりから潮目が変わってきました。目の肥えたカメラファンも、「お、ミラーレス。しっかり使えるようになってるよ」と見直しはじめ、使い勝手の良さもあいまって、新しくカメラを求める層にもミラーレスの宣伝攻勢にぐらりと心を持っていかれました。

 これはいかんと、キャノンもAPS-Cの土俵でEF-Mマウントのミラーレス、EOSシリーズを出してきましたが、カメラファンの話題の中心はすでにフルサイズへと移っていました。いまかいまかと待ちわびるキャノン贔屓、ニコン贔屓のユーザーたち注目の中、2018年、キャノンはEOS Rを、ニコンはZ6、Z7を登場させました。ここに堂々のミラーレス三国志時代の到来かと思われたのです。

 ところがそれからまだ二年余りですが、三大メーカーの明暗ははっきり分かれてしまいました。やはり出遅れ感のあるキャノン、ニコンは技術面での半歩遅れがつきまとい、いまでも総合力でソニーaシリーズの先進性が抜きんでています。とりわけオートフォーカスやISOのデジタルテクノロジー開発の勢いはすさまじく、新製品が出るたびに性能の自己更新を繰り返し、他社の追随をゆるさない状態です。二年たってキャノンはようやく大御所の意地を見せ、描写能力の優れたEOS R5、R6で大きく巻き返しを果たしました。

 一方のニコンはというと、Z7 II、 Z6 IIという意欲作をだしたものの、目玉となるような追加機能に欠け、単なるマイナーチェンジのような印象を与えてしまったのは残念でした。決してライバルに見劣りするようなカメラではないのですが、王者ニコンに名に相応しいような圧倒的な一台がいまだ表れていない、そんな感じがしてしまうのです。加えてニコンの製造工場が日本からなくなるなどの寂しいニュースが「劣勢」というイメージを決定的に与えてしまっている、そんな現状です。

 しかし天下のニコンです。このまま黙ってずるずると万年三位の座に安住するつもりでは決してないでしょう。というか、一眼レフ機ではしっかりとD780という鉄板シリーズの最新鋭機をしっかり予定通り出しています。

 オールドカメラファン、と言っては失礼ですが、長年付き合ってきたカメラの使い手をないがしろにしてまで、ミラーレス一辺倒の時流に流れて行かないのが、トップメーカーとしての矜持だと思います。ニコンはこれからも最高の一眼レフ機を出し続けるでしょう。それと並行しながら、ミラーレスでも最高水準のカメラを出していくのは至難のことかと思います。でもその挑戦をやめないのが王者ニコンだと思うのです。

 ニコンは今後必ずミラーレスの市場でも盤石の布陣を敷いていくと思われます。確かにカメラが売れない時代になって財政的な苦境は免れないでしょう。それでもニコンはたとえ他社より開発ペースが遅くとも、着実にミラーレスのノウハウを蓄積し、ニコンらしい、と言われるような独自のミラーレス機を打ち出してくれるはずです。なにより基本性能は今出ているZシリーズでも十分堪能できる性能になっています。多くの人がニコンの色を再現するZに好感を持っています。


Nikon:待たれるフラッグシップ機と格安エントリー機

 ここからは希望的予測ですが、ニコンからもフラッグシップ機を早く見たいという声が多いのですが、これはまだ先の話になりそうです。キャノンのR5に相当する、Zシリーズの最高峰ということになるでしょうが、これはもう少し時間を要する模様です。そのかわり2021年は超高感度機が出るのではとの噂ですね。ソニーのa7S IIIのような圧倒的ISO値を誇るハイアマチュア向けカメラは市場にとってもいい刺激剤になるでしょう。

 一方、個人的にはフルサイズでなおかつ初心者にもやさしい、無敵の入門カメラが出てほしいと期待しています。例えば、APS-C機 Z50のようなやさしいインターフェースにCANON RPのような軽量小型ボディをくっつけてみる、とかです。一眼レフのD3000、D5000シリーズが旧機種扱いになったのは、エントリー機登場のサインともとれるので、期待は大です。

 いずれにせよニコンはライバル二社に後れをとっている現状を見過ごすはずはありません。今年後半以降に、必ずや新たな戦略を打ち出してくるはずです。


いまNikon Z6が買い



 Nikon初のミラーレスZ6のキットレンズ付きが安くなってきました。いまが買いごろかもしれません。eBayの中古市場では$1600前後で出回ってきており、状態がよければすごいお買い得です。このキットレンズ付きZ6、新品の平均価格はいま$2300ぐらいです。日本では新品で27万円ほど、中古でもまだ20万円前後ではないでしょうか。

 二年前の機種ですが、現役として十分すぎる高性能なフルサイス・ミラーレスです。


Nikon Z6主なスペックは以下の通り

撮像画面サイズ : 35.9×23.9mm(フルサイズ)

映像素子型式 : CMOSセンサー

有効画素数 : 2450万画素

オートフォーカス方式 : ハイブリッドAF

測距点 : 273点

常用ISO感度 : ISO100~51200

シャッター速度 : 1/8000~30秒、バルブ

連写性能 : 最高約12コマ/秒(拡張機能使用時)

ボディ内手ブレ補正 : イメージセンサーシフト方式5軸補正

画面 : チルト式3.2型/約210万ドット

通信機能 : Wi-Fi/Bluetooth

大きさ : 134×100.5×67.5mm

質量 : 約675g




  ニコンのミラーレスカメラは、軽量かつ小型のボディにデジタル一眼レフのような機能を搭載するように設計されています。

 最初の2機種のフルフレームミラーレスモデルを発売することで、ニコンはあらゆるタイプの写真家のニーズを満足させることを目指していました。Z7は4,570万画素の超高画素センサーを搭載していますが、その分、価格が高くなっています。そのため、多くの熱心な写真家がより手頃な価格のZ6を選んでいます。

 このカメラは、24.5メガピクセルBSI CMOSセンサー、273点と90%のカバーする新しいハイブリッドAFシステム、および100から51,200(なんと204,800に拡張可能)のISO感度範囲が含まれています。

 さらに、Z6は12fpsバーストモード、フルフレーム(クロップなし)4Kビデオ、強力なボディ内5軸VR手ブレ補正、Zマウントレンズ、ニコンのデジタル一眼レフカメラを超える改善されたインターフェースなど、このカメラはあらゆる環境で素晴らしい動画や静止画を作成するための理想的な機能を備えています。

 Zシリーズは、Fマウントよりも11mm広く、フランジの焦点距離が短いニコンの新しいZレンズマウントを搭載しています。

 現在市場に出回っているZマウントレンズは、ニッコールZ 24-70 F4 S、ニッコールZ 50mm F1.8 S、ニッコールZ 35mm F1.8 Sなどですが、今後リストは確実に拡大していくでしょう。

 ニコンZカメラは新しいレンズマウントを使用していますが、FTZマウントアダプターを購入すると、すでに持っているレンズを使用できるようになります。これは、ニコンのデジタル一眼レフからZシリーズへの移行をはるかに容易にします。


ニコンZ6の外観
 ニコンZ6はマグネシウム合金のボディを持ち、その兄貴分のZ7と一見同じように見えますがニコンらしい堅実な設計が反映されています。

 カメラは、簡単に設定をナビゲートすることができます。タッチスクリーン、インターフェイス技術(3.2インチ、210万ドット)も使用しています。

 チルトスクリーンは、ハイアングルとローアングルでの撮影をはるかに簡単にする便利なオプションでもあります。また、0.80倍3.6mドットのEVFや、カメラの設定を素早く参照できる上部のドットマトリクス有機ELなど、複数のディスプレイや画面が用意されています。

 ニコンZ6のデメリットとしては、XQDカードスロットが1つしかないこと。

 一方で、このカメラは高度な接続用オプションを備えています。HDMI経由で10bit出力の外部レコーダーに直接録画できるほか、8bitの4K動画ファイルをメモリーと外部レコーダーに同時に記録することも可能です。

 また、Wi-FiとBluetoothも内蔵しています。Bluetooth技術により、撮影したらすぐに2MBの写真を自動転送できるほか、より高画質な写真を手動で送信することも可能。SnapBridgeバージョン2.5でリモート撮影するオプションもあります。


 と軽く全体を見て回っただけでもかなり高い能力のカメラだとわかります。ついつい新製品に目が奪われがちですが、このようにニコンが最初に出したフルサイズ・ミラーレスカメラはなかなかの意欲作。中古市場でも一見の価値あり、です。

2021年2月16日火曜日

カメラマンになる方法

写真家への道:アメリカ編



 どんな仕事にも言えることですが、憧れだけではその職に就くことはできません。
 高価なカメラを持っていても写真家にはなれませんし、写真の専門学校を出ていても保証の限りではありません。では、どうやって人はカメラマンや写真家になるのでしょうか?

