2021年6月23日水曜日

アメリカの大きな車たち

サムズアップ・アメリカ!
アメ車はどこまで巨大化するのか




アメリカの公道を走っていると、最近特に目立つのは、SUVの大型化です。昔からアメリカのは大きい車があったのですが、一時期は人気が衰え、減少しつつあったのです。特にオイルの高騰に伴いエネルギー危機が叫ばれるようになった80ー90年代以降は、ガスイーターと揶揄される馬鹿でかい大排気量の車の人気は下落しました。


ところがここ数年低燃費で非力なプリウスなどの車が飽きられてその反動で、大型でパワフルな車に注目が戻ってきたのです。
マンハッタンなどの車が密集し渋滞するところを走るとわかるのですが、やたら巨大なSUVが車道を占め、前が壁で塞がれたように、全く見えなくなってしまうのです。

このアメリカの大型車好きにはどんな流れがあるのでしょうか。これまで時代を代表する大型車を振り返ってみました。



今までに作られた最大の車

1960年代から1970年代にかけて、アメリカでは巨大な車が道路を走っていましたが、度重なる燃料危機によって非効率的で無意味なものとみなされ、消えていきました。約10年前にガソリン価格が1ガロン4ドル以上になったとき、フルサイズのSUVも同じコンパクト化の方向に向かっているように見えましたが、クロスオーバーの出現と一時的なガソリン価格の低下により巨大化は復活し、米国のラインアップから小型車(時には小型車)が削られていきました。私たちは再びランド・ヨットと称される巨大マシンの時代に入ったのです。

歴史を見れば、これらの車は常に大きくなる可能性があることがわかります。過去にはどんな馬鹿でかい車が道路を席巻したのでしょうか?



ロールスロイス ファントム



いきなり最初はイギリス車ですが、やはりコレ抜きにはアメリカの自動車の歴史は語れません。全長239インチ、ホイールベースを延長したこの特注高級車の長さは20フィート弱(およそ609センチ)です。しかし、少しでも大きい車に余分な費用をかけたくないのであれば、230インチのロールスロイスセダンがおよそ45万ドルから出ています。装甲や格納式のボンネット飾りなどの追加装備がない、最もスリムな状態でも、ファントムの重量は3トン近くに達します。セレブ御用達のカーコレクションにもしばしば登場し、今も富の象徴としてその威容を輝かせています。




Cadillac Fleetwood Sixty Special Brougham



キャデラックはこの手のリストにたいてい登場しますが、それはこのメーカーが巨大な車を作ることを得意としているからです。2.5トン以上の重量と233.7インチ(約19.5フィート)の長さを持つこの車は、リムジンやタウンカーとして作られました。7.7リッターまたは8.2リッターのV8エンジン、エアバッグ、オートマチックレベルコントロール、リアリーディングランプなどを搭載し、1970年代半ばのアメリカの高級車の頂点に立っていました。しかし、ホイールベースが極端に小さく、取り回しが悪かったとよく記録されています。




Chevrolet Suburban


私が初めてアメリカで乗った大型ワゴン車がこれです。
自動車の黎明期、駅から自宅までの移動には、荷台に木箱を載せて荷物を積むステーションワゴンが使われていました。より多くの人を乗せ、遠くへ荷物を運ぶためには、「サバーバン」と呼ばれる車を利用したのです。バンやトラックのフレームにステーションワゴンを載せたものです。シボレーは1936年に「サバーバン」を発表し、一度に複数のファミリーカーを発明しましたが、現代ではトラックをベースにした拡張型SUVとして展開しています。
そうなんです、アメ車のでかい車の土台となっているのは、ピックアップトラックで、祖型を共有、流用しているものが多いのです。




Dodge Custom 880



実際のランド・ヨットについて語るなら、1962年にさかのぼって、この17.8フィートのモンスターを見てみましょう。ダッジはゼネラルモーターズに追いつこうと、すでに巨大化していたクライスラー・ニューポートに、標準で5.9リッター265馬力のV8エンジンを搭載し、オプションで6.3リッター305馬力のV8エンジンを搭載したバージョンを作りました。やはりお大きさにこだわりすぎて、肝心のエンジンと操作性能に問題点が多く、これがうまくいかず、ドッジカスタム880は1965年末までに消滅してしまいました。





Dodge Charger



アメリカ人がマッチョなマッスルカーの話をすると、1970年代の代表としてこの車の名が頻繁に出てきます。それくらい人気もあり、実際に出始めはよく売れた車だと言われます。しかしそのスタイリッシュな見栄えとは裏腹に、性能じたいを褒める人は少なくなり、やがてクライスラー・コルドバのボディとビニール製のランダウ・ルーフに呪われた、醜く、神に見放された「高級車」などと言われる様になりました。1975年に発表された4代目の車は、18フィートという衝撃的な大きさで、毛足の長いカーペットが敷かれていました。80年代に一時的にカムバックし、2006年に全面的に改良されるまで、ダッジ・チャージャーの名前を消滅させることになった有名な車です。




Ford Excursion



エクスカージョンはとにかく巨大でした。ええそれはもうただデカいだけです。デザイン性もへったくれもなく、ただ無意味に巨大な車の代表格でしょう。
1999年から2005年まで製造されたこの車は、フォードがそれまでに製造したSUVの中で最大のものでした。重量は約4トン、全長は20フィート近くあり、F-250スーパーデューティー・ピックアップをベースにして、さらに大きくしたようなものでした。当時の大型SUVらしく、1ガロンあたりたったの15マイルしか走行できないのが笑えるほどでした。こう言う形のトラックと思った方がいいでしょう。




Ford Expedition MAX



これは現在街中でもよく見かけるフォードの巨大SUVです。フォードブランドのSUVの中で最大のものであり、それでも最近までのSUVがどれほどダウンサイジングしていたかを示すものであります。
2017年に登場したFord Expedition MAXは、マックスと称するだけあって全長221.9インチ、つまりおばけ車Excursionよりも1フィート程度短いだけです。シボレー・サバーバンに対抗するために米国で製造されたこの車は、クロスオーバーの世界におけるSUVのゲームチェンジだったことを思い出させてくれます。




Chrysler Newport



ニューポートは、40年代から50年代にかけて2年間のワンオフカーとして活躍し、1961年にはエントリーレベルのセダンとワゴンとして登場しました。そして50年前、絶対的なボートのような車に生まれ変わり、クライスラー史上最も重い車となりました。1973年のオイルショックでクライスラーの販売台数が激減したのはこの車のせいだそうですが、クライスラーは他のどの車よりもこの車を多く販売しました。1979年には全面的な改良で起死回生を試みましたが撃沈。残念ながらこの車を救うことができなかったのです。




Hummer H1



現代のガリバー、巨大SUVの代名詞とも言えるのがこのハマーでしょう。
Hummerが単にSUVのブランドになる前は、1991年の湾岸戦争で米軍のために作られた高機動多目的車(HMMWV、ハンヴィー)でした。アーノルド・シュワルツェネッガーが所有し、90年代のR&Bグループがビデオで運転し、一般市民は10フィートのホイールベース、約1フィート半の最低地上高、約4トンの車両重量と規格外のバカデカさを見せつけました。2006年に販売が停止されるまで、1万2千台弱が販売されました。中国企業が買い取った今でもオフロードを走っている姿や、駐車場を占領している姿を見ることができます。

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