2020年7月31日金曜日

歯の治療現場へ行く

抜歯しました



 コロナウィルスが全米で猛威を振るう真っ最中ですが、私、歯医者に行きました。
 パンデミックを受け、行政指導で春先から三ヶ月ほど臨時閉鎖されていましたが、ようやくの再開です。通知を受け、たくさんの患者が殺到したため、再予約を申請してから二週間待たされました。
 予約の時間に行ってみると、入口の外で待つ人が数人います。その後ろに立つと、前の人が中に入るよう促します。言われるままにドアを開けると、扉にはマスク着用義務のサインがデカデカと。ソーシャルディスタンスを意識して、マスクをしつつエクスキューズミーを静かに連呼しながら、中に入りました。

 かつてはなかった受付専用の窓口が設置され、その場所に先客がいて係の人と話をしています。椅子は通常通り10脚ほどあるのですが、間隔を開けて座っているのは二人のお年寄りのみ。その間に座れるような空気ではありません。患者は互いに視線をチラチラと寄せて、距離感を図り合っている感じです。狭い待合室には5人ほどしかいないのになんだか息苦しい雰囲気。
 私が受付申請を待つ間に、すぐに後ろに二人加わり列ができました。ますます圧迫感のあるシチュエーションです。ようやく受付の女性に私の名前を告げると、彼女が額の温度を測り、直近2週間で他州に行ったかとか、グループで集まったかとかの問診がありました。その後、受付の女性は待合室が混み合ってきたことに気づき、私を含め数人に外で待機するよう言いました。
「え?」と思いました。この日は摂氏32度を超える猛暑です。歯がズキズキする中、マスクをして外で立つのは厳しすぎます。彼女は、順番が来たらお電話しますので、車でお待ち下さいと言うのです。
 やっぱりここはアメリカですね。全員車での来院を見越しての処置です。みんな文句を言うこともなく外に出ていくので、私もやむなくエアコンの利いた待合室を出ました。
 車で待つこと20分ほどで、呼び出しがかかり、無事治療にこぎ着けました。しかしこんな経験はなかったので、これもコロナの時代の対応策かと得心した次第です。
 
 ここの歯科医は部屋が完全個室型で、各部屋にカーテンが敷かれ安全対策は基準内に見えました。治療は普段どおりで、他の患者との接触も最小限に抑えられ、まずは安心して受けられました。再開通知を受けたときは、行くのを躊躇しましたが、歯は悪化の一途をとっていたので、もう待ったなしでした。結果、行ってよかったと思っています。
 
 当初、家内は歯医者にゆくこと自体を懸念しました。たくさんの患者が出入りする室内で、治療中大きく口を開けていなければならない歯の治療はリスクが高すぎると思ったのでしょう。私も3ヶ月前なら、一も二もなく同意していました。
 
 しかし他州の感染増加を尻目に、いまニューヨーク州の感染率は大幅な減少傾向にあります。ニューヨーク州、なかんずくマンハッタンを中心とする5ボロー地域は、春の早い時期にパンデミックが起きた大都市圏ですが、その後強力なロックダウン政策の施行で大幅にピークを早まらせることができました。今、南部の州から燎原の火のように感染は全米に拡大していますが、今ならニューヨークは小康状態。いつまた他州からの流入で感染第二波が押し寄せるとも限りません。
 私は、歯の治療を受けるのは今しかないと思いました。私の虫歯はもう待ったなしの危機的状況でしたから。
 