 私はアメリカで映像関連の会社に勤めていた頃、たくさんのプロ写真家や映像の専門家らから刺激を受けました。私自身はアシスタントとして撮影クルーに加わることから始まって、けっきょくグラフィック・デザインの部門に身を置くようになりましたが、つねにフォトグラファーやビデオグラファーと連携を組んで仕事をしていました。
 仕事場はニューヨークという事もあり、人種も性別も年齢も経歴も様々。フリーランスやバイトのスタッフも出入りする、いろんな立場の映像関係者を見てきましたが、ひとつだけ共通することがありました。それは映像の仕事がなにより大好き、という事です。

Do what you love and success will come.

 好きこそものの上手なれ、ということわざがありますが、まさにその現場は映像全般に対し、とにかく愛してやまないエネルギーに満ちていたのです。だからこそ意見の食い違いをあからさまに言い合ったり、仕事の上では強情で融通の利かない面々もたくさん見てきました。そういったマイナス面も含めて映像をこよなく愛さない限り、やっていけない世界だという事を覚えておいてください。あなたにそれほどの「思い」がない限り、この世界でやっていくのは難し事でしょう。





1:カメラ愛<写真愛

 映像関係の仕事をしていると、雑談でカメラ機材の蘊蓄を交わし合う場面をよく目にします。中には若くしてフィルムカメラや日本以外のライカやハッセルブラッドのカメラについても詳しい人がいました。その人は年に何台もカメラを買い替えるのですが、仕事以外で写真を撮ることはほとんどないそうです。こういう人はカメラというメカが好きで写真自体に執着のない人です。あなたがこのタイプならフォトグラファーの仕事はつらくなるのでやめておいた方がいいでしょう。
 逆に私の尊敬する職人的なカメラマンがいたのですが、その方はカメラをほとんど選びませんでした。会社にあるニコンのカメラならどれでもいい、写ればいいという感じの接し方でした。ただし手入れだけは人一倍時間を割いてました。いわゆる芸術的な写真を撮る人ではなかったけど、クライアントの要望に応じて、いかようにも対応できる奥深いスキルを持っていたように思えます。こういう人がカメラマンに向いているのだという事です。


 写真家を目指すならば、まず大切なのは写真を愛し、撮影を楽しめることです。本当に写真が好きな人は、初めから自然にグイグイ写真の知識を吸収していきます。なにも写真の専門学校へ行く必要はありません。カメラを手に外に飛び出して撮って撮って撮りまくることから、フォトグラファーへの道は始まります。

 映像で飯を食うのは狭き門です。四六時中写真のことが頭から離れず、何を見ても構図に収める癖がつくぐらいじゃないとやっていけません。
 まずはカメラのマニュアルを常時手元に置き、常に参照できるようにしておきましょう。いまならスマホにPDF版をダウンロードしていつでも見れるようにしておくと便利です。構図や露出などの基本的な用法を随時調べてみましょう。今どきはオンラインで初心者の写真講座などもありますから、独学するにはいい時代になりました。



2:欲張って写真を撮る

 写真家になるということは、仕事で写真を撮るということです。シャッタースピードと絞りのカメラ設定の違いを知ってからカメラを撮り始める必要はありません。よく入門講座で「絞り優先から始めよう」と書かれていて、確かに専門学校でもそう教わるのですが、絶対というわけではありません。だれもいずれはオートモードを卒業します。オートモードで撮影していても、撮影環境や構図のことは学べます。撮影後オートで撮った記録を見て、どの設定でどう写るのか学ぶのもいいことです。はじめは極力しばりを無くして自由に撮りまくり、撮影数をこなすのが上達の秘訣です。



3:カメラを使いこなす

 ある程度の撮影枚数(人により1000枚か1万枚か、それは自由です)をこなしたら、手持ちのカメラにどんな機能があるのか分かってくるはずです。それから改めて、マニュアルを熟読すると、ああ、こんな機能にこんな使い方があるんだ、と新鮮な発見もあるでしょう。そこからようやくそのカメラとの本格的な付き合いが始まります。

 ISOを最も早く調整する方法は何だろうか? 自分のカメラにはオートブラケット、二重露光、タイムラプス機能があるのか? 設定にもっと早くアクセスするやり方があるじゃないか、などという発見でカメラを見つめなおすことになるのです。

 機能が何でどこにあるかを理解するのと同時に、機材の限界を理解しておくもの良いでしょう。開放絞りで撮影しても、どこまでシャープなショットを撮れるのか? 新聞やプリントアウトされた写真を撮ってレンズをテストしてみてください。手持ちのレンズとの相性も考慮に入れながら、機材の能力を最大に引き出す撮り方に挑戦してみるのです。例えば、画像が粗くなりすぎて使い物にならなくなる前に、ISOをどこまで上げることができるか試してみましょう。機材の限界を知ることで、エントリーレベルのカメラでも、より良い写真を撮ることができるようになります。





4:基礎をマスターする

 オートモードが悪いことばかりではありませんが、本当に写真家になるためには、オートモードを卒業して、自分で撮影設定できるようにならねばなりません。それは、露出の3つの基本を学ぶことを意味します:シャッタースピード、絞り、ISO。それぞれの設定は、画像の明るさや暗さ、ピントの合っている範囲などに影響を与えます。私も恥ずかしながら初心者の頃は、絞りと被写界深度という重要な概念を理解するのに時間がかかりました。

 露出と一緒に、ピントの合わせ方や構図の基本を学びましょう。これらは、自分がクリエイティブにコントロールできる写真を撮り始めるためのものです。一度にすべてに取り組む必要はありませんが、初心者から写真家になるためには基礎をマスターする必要があります。


5:写真を撮り続ける

 新しいスキルを身につけるためには、クラスでも、書面によるチュートリアルでも、指導者の指導でも、撮影を続け、そのスキルを実践していくことが大事。絞りの定義を暗記するだけではなく、カメラを絞り優先モードにして、同じ画像をいくつかの異なる絞りで撮影してみましょう。そして、その変化が最終的な画像にどのような影響を与えたかを見てみるのです。YouTubeなどに、よくレンズ別の比較画像などが紹介されていますが、あれを自分でも作ってみるのです、そうすることで設定ごとの結果の違いが自分でもよく分かるようになります。
 授業で(またはチュートリアル、本、先輩から)学ぶのもいいですが、実際に実践してみることで、そのスキルがより強固なものになり、概念を実践的な知識に変えることができます。どこに行くにもカメラを持って行き、インスピレーションを受けたものを撮り続けましょう。練習すればするほど、初心者から写真家への移行が早くなります。



6: スキルを絞って集中学習

 たとえば照明をマスターしたいとします。じっさい照明をマスターしなければ、ある意味素晴らしい写真を撮ることは不可能です。運良くすでに素晴らしい光の中で被写体を撮影することもありますが、仕事上では常に照明に恵まれているとは限りません。
 ライティングをマスターするためには、いかなる現場でも撮影できる方法を知っておかねばなりません。逆光でシルエットにならないように撮影するにはどうすればいいのか? 反対に逆光を使ってシルエットを作るには? サイドライティングとフロントライティングの違いは・・・などなど。
 いかなる照明環境でも撮影できる方法を学ぶとともに、フラッシュやストロボ、あるいは反射板を使って光を操作する方法を学ぶことは、プロを目指す写真家にとって不可欠なことです。フラッシュの光量や角度を調整すると、被写体の見た目がどのように変わるのか、知ることは重要です。何十万もする高価な照明キットが必要なのか体験し、工夫次第ではわずかな投資で撮影環境を変えることも可能だと考えるのです。
 イマドキの若い人なら、オンライン写真クラスを受講し、便利なツールなどを使用することで、照明に関する専門的な知識をパソコン上で取得することもできるでしょう。