 本来は4月初旬に治療を終えるべく予定していたこの虫歯。いやこの歯の異常は前の年の冬頃、歯のクリーニングをしてもらったときに発覚していたのです。犬歯ととなりの歯の間に虫歯ができ、知らずしらすのうちに根本まで悪化していたのです。そうと知ったときはもはや手遅れで、担当医から強力に抜歯を勧められ、やむなく予約をとったのです。
 ところが保険の適用を巡ってスグにはできず、さらに私の常用する血圧治療薬が抜歯の際、出血多量のリスクがあるとかで、かかりつけの心臓医からアドバイスとお墨付き書類を得なければならなくなりました。
 そんなこんなで歯の治療ははどんどん先延ばしとなり、ようやく4月に予約ができたのです。
 そして起きたのがコロナ騒動です。
 歯医者から予約延期の通知が予定日直前に届き、再開の今月まで待たざるを得なくなったのです。この間約3ヶ月。虫歯発見から数えると半年以上になります。
 度重なる延期の末、虫歯はどんどん悪化し、歯がぼろぼろと欠けはじめました。今日ようやく歯医者さんに診てもらったのですが、歯はもはや根っこにしか残ってなかったのです。 
 しかしこの歯医者さん、私が最も信頼のおく名医。歯科世界のブラックジャックとも言えるスーパードクターで、これまで何度もうちの家族がお世話になっています。今回も全く痛みも不快感もなく、抜歯を終えることができました。歯の傷が癒えるまでしばらく不自由ですが、長期に渡っていた懸念が払拭できて安堵しました。いつまたパンデミックが起きて、病院の門が閉ざされるかわかりません。
 歯だけでなく、健康に関することで先延ばししていい案件などありません。みなさんにも、できるときに、できるだけのことはやっておくことをオススメします。

2020年7月30日木曜日

いざというときの冷凍食品

冷食フォーエヴァー!



 行動制限のおかげでみんなあまり出歩かなくなりました。

 というか外出は基本NGなので、外に出るのは食料買い足しかジョギング、散歩のみ。ランチ時、夕食どきにはドライブスルーのテイクアウト・ファストフードが長蛇の列を作る今日この頃。

 なるべく人が集まる食料品店を避けたいときはもってこいですが、毎日というわけにはいきません。ほとんどの人は数日分から1、2週間分の食料をがっつり買いだめするようになりました。

 ではいったいアメリカ人はこの時期、どんな食べ物をを買いだめするのでしょうか。ということでこちらの大手スーパーに出かけたときにふと思いついたのが冷凍食品です。冷食ならアメリカのバカでっかい家庭用冷凍庫にたっぷり溜め込んでも長持ちしますからね。

 店の冷凍庫を見てみるとやはり多くの棚が空いてました。今は非常時なので需要と供給のバランスが取りにくい。在庫を管理する店側は悩も所でしょう。

 というわけでこの店でよく売れている(であろう)メジャーな冷凍食品を幾つか取り上げてみました。

 まず筆頭に挙げられるのが「ハングリーマン」

タイトルからしてもう安易でおバカでインパクト大です。でも全米のスーパーで流通している最もメジャーな冷凍フードのひとつとなります。

 ディナー用のものが一箱平均3ドル前後という低価格。パッケージには赤丸ででっかく「39g プロテイン」と書かれていてこれが売りのようですが、成分表示表には970カロリー、塩分1370mgと書かれています。まさに不健康感満載の原材料構成。

 これは人気の「クラシック・フライドチキン」というタイトルのもので、ホームスタイル(普通のスタイルとどう違うのか不明)フライドチキンが二個、マッシュポテト、スイートコーン、チョコレート・ブラウニー(甘い砂糖菓子の一種)という構成。

 メインのフライドチキンが油ギトギトの分厚い衣に覆われ、肝心の鶏肉になんの風味も感じられないパサパサの代物です。これがなんと一番の売れ筋というのですから、アメリカ人の胃袋のいかに寛大なことか!感服いたします。

これと双璧をなすのが「バンケット」シリーズ。

「ミートローフ・ミール」という人気商品があるのですが、これもまた人工甘味料の塊のような、牛肉と豚肉と何か正体不明の肉を混ぜたとしか思えない、フニャリとした不気味な食感のミートローフ・ディナーです。

 カチカチに凍ったマッシュポテトは説明書きどおりに解凍しても、ビチャビチャかカサカサにしかならず、何が喉を通ったのかさえ判別つかない味気なさです。

 こちらも当然、体によろしくない成分表の表示で、食後は読まない方が賢明でしょう。

一方で冷凍食品のニューウェーヴと言えるのが、「Evol」というブランドの一連の冷食シリーズで、なかにはいかにもアメリカ人好みに作られた売れ筋があります。

 たとえば「バターナット・スカッシュ・アンド・セージ・ラビオリ」

 この具材だけで作られたパスタは、スーパーにあるパスタ料理の中でも最もクリーンで健康的なものの一つです。ビタミンAとたんぱく質がたっぷりのラビオリに、ローストしたバターナッツスカッシュとリコッタチーズを詰め、ローストしたトマト、ケール、セージガーリックソースをトッピングしたものだそう。

 確かに日本人にもそれほど違和感のない風味。口の中でとろけるような食感で、何度でも食べたくなる一品です。カロリーも310と抑えられており、いわゆるジャンクな冷食とは一線を画しているでしょう。

 あと「Kashi」というブランドも健康志向の人にアピールしてここ最近めっきり人気を高めてきた食品会社です。

 Kashiは全粒穀物のシリアル販売で有名になった会社で、いまではシリアルやグラノラバーはじめ、穀物を中心としたいろんな分野の食品を開発販売しています。

 ここに取り上げる「ブラックビーン・マンゴ・ボール」はオーツ麦、玄米、ライ麦、硬い赤小麦、ライ小麦、大麦、そば、ゴマの栄養価の高いミックスで構成された「樫の七つの全粒穀物とゴマのピラフ」と称されるもの。

 このメニューは、最高の炭水化物の一つであるそばとゴマのピラフで構成されています。黒豆とローストした玉ねぎ、ピーマン、にんじんと一緒に食べると、たんぱく質と食物繊維の含有量がアップすると記されています。

 また、マンゴー、生姜、その他の調味料を使用しているため、Kashiは塩分を380ミリグラムに抑えることができ、これは冷凍食品では珍しい小さじ1/4の塩分よりも少ない量です。


 というわけでアメリカの冷凍食品も群雄割拠、千差万別、玉石混交の大乱戦の時代。とりわけ今この非常時とも言えるご時世、簡単に腹を満たせるこれらの食べものは、とてもみじかでかつ重要なものとなりつつあるのです。

2020年7月29日水曜日

夏休み、異常事態の子どもたち

子供のサインを見逃すな



 今年の夏休みは、子どもたちにとってかつて無い窮屈な休暇になってしまっています。
これは日本、アメリカにかかわらず、全世界で起こっている異常事態です。
私の昔からの仕事仲間で、コスタリカに転勤したアメリカ人一家も、外出制限が厳しくて、小学生、中学生二人の子供がパニック状態になっているというのです。
 パニックってどういう事、と訊くと、コレまではとても仲の良い兄弟だったのに、夏休みに入って喧嘩が絶えなくなったと言うのです。
 兄は中学校の吹奏楽部でトランペットをやっているのですが、学校側がラッパ系の楽器は感染リスクが高いので、控えるように言われたそうです。秋の演奏会目指して夏期合宿に備えていたのですが、すべてキャンセルです。
 サッカー大好きな弟の方も、夏休みの練習は見送られることになりました。ふたりとも育ち盛りで活発な性格。慣れない異国の環境で、一年かけてようやく地元のクラスメート、チームメートに馴染みはじめた矢先に、外出できなくなってしまったのです。
 快活だった二人はへやに閉じこもり、ろくに会話もしなくなったそうです。そしてリビングやキッチンで会うたびにつまらないことで、口論するようになったと言います。
 今は一日の大半、アメリカ時代の友達とゲームやチャットなどをしているようだが、何を聞いても明確に答えなくなったというのです。昔は何でも親に話す素直な子たちだったのにと、父親は嘆いています。
 
 こういった事態は今世界中で起きている可能性があります。
 夏休みは子どもたちにとって、一番自由で開放されるときです。毎年恒例の家族旅行や、友達とのキャンプやショッピング、海やプールでの水遊び。今夏はそういった思いっきり遊べる環境がいっさい塞がれてしまったのです。
 外へ出ちゃダメ、友達とも会うな、と言われるといくら素直な子でも、凹んでしまうでしょう。社交的で活発な子ほどこのダメージは大きいはずです。
 