7: 何を撮りたいのかを絞る

 写真家といえども、あらゆるジャンルの写真を撮るという人は稀です。大抵は区分けされた撮影ジャンルの中で仕事をします。まずあなたがどんな、というよりもっと限定的に、仕事としてどの写真を撮るのか決めて、そのコースに乗っ取って修行していきましょう。

 報道写真家、スポーツ写真家、山岳写真家、モデル撮影、ウェディング・フォトグラファー、建築写真家、動物写真家、星空撮影家、広告撮影などなど・・・じつにさまざまな撮影カテゴリーがあります。その中で自分が撮りたい対象を絞り、そこを目指して撮影をかさね、ポートフォリオを作っていきましょう。誰にでも、漫然となんでも撮る時代からステップアップする時が必ずやってくるものです。

 まずは自分の好きな分野から始めて結構です。ただし繰り返しますが、撮影の仕事は、門戸はたくさんあっても広くはないのです。たとえスポーツ写真を撮るのが好きでもそこに職業として入り込む余地はあまりないのが現状。まずはニッチな分野から模索し、それを得意分野に育てあげるもの写真家への近道です。例えば、あなたの通勤圏内に不動産撮影の仕事があれば、チャレンジしてみるのです。かわいい動物が撮りたいあなたであっても、建築物を撮ることで、あなたの才能が開花することもありえます。そしてカメラを撮り続けさえすれば、いつか必ず自分の撮るべき本当の対象が見えてくるはずです。



8:撮影後の仕事

 フィルム時代には考えもしませんでしたが、写真編集はそれ自体が芸術とみなされる時代になってきました。いくつかの用語は同じであるが、カメラを操作することとPhotoshopを実行することは、似て非なる役割です。PhotoshopとLightroomは写真編集のための最も人気のあるツールですが、学ぶには時間がかかります。それだけにスキルを習得することは、仕事でのアドバンテージになります。これらをしっかり身に着けることは将来的にも、写真を学ぶ上でも役立つことです。
 写真家が個々の撮影スタイルを持っているのと同じように、画像の編集スタイルはパソコン上でも適用されます。あなたのセンスが問われ、スキル次第で写真が別人のもののように蘇ります。今の時代、写真は撮影のみならず、グラフィックデザインの一部としても技術や知識が要求されるものだと思っていてください。




9:ビジネス戦略を立てる

 ほとんどのプロの写真家は、写真への情熱で働き続けます。 しかしプロとして撮影することは、ビジネススキルもないがしろにできません。純粋に撮りたい写真を撮るだけで生きていけたらいいのですが、現実はそうはいきません。上達したあなたのスキルと作品を売らなければ先に進めないのです。

 堅実に写真撮影のスキルを身につけることが最初のステップであり、次はビジネス戦略を練ることが成長のための必須ステップです。ポートフォリオを見直し、また同業者の作品を研究し、あなたのスタイルを見極めましょう。自分が他とどう違う仕事ができるのかを考えて、あなたのビジネスのためのブランド化を練るのです。あなたならではの写真スタイル開発をめざしてください。作風を練り、自分のスタイルを確立して世間に知らしめることは、写真家としての自分を成長させるセルフプロデュース業務なのです。  


まとめ

 カメラさえあれば写真を撮ることは誰にでもできます。しかし職業として写真の世界に飛び込むのは一筋縄ではいきません。写真家になる方法を探索することは、発見に満ちた旅のようなものです。その旅に乗り出す準備はできていますか? 時流を見極め波に乗るのか、まだ見ぬ道を切り開くのかはあなた自身です。カメラを武器にどこまでプロの世界に挑めるか、いまはただ撮り続けることが、あなた自身への最大の課題であります。

2021年2月15日月曜日

カメラ初心者向き:レンズのすすめ

写真ビギナー次のステップ

                            
                                       

 最初に一眼レフやミラーレスカメラを買う人は大抵キットレンズの付いたセットを入手するでしょう。キットレンズの多くは標準ズームレンズで、それはそれなりに便利に使えます。しかしそれで満足しないでください、きっとあなたのカメラの潜在能力はそれだけではありませんよ。より高性能なレンズと組み合わせることで、いままで得たことのない撮影領域をその目で確かめることができるはずです。



初心者のためのカメラレンズガイド

 カメラのレンズは、写真を撮る上で最も重要なものと言えます。デジタル一眼レフカメラの標準レンズでも多くのことができますが、交換レンズを使えば、よりダイナミックな写真を撮ることができます。投資する価値は十分にありますので、写真初心者としてレンズを選ぶ際に注意すべき点を把握してみましょう。


レンズの役割
 カメラのレンズが行う大事な仕事は2つあります。カメラに十分な光を取り入れ、その光をカメラセンサー面にピントを合わせて当てることです。
 せっかく高性能なカメラを持っていても、暗いレンズや焦点の甘いレンズでは、カメラ本来の能力を引き出すことができません、逆に、そこそこの性能のカメラでも、優れたレンズと交換することで、目を見張るような写真に出会い可能性も出てくるのです。


カメラレンズの特性

焦点距離
 これは写真撮影において最も重要な特徴の一つです。焦点距離はレンズ自体の実際の外径とは関係ありません。
 焦点距離の特性は、レンズを向けている画像がどれくらい見えるか、どれくらい拡大されるかを示しています。焦点距離が短ければ短いほど、見えている部分が多くなり、拡大されている部分が少なくなります。

絞り
 これは、カメラに光を取り込むためのレンズの開口部の大小のことです。この機能は、写真の暗さや明るさ、写真の深さ、焦点が合っているかどうかなど、写真撮影において多くのことをコントロールします。
 絞りを小さくしたり大きくするためにレンズの上に丸められた小さなブレードのセットで、人間の目を模倣した動きをします。

 絞りは、f(f/2.8、f/4、f/8、f/16など)の文字を組み合わせた数字で表されています。これらは、レンズがどのくらい開いているか、または閉じているかを表しています。
 ここで気をつけたいのは、最大絞りです。これを目安にすれば、画像のどの部分にピントが合うか、ピントが合わないかをコントロールすることができます。


手ぶれ補正レンズ
 写真撮影における最も重要な技術革新の一つは、手ぶれ補正でしょう。この画期的な機構のおかげで、カメラマンは手ブレ以外のことに注意を注いで撮影することができるようになりました。

カメラのレンズの種類
 レンズにはざっくり分けると、焦点距離を変えられるもの(ズームレンズ)と変えられないもの(プライムレンズ)の2種類があります。

 プライムレンズの方が速いのでシャープに写る傾向がありますが、ズームレンズに比べると自由度が低いです。ズームレンズは、焦点距離を変えることができるので、何本も持っていく必要がないので、特に旅行には万能なレンズとして人気があります。どちらにも長所と短所があり、初心者には人気のあるオプションです。

 標準ズームのキットレンズに慣れてきて、次の段階にステップアップするなら、単焦点レンズがおススメです。とくにF値の低いf1.2からf2.8ぐらいの明るい単焦点レンズなら、ちょっと試しただけで、なんだか写真の腕前が上がったような気にさせられるほどいい写りを体感できるでしょう。


 下左の写真は単焦点レンズf1.7で撮ったものです。右は同じ条件で、標準ズームレンズのもっとも明るいF値(この場合f5.3)で撮ったものです。単焦点の方が、花束は明るく背景はボケの効いた写真となっております。

 このように、単焦点レンズの有利な点は、一般的に被写体に十分な光を与えられるため、被写界深度の浅い、メリハリのある写真が撮れます。シャッタースピードも暗い標準ズームよりも落として撮れる分だけ、余裕の撮影ができます。画角に制限ができますが、まずは自分にあった焦点距離のレンズを選んで、撮りやすい距離感を掴むことが上達への秘訣です。