 今この時期、子供の様子はよく見ておいたほうがいいと思います。
 というのは、つい先日、うちの娘の通う高校から連絡があり、生徒の一人がドラッグの過剰摂取で、自宅で死亡したというのです。とても痛ましい話です。同世代の子を持つ親として、全く他人事ではない悲劇です。
 その娘さん、うちの子とは学年が違いますが、近所の子だそうです。私は知りませんでしたが、家内と娘は知ってる子でした。明るくて元気な子だったそうです。コロナの影響かどうか、短絡的に結びつけるつもりはありませんが、こんな状況でなければ防げた事態かもしれません。
 
 私の娘は一見以前と変わらぬ、のんびりした性格で、それなりに退屈な夏休みを受け入れているように思っていました。しかしよくよく振り返ると、夏休み以降、机に座って勉強する姿を見なくなっていました。けっこう勉強はする方だったのに、です。また母親と大好きだったテレビの歌番組を観なくなり、起床時間もずるずる遅くなってきています。
 暇さえあれば、「あつまれ動物の森」に没頭し、なにを聞いても、「うん」とか「ノー」とか単語だけの受け答えが増えたように思います。
 気になって家内と相談したら、娘の親友がいまノイローゼ気味なんだと、ママ友連絡網で情報を得ておりました。娘と親友は、今夏アート・キャンプとやらに参加する予定だったのです。ふたりとも絵が好きで、地元のアーティストの指導で絵画や陶芸の実体験ができる泊まり込みの催しに参加する予定だったのです。でも夏休み直前、企画自体がキャンセルになってしまいました。
 私もそのことは聞いていたのですが、娘と親友にはそれはかなりショッキングな発表だったようです。二人は落ち込んだのです。うちの子は元々喜怒哀楽をあまり表に出さない性格だったので、さほど変化を感じなかったのですが、これは親の怠慢、私の鈍感でした。娘は夏休みの目玉企画を失い、心にぽっかり穴が空いていたみたいです。家内は娘の変化に気づいていて、私に相談するタイミングを図っていたそうです。お友達の方はもっと深刻で、大好きな絵を描かなくなり、食事も頻繁に残すようになったそうです。ご両親は心配して、現在カウンセラーに相談中だとか。
 それを聞いて、私は大いに反省しました。子どもたちにとって夏休みは、希望の光なのです。それを奪われた時、どんな心の状態になるのか、私は想像もしていませんでした。

 子供の変化。それは要注意のサインです。特に会話。曖昧な返事が多くなったら、なにか抱えてる可能性がありますよ。
 
 この夏休み、子どもたちをよく観察しつつ、もっと積極的に声をかけていきましょう。なにか一緒にできることはないか考え、行動することが大切だと思います。
 みなさんも、大切なお子さんの変化に気をつけてください。こんな夏休みは過去に経験がありません。それだけに家族相互によるフォローが欠かせない。そんなふうに思うのです。

 
 

2020年7月28日火曜日

あおり、喰らいました

いわゆるJEEP問題

 

 久々に、アメリカであおり運転に遭遇しました。けっこうキツイやつです。空港に向かってニューヨーク市内に入る直前でした。支流からハイウェイに合流する際、背後からかなり早い車が接近しているのを目視しました。黒いJEEP Cherokeeです。ちかごろ人気の、スポーツタイプのSUVです。
 ミラー越しに、後ろから車間距離がぐいぐい縮まって来ているのが見えました。一瞬迷ったのですが、こちらが急加速してハイウェイに入るのは危ないと思い、そのままスムーズにハイウェイに入りました。
 ただそれだけです。
ところがその直後、後ろのJEEPは斜め後ろから猛スピードで私を追い越しました。いきなり三車線あるハイウェイの中央に躍り出たのです。ハイウェイの車がまばらだったので良かったですが、もし混み合っていたら衝突の可能性大です。