カメラレンズのタイプ別分類
 レンズはその特性から見て分類できます。一般的には便宜上、以下のように大きくレンズを分けて呼んできます。

・広角カメラレンズ(10-35mm前後)
 広角レンズは、一般的に人間の目が見ることができる範囲よりも広い視野を提供します。風景や建築物などの広い範囲をカバーしたい場合は、このレンズをお勧めします。

・標準レンズ(35-85mm前後)
 このレンズは目の景色に似ています。そのため、自然でキレのある写真が撮れます。

・マクロレンズ(35mmカメラで50mm程度)
 マクロレンズは、特に自然界での接写に使用されてきました。植物や昆虫の細部を見るのに適した構成のレンズ群を採用しています。最近では料理のクローズアップやブツ撮りと言われる、商品をネットで挙げる際の写真を見栄えよくするために、高品質のマクロレンズが使われています。

・望遠(100-300mm以上)
 遠く離れた被写体を撮影するためのものです。スポーツ写真や野生動物の自然な姿を撮るときによく使われます。また望遠を使えば、写真の奥行きをなくして、圧縮効果と言って、写真をフラットに見せることもできます。

・魚眼レンズ
 すべての写真を魚鉢やスノードームで撮影されたように見せてくれます。

                                  


カメラのレンズを選ぶ

 たくさんのレンズの中からどれを選ぶのかは、簡単な作業ではありません。レンズを選ぶときに何に気をつけるべきか、いくつかのヒントをあげてみましょう。

サイズと重量
 常にレンズのサイズと重量を確認してください。高性能なレンズには非常に重たく大きいものがざらにあります。値段も一桁違ったりします。せっかく素晴らしいスペックのレンズを買っても、扱いづらくて使わなくなってしまうことがままありますので、見た目の大きさ、重さは意外に重要な選択要因となります。

互換性
 すべてのカメラがすべてのレンズと互換性があるわけではないです。買ってから自分のカメラでは使えないなどという事がないよう、事前に互換性をチェックしておきましょう。サードパーティ製の交換レンズを選ぶ場合も、物理的に同じマウントで交換可能であっても、相性の問題や一部機能が使えない準互換可というレンズもありますので、購入時は入念にチェックする必要があります。

レンズの特徴

 すでに述べたように、レンズで最も重要な機能は、焦点距離と絞りですが、それだけでなく、プライムレンズなのかズームレンズであるか、遅かれ早かれそこに着目することになります。
 撮ろうとする対象によってレンズは自ずと選別されていくでしょう。


レンズを最大限に活用するには
 
 さまざまな焦点距離を試してみる 

 絞りの範囲を変えて試し撮りしていきましょう

 写真に適した背景の選び方を学ぶ

 練習して撮った写真を自分で批判する

 写真を整理する

 撮った写真を編集することで、次の課題と必要なレンズが見えてきます。


まとめ
 数ある交換レンズの中から限られた予算の中で、ベストな一本を選ぶのは苦労も多いけど、探している間は楽しいものです。はじめは試しに、中古のレンズを買ってみるもの一つのやり方です。中古レンズを上手に買いそろえれば、高価な大三元レンズに匹敵するレンズの布陣を敷くことも可能です。交換レンズは将棋に例えれば自分の手駒。様々な作戦を練ってどのレンズで何を撮るのか考えることで、写真撮影の楽しみはより深まっていくでしょう。ビギナーの方、まずは明るいレンズを手掛かりに選んで、キットレンズにはない撮影領域を手に入れてみてください。

2021年2月14日日曜日

イチ押し:キャノン のミラーレス

キャノン EOS RP




 2021年2月現在、キャノンのフルフレーム・ミラーレスカメラEOS RPがお買い得になっています。フルサイズのミラーレスとして破格の安値でいま新品が買えます。あ、これアメリカでの話ですが、輸入してでも買っておきたい低価格です。アメリカはプレジデントデーに合わせて毎年セールをやるのですが、クリスマス以来のセールということで、家電全般がお買い時となります。

 私が注目したCANON EOS RPは、アマゾンやベストバイで1299ドル。これは「24-105mm f/4-7.1 IS STM レンズ」が付属したものです。とても安い!(ボディだけだと$899!)。価格ドットコムによるとこの同じモデル、日本ではいま平均価格が¥164,219となっております。それと比べてもアメリカの EOS RPは異常ともいえる安さです。ライバルと目されるSONY a7 IIIがいまだ$1900前後(キットレンズ付き)で売られているのに比べると、より新しいEOS RPがこの価格で買えるのは驚きです。邪推ですが、そろそろ後継機種が出るという噂もあるので、それを見越して在庫を一掃しようという、売り手の狙いがあるのかもしれません。たとえそうだとしても、


EOS RPの完成度はかなり高く、末永く使用できる一台となっております。

 この価格帯でフルサイズ・ミラーレスは皆無で、より小さなセンサーのAPS-C機でソニーのa6600やニコンのZ50が並んでしまいます。2020年4月の発売した比較的新しいフルサイズでこの値下がりぶりが、いかに異例かがわかります。

 EOS RPは日本でも半年ほど前から平均価格が徐々に下がっていく傾向にありましたが今年に入って急落しました。おそらく今が底値かと思います。でもアメリカはすでにそれをさらに下回る価格なので、買うならもう、今じゃないでしょうか。(在庫が掃ければ、おそらくまた元の価格に戻るでしょう)


 ではこのEOS RP、なぜこんなに安いのでしょうか?

 基本性能はほとんどキャノンの上位機種に引けを取りません。むろん画素数やシャッタースピード等は差別化を図っていますが、写り自体は同じ画像エンジンなのでそう大差がでるものではありません。製造コストで抑えられたのは、ボディ内手振れ補正がない、操作ボタンが少ない、などが挙げられるでしょう。アマゾンや価格ドットコムのレビューを見ても決して人気がないわけでもなく、むしろ高評価の方が目立ちます。

 一つには、マーケティングの問題があります。売る側はともすれば、ハイエンド機に力を入れて売りますし、買う側もどうしてもより高スペックの機種に目が映りがちで、メディア等のレビューも最新の上級機種を目玉にする傾向にあります。とりわけこのEOS RPが発売された時期が問題で、その前後数か月に、キャノンもソニーもニコンもハイエンドクラスのミラーレスを連発していたので、入門機的位置づけのEOS RPはすっかり埋もれてしまったわけです。

 しかしこの機種ほどフルサイズ・カメラ入門にふさわしいいカメラはありません。以前なら、一眼レフでキャノンのEOS 6DやニコンのD700系が人気、実力申し分なかったのですがEOS RPはそれらに匹敵する機能を持ちながら、軽量小型で操作系もより簡単になっています。フルサイズカメラの入り口としてまさに最適な一台となっているのです。

EOS RP 作例 1



 ではそのEOS RPの実力をスペックから見ていきましょう。


撮像画面サイズ : 35.9×24.0mm(フルサイズ)

映像素子型式 : CMOSセンサー

有効画素数 : 約2620万画素

オートフォーカス方式 : デュアルピクセル CMOS AF方式

測距点 : 4779点

常用ISO感度 : ISO100~40000

シャッター速度 : 1/4000~30秒、バルブ

連写性能 : 最高約5.0コマ/秒(ワンショットAF使用時)

画面 : 3.0型/約104万ドット

通信機能 : Wi-Fi/Bluetooth

大きさ : 132.5×85.×70.0mm

質量 : 約485g




 これをみれば、本格的にカメラを撮影するには十分なスペックと言えます。

RF24-105mm Lens F4-7.1 IS STM Lens Kit

 
 ではEOS RPの長所と短所を見ていきましょう。

EOS RPのいいところ


画質
 6D Mark IIと同様の光学ローパスフィルターを搭載した26.2MPのCMOSセンサーと、画像処理プロセッサ「DIGIC 8」を搭載しています。全体的に画質は優れており、実質的には6D Mark IIと同じ。生成される14ビットRAW画像は、キヤノンの美学を感じさせるシャープなもので、私たちが知っているキヤノンの美学と色再現性を備えています。