2020年7月27日月曜日

アメリカのキッズに語る日本文化

日本のロボット・アニメ概説



 昔、地域のコミュニティで、異文化交流会がありました。公立図書館のイベントの一環で、月一度ぐらいのペースで、代わりばんこでいろんな地域出身者が、お国自慢を語るものです。たしか最初は図書館のポスターかチラシで、ネイティヴ・インディアンのご婦人が平和と歴史について語る、というものに惹かれて参加したのが始まりです。
 民族衣装をまとったその高齢の女性が、自らの文化を誇り高く語る姿に、私は感銘を受けました。50人あまりの聴衆も、大きな拍手で称賛の意を表していました。率直に、知らない文化を学ぶいい機会だと思い、それから数回その会合に参加しました。あるときはアフリカの民族衣装の女性、またあるときはスコットランドのバグパイプの演奏を交えて語るおじいさん、などです。それぞれお国柄が出ていて、とても興味深いものでした。
 あるとき主催側のスタッフに声をかけられ、日本のことを話してくれと言われました。始めは英語が上手くないことを理由に断っていたのですが、夏休み企画として、子供向けに話してくれと頼まれました。それでとっさに思いついたのが、日本のアニメについてなら、話せるかも、ということでした。準備期間はわずか一週間足らずだったので、慌てて原稿を書き、それをもとに話をすることにしました。以下の文はその原稿です。



タイトル:日本のスーパーロボットを知ってますか?

皆さんこんにちわ。これはあくまでフィクションについての考察です。

あなたはロボットについて、なにを思い浮かべますか?
日本の子供の多くは、スーパーヒーローを思い浮かべます。例えばトランスフォーマーみたいなやつ。あれは日本のアニメからきてるんですよ。
アメリカでロボットといえば、以前はアイザック・アシモフの一連のサイファイ小説を思い浮かべることが多かったでしょう。
私が興味深いのは、アメリカでそれ以外のロボットは、おそらく人間にとって、脅威の存在として描かれていることです。
代表的なものとして、映画ではターミネーターですね。多くのゲームでは巨大で恐ろしいロボットが一般的しょう?
しかし日本のロボットは、昔から人間の味方が多かったのです。

日本で最初に人気を得たのは、鉄腕アトム、つまりアストロボーイです。アストロボーイが漫画雑誌でデビューしたのは1951年だ。漫画の設定では、アストロボーイは2003年に誕生でした。原作者は、半世紀後の未来に、アストロボーイが実現すると期待していたのでしょう。
残念ながら、現在でもロボットはまだ原始的な存在です。
しかし、原作者は大きな夢を漫画に託しました。そしてアストロボーイは大ヒットしたのです。

とくにテレビ・アニメーションとして、動くロボットはとても画期的であり、魅力的でした。アストロボーイはとてもかわいい子供の姿でしょう。アトムは人間と同じような喜怒哀楽を持つ。それだけではなく、勇気と正義、そして物凄いパワーを持った存在です。日本の子どもたちがあこがれるもの無理はないです。

アストロボーイ以降、日本のマンガとアニメーションは、ロボットの発展史といってもいいでしょう。アストロボーイのあとに、人気者になったロボットは鉄人28号、つまりGigantorです。みんなのお父さんやお母さんは知ってると思います。アメリカでもテレビ放映しましたから。

Gigantorはアストロボーイと対象的です。彼は徹底したロボットの性格を備えています。感情を持たず、人間の命令で動く。リモートコントローラーによって動く彼には、恐怖心もなく、正義感もない。彼の全ての行動は、操縦者の意思に反映されるのです。もしコントローラーを悪人に奪われると、悪に従うロボットです。それ故、視聴者はスリルを味わうのです。Gigantorの戦いは、子どもたちの心を鷲掴みにしました。

テレビ・アニメーションの草創期に、たくさんのサイファイが作られました。アストロボーイ、Gigantorと並ぶ人気を獲得したのは、エイトマン、つまり8thmanです。このアニメもアメリカで放映されたんですよ。この作品の独自性は、主人公のロボットが大人だということ。アメリカではほとんどのスーパーヒーローが大人であるのに対し、日本のそれは、ほとんどがティーンエイジャーか、小さな子どもです。しかし8thmanはハードボイルド小説の意匠を借り、とてもクールでスタイリッシュなキャラクターです。8thmanは唯一無二の個性的なロボットなのです。

日本のロボット・アニメーションの特徴は、ロボットと人間の関係性です。人がロボットをいかに操縦するかが見どころ。
それは時代の変遷とともに、変化していきました。
1972年に登場したマジンガーZ(Mazinger Z)は画期的でした。人間が操縦する小型飛行機が、巨大なロボットの頭部にドッキングするという設定です。ゆえにこのロボットはとても大きい。身長は60フィートもあるのです。
彼は戦闘に特化したロボットで、多くの武器を持ちます。Gigantorとアストロボーイは、ロボット同士の原始的な殴り合いでした。しかしMazinger Zは装備された武器を駆使して、ヴィランの操るロボットと戦う。敵ロボットも、工夫をこらした様々な秘密兵器を持っていました。この壮絶なロボット・バトルの系譜は、その後、たくさんの模造品を生み出したのです。


1979年、日本のロボット・アニメーションは大きな転期を向かえました。機動戦士ガンダム(Mobile Suites Gundam)が誕生したのです。それ以前のロボットとは全く違います。そこにはリアルなストーリーがありました。小さな子供には難しすぎる設定。それは本当にあり得る、架空の未来史です。
基本的にGundamは戦闘機の発展型として描かれます。その舞台は宇宙。主人公はもはやロボットではなく、人間のパイロットです。
その物語は、人間の葛藤を描き、ロボットの存在意義さえ後退しました。しかし興味深いのは、その作者の意図とは裏腹に、カッコいいGundamの人気は独り歩きし始めました。
この一作目以降、Gundamは数多くの続編を作ってきました。驚くのは、そのいずれもがヒットし続けているということです。しかし今日は、私はそれを語りません。とても長くなってしまうからです。
しかしGundam以降も、ロボット・アニメーションの歴史は止まりません。とても様々なバージョンのロボットが出続けています。

そのなかでも、ひときわ目立つのが、新世紀エヴァンゲリオン(Evangelion)です。この作品はそれ以前のすべてのロボットの歴史を否定しているように思えます。もはやそれは本来のロボットの概念から逸脱しています。より未来的に洗練されたロボット。操縦するのはより繊細な感性の子供。同じパターンでありながら、本当の主人公は人間であり、人類の進化を示唆します。これはとても恐ろしく、本格的なサイファイ・ストーリーなのです。

以上のように、ロボットに関して、日本人は執拗に創作と変遷を繰り返してきました。そこには尽きない理想の追求があるのです。彼らの長い旅はまだ終わりません。そこには、人間を超えた存在への憧憬が、垣間見られます。
次の未来には、どんなロボットが現れるのでしょうか?


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 スピーチはこの原稿をはみ出して、日本の子どもたちの趣味や習慣に多くをさきました。しかしロボット・アニメ史の骨子は伝わったと思います。何より嬉しかったのは、小さな子どもたちが、目を輝かせて、日本の話を聞いてくれたことです。自国の文化を語ることは、自分を見つめ直すことにも繋がり、とても意義深いひとときだったと思っています。

2020年7月26日日曜日

オフィスの便利グッズ

仕事部屋の便利なアイテム



 夏の暑い季節ですが、仕事は待ってくれません。そんな時、作業の捗るアイテムがあれば、助けになります。私が使っている机周りのものを、少しづつご紹介させていただきます。今回は3つばかり取り上げてみました。ご参考になれば、幸いです。


腰を守るクッション
長時間デスクワークをしていると、腰に負担がかかります。ついついしがちなのが、猫背や浅い座り方。座ったときの姿勢がいちばん大事なのは言うまでもないこと。その次に椅子の作りにも、腰への負担は大きく左右されると言います。とはいえ、椅子を変えるのはちょっと大ごとです。そんな場合に、クッションを試してみるのはいかがでしょうか。
 私が最終的に選んだのが、この品です。

Everlasting Comfort Seat Cushion for Office Chair


 このクッションは、ほとんどのタイプのデスク・チェアでも対応できると思います。至ってシンプルなアイデアで、椅子の上に乗せるだけでOKです。形状はご覧のとおり  、背骨の延長部分がくり抜かれた形で、圧力を開放しています。表面はお尻の形に合わせてお椀型に湾曲しています。中の素材は形状記憶クッションでやや固めな感触ですが、体型にフィットして均等に沈んでくれます。