 また、新しい圧縮RAWフォーマット「C-RAW」を搭載しており、ファイルサイズを少し小さくしてディスク容量を節約することができます。
 連続撮影速度は、AFなしで5fps、AFありで4fps、トラッキングありで2.6fpsと、価格帯の割にはリーズナブルなレートを実現。


ビデオ画質
 最大24fpsの4K UHD動画、最大60fpsの1080p FHD動画を撮影し、スローモーション撮影が可能です。また、MPEG-4コーデックを使用して、互換性の高いMP4フォーマットに映像を記録します。最近リリースされたファームウェアのアップデートにより、発売時には欠けていたフレームレートである1080pでの24fps記録が可能になりました。全体的にこのカメラが生成する動画映像はシャープでメリハリがあります。
 また、ハイエンドのIPB圧縮方式に加えて、4Kで120Mbps、1080pで60Mbpsの強力なデータレートを提供しており、ビデオは後処理の調整に十分な余裕があります。
 連続撮影時間はこのクラスの多くのカメラと同様に、標準的な29分59秒のビデオ録画制限があります。
 

低照度時の性能
 ISO100から40,000までのネイティブISOレンジを備え、さらにISO102,400に相当するH2設定まで拡張可能です。ISO6,400までは、ポストプロダクションでのノイズリダクションを必要とせずに撮影が可能です。


フォーカス性能
 EOS Rと同様のオートフォーカスシステムを持っています。最大4,779点のAFポイントを搭載し、撮影エリアの80%をカバーします。また、キヤノンのデュアルピクセルCMOS AFを搭載しており、写真や動画のライブビューでスムーズにピントを合わせることができます。また、AF-CにはFace+TrackingとEye-detectが追加されています。

 最新のファームウェアアップデートにより、これらの機能の作動距離が改善され、長距離での撮影が可能になりました。全体的に、トラッキングの実装は優れており、以前よりも大幅に改善されています。オートフォーカス性能は速く正確で、EOS Rとほぼ同じです。
 マニュアルフォーカスのためのフォーカスピーキング機能と拡大機能を搭載し、正確なピント合わせが可能です。


モニターとファインダー
 3.0インチのバリアングルTFTタッチスクリーンLCDを搭載しています。解像度は104万ドットで、画像領域を100%カバーします。タッチ反応は良好で、クリアビューIIコーティングにより、屋外での明るい場所での使用で反射防止を実現しています。タッチスクリーンには、タッチフォーカス、ドラッグフォーカス、タッチシャッター、ピンチでズーム、フルメニューナビゲーションなどの機能も搭載されています。

 
ファインダーは2.36Mドットの解像度と0.7倍の倍率で、EOS M50などと同様の電子ビューファインダーを採用しています。EOS Rのような360万ドットのパネルではありませんが、日常的に使用するには十分以上のシャープさを持っています。また、アイレリーフ、正確な色再現、60Hzのリフレッシュレートで待ち時間を短縮しています。


ユーザーインターフェース
 キヤノンの標準的なメニューを備えており、初めての人にもなじみやすいでしょう。メニューはよく整理されていて、ナビゲートしやすく、直感的に操作できます。また、このカメラは完全なタッチ対応のインターフェイスを備えており、キヤノンはこのスタイルの入力に見事に成功しています。元々キヤノンは優れたタッチスクリーンインターフェースで知られていますが、このカメラもその期待を裏切りません。
 軍艦部には
3つのカスタム撮影モード、C1-C3を備えています。また合計12個のカスタマイズできる物理ボタンを搭載しています。さらにカスタマイズ可能なマイメニューを搭載しており、最大6つの最上位アイテムとカスタム機能が利用可能で、合計で最大5つのメニュータブが存在します。


レイアウトとデザイン
 このカメラはEOS Rよりも小さくて軽い。当然のことながら、EOS Rはキヤノンがこれまでに発売したフルフレームカメラの中で最も小さく、最も軽いカメラであり、ボディのみの重量はわずか440gです。しかし、その小ささゆえに、よりわかりやすいデザインになっており、初めての人にも十分に使いやすいカメラになっています。

 ボタンはしっかりとしていて、手触りが良いです。すべてのボタンの配置は考え抜かれていて、かなり戦略的です。また、レイアウトも不要なものはなくごちゃごちゃしているとは感じません。要するに、このカメラは操作性が良く、使い心地がベターなのです。

 EOS RPは、マグネシウム合金のシャーシをポリカーボネートプラスチックで囲んだ構造を採用しています。この構造により、6D Mark IIと同レベルの耐候性を実現しています
。しかし、手に持ってみると、RebelシリーズのボディやEOS M50を彷彿とさせます。
 2つのコントロールダイヤルは、どちらも金属製でグリップ力を高めています。


その他の特徴
 Wi-FiとBluetooth接続を内蔵しており、ワイヤレスでの画像転送や遠隔操作にも対応しています。Bluetoothでは、ペアリングしたスマホを使って自動的にGPS情報を埋め込むこともできます。
 またUSB-Cポートを搭載しており、バッテリーバンクや他のアクセサリーを介してUSB充電をサポートすることができます。
 フォーカススタッキング機能を内蔵しており、撮影枚数(最大999枚まで)や撮影間隔をカスタマイズすることができます。
 マイク入力・
ヘッドフォン入力を搭載しています。
 完全無音の電子シャッターに切り替えられます。
 UHS-IIカードをサポートし、より高速な読み書きが可能です。
 
 などなど。

EOS RP 作例 2

      

EOS RPのイマイチなところ

画像性能
 6D Mark IIと同様に、このカメラのセンサーは、ユーザーが後処理でRAWファイルを使用するする余地が少ないと言えます。ダイナミックレンジが競合他社に比べてはるかに低いため、長時間撮影していると、写真の自由度と柔軟性の不足に気が付くでしょう。


 SONY a7 IIIなどと比べて、高感度耐性が落ちます。比較的画像がノイズに乗りやすく、RAWでの処理も思うほどにはうまくできません。全体的には、暗いシャドウと明るいハイライトが際立つようなシーンでの撮影には向いてません。
 このような環境で撮影する場合は、露出に注意するか、コントラストの低い照明で撮影することをお勧めします。
 またバースト時の追尾AFでは、ファインダーのブラックアウトが激しく、フレーム内の被写体を正確に追尾することができません。


動画機能
 前に出たEOS Rのように、カメラを4Kに切り替えると、フレームに1.8倍の巨大なクロップファクターが発生します。そのため、同じ焦点距離を維持したまま4Kで撮影するには、レンズの交換が必要になります。また、4Kで撮影する場合は、EF-Sレンズを使用するのがベストです。
 また、このクラスのミラーレスカメラの多くが悩まされている、4K撮影時のローリングシャッターの悪さも気になります。左右にパンする際には、この影響で歪曲してしまうので注意が必要です。
 このカメラには120fpsのような高フレームレートのオプションがありません。また、EOS Rの10ビットHDMIとC-Logプロファイルもできない仕様となっています。


オートフォーカス性能
 4Kの最も残念な欠点は、このモードで発生するデュアルピクセルAFの損失です。その代わりに、カメラはデフォルトでコントラストAFシステムを使用しますが、これは非常に遅くて不正確です。4K撮影の際には、手動でピントを合わせるのがベストでしょう。
 EOS Rに見られる便利なマニュアルフォーカスガイド機能がないのは残念です。


バッテリー
 EOS RPのバッテリー駆動時間は非常に悪く、ミラーレスカメラとしては平均以下です。このカメラには予備のバッテリーが必要です。


まとめ

 相対的にみて、これから本格的にカメラを始める人、もしくはAPS-Cからのステップアップを図りたい方のために最適なフルサイズカメラと言えます。特に一眼レフか、ミラーレスかで迷っている入門者には、強くEPS RPをお勧めします。なにより基本性能に優れ、スチル写真を撮るうえで必要十分な能力を小さな筐体にぎっしり詰め込んでいます。
 どうしてもフルサイズというと重量がかさばり、構えて撮らなければならないのが基本ですが、このEPS RPの重量ならどこへでも持ち歩け、気軽にスナップ撮影もできますし、もちろん本格的な撮影にも対応します。
 先述のようにバッテリーの少なさ、手ブレの懸念などもありますが、予備バッテリーや手振れ防止付きレンズでそれらはカバーできます。 
 あとはキャノンとサードパーティ製のRFレンズのラインアップが充実してくれば、撮れないものは無いと言えるほどの、無敵の可能性を秘めたカメラです。
 価格の下がっているこの機会に、購入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

2021年2月13日土曜日

一眼レフ対ミラーレス

カメラ:システムの選択肢



ミラーレスカメラとデジタル一眼レフ。今選ぶならどちらがベストなのか?

 これまでソニーが独壇場だったフルフレーム・ミラーレスの土俵に、一昨年、老舗のニコンとキャノンが参戦して以来、カメラ市場は大きな変革期を迎え、ユーザーにも賛否両論、どちらを選ぶかで、様々な意見や議論が飛び交うようになりました。


 そんな中、初心者はどちらのカメラを選べばよいのでしょうか。年季の入ったユーザーとはまた違った観点から、今後のカメラ選びを考えて行きたいと思います。


 このガイドでは、2つのシステムの主な違いを比較していきます。


 ソニーがフルフレームカメラの最大手として市場を支配し続けているだけでなく、ニコンやキヤノンもZやEOS Rのラインでミラーレスに参入しています。デジタル一眼レフはもちろんのこと、多くのハイエンドミラーレスのオプションがある中で、今どのような基準で選択するべきでしょうか?

 以下では、両方のシステムの長所と短所を分析します。


 ミラーレスとデジタル一眼レフ、
どちらがすぐれているのか?


 もしこう問われれば、写真家であれ、カメラメーカーであれ、だれも簡単に答えることはできないでしょう。どちらも一長一短があり、カメラに関連するすべてのことがそうであるように、「何が良いか」は、スキルレベル、撮影スタイル、ワークフローなどに左右されることが多いのです。なので以下では、初心者がミラーレスやデジタル一眼レフを選ぶ際に考慮すべき8つの異なる要素を見てみましょう。


1. サイズと重量

 ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラの最も顕著な違いの一つは、そのサイズです。長い間、サイズはキヤノンの1DX Mark IIIのような高価なトップパフォーマーの代名詞でした。(デカい=プロの権威みたいな。)ミラーレスカメラはボディサイズを大幅に小さくしたことで、この論理を覆してしまいました。コンパクトでも高性能ならそのほうがいいじゃないかってワケです。

 デジタル一眼レフカメラは、ミラーや光学ファインダーの機構を収めるために大きくする必要があり、その結果、サイズと重量が増加します。しかし、大型化は必ずしもマイナスではなく、大型ボディのエルゴノミクスは、手の大きな人にとって理想的なものになります。安定性、剛性の面でも大きい方がいいという観念は、高級乗用車などにも言えることです。

 対照的にミラーレスカメラは、ミラーを省き、サイズ(と重量)を大幅に小さくすることができました。ミラーレスカメラが最初に市場に出たとき、その大きなセールスポイントの1つは、そのサイズでした。
 ミラーレスカメラでは、レンズの背面はセンサーに近くなります。フランジ距離が短いほど、カメラボディは小型軽量化される傾向にあります。フランジ距離が短いことは、適応レンズにもメリットがあります。光学的には、フランジ距離が短いことは、レンズ設計の簡素化を可能にし、コンパクトで明るい広角レンズの製作を特に容易にするという点で有用です。これは、多くの広角レンズの設計では、レンズの背面近くにピントを合わせたいと考えているため、デジタル一眼レフカメラではしばしば課題となっていました。デジタル一眼レフカメラは、追加で重いガラス素子を組み込まなければならないため、焦点位置がセンサーに当たるのに遠くにずれてしまい、セットアップが大きくて重いものになってしまうのです。

 ミラーレスカメラのコンパクトなサイズは、カメラバッグに追加レンズを入れるためのスペースが増え、機材全体の省スペース化にも貢献します。しかし、ミラーレスカメラ本体の問題として、ダイヤルやボタンなど操作系に割くスペースが少なくなるという弊害があります。加えて
手の大きい人には小型化はかえって使いづらいことになる懸念があります。それを回避するために、一部のミラーレスは、オプションでグリップやカメラ底部の追加が可能となっています。



2. オートフォーカス
 オートフォーカスの仕組みは、ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラの大きな違いの一つです。これらの違いを理解するためには、まず、最新のデジタルカメラで使用されているオートフォーカスの種類である位相差検出コントラスト検出について理解する必要があります。

位相差検出

 レンズに入射した光の一部をファインダーからカメラの底部にある別のオートフォーカスセンサーアレイに向けることで、2枚目の小型ミラーに依存させます。位相検出は、基本的にカメラに焦点を合わせる方向を教えてくれます。動いている被写体に素早くピントを合わせることができ、前景のトラッキングにも優れています。

コントラスト検出
 イメージセンサーを使用して、想定の中で最も高いコントラストを検出します。この方法は、通常、静止した被写体で単発オートフォーカスを撮影する際に、最も正確なフォーカスが得られます。しかし、コントラスト検出は遅くなる傾向があります。オートフォーカスモーターが被写体をピックアップするために、前後に動く挙動を見せます。これはコントラスト検出が働いているということなのです。
 デジタル一眼レフカメラの動きの速い被写体へのピント合わせ能力は素晴らしく、Nikon D4sやCanon 1D Xのようなハイエンドモデルでは、位相差とコントラスト検出の両方を搭載していますが、それなりの価格設定がされています。

 もう一点、デジタル一眼レフカメラは、ミラーを上に向けたときのコントラストフォーカスに依存しているため、動画撮影時にはほとんどのカメラでオートフォーカスが悪くなってしまうことを付け加えておきます。

 過去には、ミラーレスカメラはコントラスト検出のみに頼っていましたが、近年コントラスト検出は苦戦する傾向があり、特に低照度下では遅くなりがちです。よって今日では、ほとんどのミラーレスカメラはハイブリッドオートフォーカスシステムを採用しつつあり、フォーカスの大部分はコントラスト検出によって行われますが、オンセンサーの位相検出によって、カメラがフォーカスすべき方向を知ることができます。

 ミラーレスカメラのオートフォーカスのもう一つの利点は、演算するフォーカスモードの存在です。今日のほとんどのミラーレスカメラは、オンセンサー、ハイブリッドオートフォーカスシステムを使用しているため、アイトラッキングや顔検出のようなシーンの要素を解釈するための処理を実際に行っています。


3. プレビュー画像とファインダー

 どの価格帯のデジタル一眼レフカメラでも、デジタル一眼レフカメラには光学ファインダーが欠かせません。対照的に、ミラーレスカメラは電子ビューファインダーを使用しています。このセットアップでは、画像は光学ミラーとペンタプリズムを介してではなく、センサーの読み出しから直接表示されます。実際、下位機種のミラーレスカメラには電子ビューファインダーが搭載されていないものもあり、写真の構図を決めるには背面の液晶画面を使用することになります。

 電子ビューファインダーは、ミラーレスカメラの初期の世代では、解像度の低さや大きさに悩まされていましたが、技術の進歩により、最近のモデルでは、このような問題はほとんど見られなくなりました。


4. 手ブレ補正

 オートフォーカスの次に、手ぶれ補正もミラーレスカメラがデジタル一眼レフカメラとの差別化を図る大きな分野です。デジタル一眼レフカメラとミラーレスカメラの両方には手ぶれ補正システムがありますが、大きく異なります。


レンズベースの手ぶれ補正

 ほとんどのデジタル一眼レフカメラはレンズベースの手ぶれ補正を使用しています。基本的には、これにより、レンズは垂直方向と水平方向の2軸に沿って手ぶれを打ち消すことができます。パナソニックのデュアルIS互換レンズのように、カメラのボディベースの手ぶれ補正とレンズにISを内蔵しているレンズもあり、より良い結果を得ることができます。