 これに座って背もたれに身を傾けると、背骨のバランスが程よく保たれ、腰への負担が最小限に緩和されます。このクッションを使ってみて、あると無いとでは、長時間のデスクワークに差が出ます。私の場合、明らかにこのクッションは疲労を軽減してくれます。それまで一般的な四角く平たいクッションや、薄手の柔らかい枕を敷いていたのですが、しばらくするとスグに居心地が悪くなって、知らずに背中が丸くなったりしていました。しかしこのメモリー・フォームの素材は体型に合わせて圧力を緩和してくれるので、無理なく座り続けられます。
 表面の黒い部分は通気性のよいクッションカバーで、肌に優しいフェルトタッチの素材です。洗濯機で水洗いできるのは好都合です。底の部分は小さなドットのゴムがついていて、椅子からずれたりすることもありません。
 他もメーカーから類似の商品が出回っていますが、材質や形状、大きさも違ってきます。いずれも後追いの感は免れません。こちらのメーカーはいち早くこのタイプのクッションを発売し、改良を重ねていますので、安心して購入できるかと存じます。

お次は最小サイズの掃除用具です。

Cute Portable Beetle Ladybug Cartoon Mini Desktop Vacuum Desk Dust Cleaner


 こちらは超小型の卓上掃除機です。ご覧のように見た目が可愛くて、インテリアとしても見てるだけで、こころ和みます。ケーブルもなく、乾電池で駆動するので気が向いた時、さっと手にとって、机やパソコンの上を掃除できます。私は鉛筆で手描きのスケッチをよくやるので買ってみましたが、消しゴムのカスもしっかり吸引してくれます。

 大きなゴミは無理ですが、吸引する底面には小さなブラシが放射状についているので、埃っぽい棚やキーボードなどのダストなら簡単に拭き取れます。赤いテントウムシの他に、みどりの奴や、ユーモラスな変顔のバージョンもあります。部屋のどこに置いてもじゃまにならないスグレモノです。

今日の三つ目は、暑い夏に欠かせないアイテムです。
SODIAL Portable Folding Fan Laptop Coolong Pad

 夏の暑い部屋でノート・パソコンを使っていると、PC内部の熱が半端なく上がってきます。とくに回転するディスクのある部分の表面、私のパソコンの場合は、手を置くタッチパッドの横あたりが、ぐんぐん熱上昇するので、いつクラッシュするか、気が気ではありません。去年はアイスパッドを底に敷いていたのですが、座りがよくないし机が濡れてしまいます。なによりいちいち取り替えたりが手間でした。
 そこで数年前に使っていた、小型扇風機をパソコンの横に置いたのですが、底を触ると、熱は以前プラスティックの底面を溶かしそうな暑さでした。やむなく代替品を探すと出てきたのがコレ。
 ちょっと貧弱で頼りない作りに思えたのですが、使ってみると、たしかにパソコンの底面の温度は低減しました。机とパソコンの間に隙間ができることで、ファンの風が流れ出てくれるのです。これは電池もいらず、パソコンのUSBにつないで自動的にファンが回る仕組みです。つまりパソコンをオフにしない限りまわりつづけるのです。じつに効率的で今はほとんど使いっぱなし。華奢に見えてけっこうよく働いてくれます。
 足が折りたたみ式になっていて、十七インチごらいの大きめのパソコンから十一インチの小型パソコンまで対応できます。軽量コンパクトで持ち出しやすいのも重宝します。夏には欠かせない一品です。

 以上、机の周りを見回してちょっと気に入った便利グッズをご紹介しました。




2020年7月25日土曜日

車はフロント・フェイスで勝負

アメリカを走る車の顔 



 仕事で使っている車が、オイル交換の時期に来ていることに気がつきました.。
 いつも利用しているのは、Mavis Discount Tireというタイヤ販売の会社が運営する自動車修理のショップです。
 通常は前もって予約をしてから行くのですけれど、 時間ができたので空いてればすぐにエンジンオイルを交換してもらえると思ったのです。
 しかし残念ながら駐車場には順番を待つ車がずらりと並んでいました。
 この店はタイヤ交換が主な仕事ですが、 車のチューンナップや、ちょっとした故障もテキパキと修理してくれるので重宝しています。 便利なだけによく繁盛していて、大抵はお客さんでいっぱいです。この日は特に混雑しており、店員さんに聞くと3時間から4時間待ちだと言われました。夕方でしたが、車は明朝まで使う予定がないので、そのまま預けることにしました。閉店までにはオイル交換してくれるというので、隣接する大規模な中古車販売店をぶらぶらと歩いて見て回ることにしました。