 レンズベースの手ぶれ補正は非常に効率的に機能しますが、特にコスト面での欠点があります。

ボディ内手振れ補正

 こちらはミラーレスカメラの写真とビデオのデフォルトとなっています。ボディ内手ぶれ補正では、センサーが移動し、振動を補正するために動きます。ここでの主な利点の一つは、上記で説明したパナソニックのデュアルIS互換レンズのようなレンズの手ぶれ補正とスタックしますが、ボディ内手ぶれ補正は、レンズに関係なく動作するということです。ボディ内手ぶれ補正は、より多くのバッテリー寿命を消耗しますが、安定した画像と滑らかな映像という利点があり、ここは大きな差となりえます。

 オリンパスOM-D EM-5やソニーa6500のようなミラーレスカメラには、ボディ内5軸手ブレ補正と呼ばれるものがあります。水平方向と垂直方向のアクセスに沿った動きに対応するためにセンサーをシフトすることに加えて、それはまた、3つの追加の軸を補正します:上下チルト、横から横への動きと回転。 これらはデジタル一眼レフカメラでは利用できない機能です。



5. 画質

 昔のミラーレスカメラは、イメージセンサーが小さいため、画質が悪く、特にセンサーが小さいとノイズが多くなり、光を取り込む能力が低下していました。
 しかし、カメラの多くの技術的進歩と同様に、メーカーはこれを微調整し、現在ではより高感度なチップとノイズを抑えるのに優れた小型センサーを製造しています。

 では、ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラのどちらが画質が良いのでしょうか?これはなかなか即答しにくい質問です。ミラーレスカメラは、より計算された方法で写真を撮ることができますが、画質はミラーレスとデジタル一眼レフよりもブランドによって異なる傾向があります。


6. ビデオ画質

 昨今カメラを選ぶ上で、動画の画質が重要な要素になってきています。ソニー内部でa7Sに対してa7R、ニコンでのZ6対Z7、パナソニックのGH5対GH5Sなどのように、多くのブランドでは、写真用と動画用の2つのミラーレスモードが用意されています。

 いまや4K動画は、ミラーレスカメラの大半で標準となっていますが、デジタル一眼レフカメラは、この機能を提供するのに出遅れています。また、オンセンサーハイブリッドオートフォーカスシステムとボディ内手ぶれ補正も、ミラーレスカメラがデジタル一眼レフカメラに比べて高い動画品質を実現するための重要な要素となっています。

 ビデオに関してもう一つ考慮すべき点は、ビデオ録画の時間制限です。ほとんどのデジタル一眼レフカメラの落とし穴の1つは、30分の録画制限(実際には29分59秒)です。多くのミラーレスカメラは、メモリカードがいっぱいになるまで、またはバッテリーがなくなるまでカメラが継続的にビデオを記録する連続録画が可能となっています。

 ミラーレスカメラは一般的に動画に適しています。たまにしかビデオを必要としない場合は、デジタル一眼レフカメラを使用しても大丈夫ですが、ビデオを重要視する場合は、ミラーレスカメラの方がより多くの機能とより良い品質を持っていると言えるでしょう。

 

7. バッテリーの寿命

 バッテリー駆動時間は、デジタル一眼レフカメラが実用的に大きなアドバンテージを持つ機能の一つです。

 ミラーレスカメラのバッテリー寿命は平均してかなり短く、通常は1回の充電で約300~400枚の撮影となります。
 一般的なデジタル一眼レフカメラはそれに比べて、1回の充電で約600~700枚の写真を撮ることができます。
そのため、両方のシステムの最上位モデルでは、通常、1回の充電でより多くのショットを撮影することができます。ソニーa7シリーズのようなミラーレスカメラは、バッテリーあたり700枚のショットを撮影できるかもしれませんし、プロのデジタル一眼レフカメラは、1回の充電で1000~2000枚のショットを撮影できるかもしれません。

バッテリー寿命
 ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラに比べてバッテリーの寿命がかなり短くなっています。
 また、写真撮影、ビデオ撮影、またはその両方を組み合わせて撮影するかどうかも考慮する必要があります。両方のシステムのバッテリー寿命は動画で大幅に消耗しますので、動画に焦点を当てている場合は、一日中撮影しない場合でも、ミラーレスカメラのバックアップバッテリーを用意しておく必要があるでしょう。

パワーアップ
 また、ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラの起動速度の速さも考慮する必要があるかもしれません。デジタル一眼レフカメラは、信じられないほど早く起動することが知られています。対照的に、ミラーレスカメラは重要なショットを逃すのに十分な時間になる場合があります。


8. 耐久性

 デジタル一眼レフカメラの設計は20年以上も前から洗練されてきたので、耐久性に優れているという評価を得ているのは当然のことです。

 またデジタル一眼レフカメラは、おもにハイエンドモデル向けに合金ボディとフルウェザーシールを施す傾向があるのに対し、キヤノンのRebelシリーズやニコンD3300のようなエントリーレベルのカメラはプラスチック製のため、耐久性に問題があるかもしれないと言われています。

 フルウェザーシーリング
(防塵防滴処理)は、ソニーのa6600やa7シリーズのような多くのミラーレスカメラで提供されています。過酷な環境で使用する場合は大きなアドバンテージとなります。




まとめ

 ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラに取って代わるのか?


 2021年時点で、デジタル一眼レフカメラは、カメラの販売台数でトップを走り続けていますが、今後カメラを選ぶ際に動画がますます重要な要素となっていくことは間違いありません。ミラーレスカメラが将来的にデジタル一眼レフカメラをシェアで超える可能性があるのはこの一点です。
 でも結論から言うと、デジタル一眼レフカメラが消えることはないでしょう。たとえミラーレスカメラがどんなに便利になっても、適材適所でデジタル一眼が必要な状況はなくなりません。どちらを選んでも、メーカーはユーザーを怒らせるようなことはしないでしょう。
 いずれにせよトレンドだけにとらわれず、あなたが今、自分がどんな撮影をしたいのか、その欲求に正直にしたがって選ぶのが最良のと言えるのではないでしょうか。

 

2021年2月12日金曜日

プレミアムなコンデジ

Fujifilm X100V



 X100シリーズの高品質な感触、レトロな外観、伝統的な露出制御を踏襲しながらも、このX100Vは、画像の合成や設定の調整をより簡単にするチルト式タッチスクリーンを搭載し、より多用途で最新のものに仕上がっています。固定焦点距離レンズは万人向けではないですが、細部までしっかり写る明るい光学系となってます。ジーンズのポケットに収まるだけのコンパクト性はないものの、手にした質感、所有欲を満たすずっしりした手触りは、まさにプレミアムな味わいがあります。


富士フイルムX100Vとは?

 X100Vは、富士フイルムが誇るX100シリーズの第5弾となるコンパクトカメラです。X100Vの内部には、最近のレンズ交換式アドバンストカメラであるX-T4、X-T3、X-Pro3と同じ26.1メガピクセルのAPS-Cフォーマットセンサーと処理エンジンが搭載されています。これは、有効焦点距離35mmの23mm F2.0固定レンズを使用しながらも、同じ品質の画像を撮影できることを意味します。

 ハイブリッドビューファインダーとチルト式タッチスクリーンを搭載し、高品質なボディと伝統的な露出制御を実現していまし。必ずしも万人向けのカメラではないですが、誰もが惚れ込むカメラと言ってよいのではないでしょうか。


スペック等仕様

発表日:2020年2月5日

センサー:26.1Mp X-Trans CMOS 4 APS-Cセンサー

処理エンジン:X-Processor 4

レンズ:フジノン23mm F2(35mm換算

感度範囲:ISO 80-51,200に拡張可能なISO 160-12,800

ファインダー:光学式。電子式ブライトフレーム表示、カバー率95%、倍率0.52倍のリバースガリレオビューファインダー、電子式:カバー率100%、倍率0.66倍の0.5インチ3,690,000ドットOLED