 わたしが去年まで使っていたリンカーンMKTも売ってました。やはりこの車、顔が目立ちます。鳥の翼をイメージしたラジエータグリルが今見てもイケてますね。

 それにしても、改めてアメリカの中古車市場を見てみると、実に多種多様な車があるもんだと思いました。日本にいるときは自動車大国アメリカは、やっぱりアメ車の天下だろうと思っていたのですが、さにあらず。
 実際にみての雑感ですが、アメリカのメーカーが占める割合は半分ほどじゃないかと思います。むしろ目立つのはトヨタ、ホンダ、日産などの日本車。ついでヨーロッパメーカーです。もちろんアメリカのフォードやGMも普通にたくさん走っているのですが、あまりの車種の多さに埋もれて目立たないのです。
 そこでふと気になったのが、自動車メーカーによる車の顔、つまりフロントグリルのことです。メーカーそれぞれに特徴のあるデザインを施しているものです。

 フロントグリル(アメリカの友人たちはそう言いますが、正確にはラジエーター・グリル)で一番有名なのは、やはり BMW のキドニーグリルと呼ばれるやつでしょう。 BMW は昔から一貫してこのデザインにこだわっています。トップブランドとしての誇りでしょうか、永遠にこのデザインは変わらない気がします。
 
 アメリカの誇る高級車リンカーン。ここは昨年全車種対象の大掛かりなモデルチェンジが行われました。リンカーンといえば、ここ十数年、鳥の翼をイメージさせるかっこいいフロントグリルがトレードマークでした。これはもう非の付けようのない優雅さと高貴さを兼ね備えており、BMW同様、末永く受け継がれるであろう伝統の印になるだろうと思っていました。ところが、昨年の全車種モデルチェンジで、あの翼のデザインは一掃されました。これにはびっくりしましたね。変わってちょっと丸みを帯びた長方形の平凡なものになっていました。仕事で数年間運転していた者として、じつにもったいないと思います。
 
 ヨーロッパ勢では、ボルボの非対称袈裟懸け斬り(と私は勝手に呼んでいます)やアウディ四輪ピック(これも勝手に命名)もラジエーターグリルに一貫性がありますよね。やはり車の顔はブランディングに欠かせないものなのでしょうか。
 
 日産は近年「Vモーショングリル」と呼ばれるメタリックなV字型のフロントデザインを基調とした車種が目につきますね。それまではいまいち特徴の薄いデザインだったので、狙いはいいかもしれません。

 ホンダも、ちかごろライトを含めたフロント全体の特徴を統一させた車種が目立ちます。こちらもなかなか精悍なイメージが良いですが、そろそろ飽きられるかも。なにせあのホンダ車の顔、アメリカのどこへ行っても見かけますから。

 派手なのはレクサスです。そう、あの鼓みたいなやつ。これが出たときは、ちょっと奇抜すぎて無理かなと思いましたが売れているのか、今後も継承されていく模様です。

 あと一目でわかるのがジープです。基本的にどの車種も縦長方形を7つ並べた特徴的なグリルの意匠がもはや定着した感があります。

 さいきん躍進甚だしいのがKIAで、こちらもすべての車種に「タイガーノーズ」と呼ばれるグリルデザインを採用しています。これも一目でわかるかっこよさがありますよね。

 FORDとトヨタは目下のところ、デザインの統一性にはこだわらないポリシーなのか、車の顔はてんでんばらばらです。これもまた販売戦略の違いというものなのでしょうか。


 いずれにしても、年々進化してゆく車のデザインはこれからも見逃せません。