スクリーン:チルト式3.0 インチ 1,620.000 点、タッチスクリーン LCD

オートフォーカスシステム:最大425点の選択可能なAFポイントを備えたインテリジェントハイブリッド

連続撮影:メカニカルシャッター。11fps、電子シャッター。1.25倍クロップと30fps

最大映像解像度。DCI 4K(4096×2160)29.97p/25p/24p/23.98p、200Mbps/100Mbpsで最大10分

ストレージ:SD/SDHC/SDXC UHS-I

寸法(WxHxD):128.0×74.8×53.3mm/5.04×2.94×2.10inch(最小奥行32.7mm/1.29inch

重量:バッテリーとSDメモリーカードを含む478g/16.9オンス、本体のみ428g/15.1オンス




特徴

 通常、私たちはコンパクトカメラというと小さなセンサーを連想しますが、富士フイルムX100Vは、最近発表された富士フイルムX-T4や旧型のX-Pro3、X-T3を含む、富士フイルムの最新のレンズ交換式カメラと同じセンサーを搭載しています。
 このチップは同じX-Processor 4処理エンジンと結合されているので、画質に大きな開きはありません。

 新しいFUJINON 23mm F2固定レンズが搭載されています。本機のセンサーは、フルフレームカメラの35mm相当の焦点距離を持ち、ストリートやドキュメンタリー写真に人気のある選択肢です。また、F2.0の絞りは、背景をぼかしたいときに最適で、光量が少し落ちても感度(ISO)を押し上げる必要がない点が良いです。
 また、中央に2枚の非球面レンズを配置し、解像感を向上させた新光学構造を採用しています。

 X100シリーズのハイブリッドビューファインダーは、前機種でも魅力的な機能でしたが、今回のバージョンアップでは、その魅力をさらに高めたものとなってます。 この電子ビューファインダーは369万ドット、最大100fpsのリフレッシュレートを実現し、前モデルよりも高いコントラストと広い色空間を実現しています。

 ビデオは、富士フイルムX100Vでは30pでUHDとDCI 4K映像を撮影することができます。また、フルHDビデオを最大120fpsで記録することができ、スポーツ撮影などでスローアクションなども楽しめます。
 また、オプションの外部レコーダーに10ビットの4:2:2:2録画が可能なmicro-HDMIポートもあります。




作りとハンドリング

 多くのレンズ交換式カメラに搭載されているチップと同じサイズのセンサーを搭載しているため、超小型化はできないが、23mm F2のレンズは非常に小さく、スリムなデザインによりとコートのポケットにも収まるようになってます。

 耐久性と高級感を高めるために、天板と底板をアルミニウムから削り出しています。グリップが少し浅いのはフジフィルムカメラ全体に言えることですが、できればもう少し握りやすくしてほしかったです。


操作性
 
 X100Vは、従来のX100と同様に、トッププレートにシャッタースピードダイヤル、感度(ISO)ダイヤル、露出補正ダイヤル、レンズの絞りリングを備えています。X100Fとの大きな違いは、感度ダイヤルにバネが付いていないことです。

 露出補正ダイヤルは、天板の右奥にあり、ロックがないので、素早く簡単に調整できます。ただし、撮影の合間にカバンに入れて持ち歩く場合は設定を確認する必要がある。ありがたいことに、ストラップを肩にかけたり、体にかけたりして持ち歩いても、ダイヤルが簡単に動くことはありませんでした。

 前モデルからの大きな変化として、X100Vには背面にナビゲーションパッドがありません。これはショートカットへのオプションが失われたことを意味しますが、カメラの背面に親指を置くスペースが増えたことを意味します。また、Qボタンを押すことでクイックメニューを使って、必要な機能に素早くアクセスすることができます。

 オートフォーカスポイントの選択とメニューのナビゲーションは、カメラ背面のミニジョイスティックで行います。これはX100Fにも搭載されていますが、ナビゲーションパッドがあると重複するような気がします。


画面とファインダー

 モニターを内側に閉じていると、チルトスクリーンが搭載されていることを見逃してしまうかもしれません。スリムな3インチ162万ドットの画面は、カメラの背面にぴったりと密着しているので、ボディを圧迫したりすることは全くありません。モニターは画面の左下に小さなタブがあって、指先で素早く画面を起こせます。

 光学ファインダーは直視式なので、多少の視差誤差はありますが、被写体の見たままを覗くことになります。切り替え式になった電子ビューファインダーは、素早く画像を変換し極めて違和感のない映像となっています。プレビューも正確に表示され、ディテールもかなり充実していると言えるでしょう。


基本性能

 富士フイルムの26.1Mp X-Trans CMOS 4センサーとX-Processor 4エンジンの組み合わせは、X-T3やX-Pro3などのカメラでも素晴らしい画像を生み出すことが実証されています。

 絞り値がF2なので、それほど頻繁にISOを上げる必要はないでしょう。ISO 3,200までは、ディテールもしっかり保たれ、常用できる範囲となっています。

 X100Vの低ISOのRAWファイルは、ダイナミックレンジが良好で、必要に応じて3Evかそこらでシャドウを明るくすることができます。

 御多分に漏れず、富士のフィルムシミュレーションモードが用意されており、フジフィルム独自のフィルム再現が楽しいです。光学ファインダーで撮影しているときにも使えますが、電子ファインダーやスクリーンを使って撮影前にその影響を確認することができます。

 256ゾーンTTL測光システムは、マルチ設定でも十分な性能を発揮しますが、電子ビューファインダーで画像をプレビューして、可能な限り最高の結果を得られるようにしておくと便利です。



オートフォーカス性能

 X100Vのオートフォーカスシステムは、X100Fからステップアップしているが、フジのレンズ交換式カメラのシステムの水準よりは一歩劣るかも。

 シングルAFモードでは、コントラスト検出フォーカスを使っているかのように、わずかな遅れや前後調整が発生することがあるが、連写時にはほとんど動きがありませんでした。

 有効焦点距離35mmのX100Vのレンズは、スポーツやアクションの撮影には向かないが、愛犬が走り回ったり、こどもが遊んでいるときのシャープさは維持してくれます。
 ワイド/トラッキングAFシステムは、人が歩いているときにしか追従できませんが、ゾーンAFモードでは、カメラは人をシャープに撮影し続けてくれました。
 またX100Vの顔と目の検出機能は、静止した被写体では便利だが、動いている被写体では少し頼りない印象です。


動画

 X100Vのレンズとフォームファクターは、ビデオカメラとしては不向きかもしれないが、非常に有能である。必要に応じて静止画に合わせて撮影できるのは素晴らしいことです。
 ただし、内蔵のNDフィルターは静止画撮影時にしか機能しないので、浅い被写界深度で撮影したい場合はフィルターが必要になるでしょう。

 また、手ぶれ補正は内蔵されていませんが、X100Vは小型であるため、電子ジンバルを使用するのに適しています。ジンバルを持っていない場合は、三脚を使って手ブレを防ぎ、スローモーション再生時には高速フレームレートで撮影して、ぐらつきを滑らかにすることを検討してみてください。


バッテリー

 X100Vのバッテリー駆動時間は、スペック上で電子ビューファインダー(EVF)をノーマルモードに設定した場合で350枚、光学ファインダー使用時で420枚となっています。また、4K動画は29.97pで最大約55分、フルHD動画は59.94pで最大約75分の撮影が可能です。


まとめ

 富士フイルムのAPS-C判コンパクトカメラ「X100」シリーズは発売以来、人気を博してきましたが、今回も期待度どおりのアップグレードがなされました。26Mpセンサーへの変更は当然のことながら、レンズの再構築をもたらし、さらに画質が向上しました。
 ナビゲーションパッドを取り外すことで、カメラの背面がすっきりとし、設定の調整もしやすくなりました。また、チルト式のタッチスクリーンも新たな可能性を生み、クリエイティブなアングルからの撮影を容易にしています。
 価格は2021年現在、日本で13万前後、アメリカでも1400ドルと、けっこう高めですが、X100Vはプレミアムカメラであり、相応の価値はあり、持っていて損のない名機だと思います。