2021年9月14日火曜日

続:変容する世界 

サムズアップ・アメリカ!
新時代に向けての提言(序)




もう後戻りはできない

およそ一年前、このブログで「変容する世界」と題した記事を書いたのですが、賛否両論、さまざまなご意見を頂戴しました。当時はパンデミックが始まって約半年。ワクチン接種も始まっっておらず、全く先の見通せない状況での記事でした。
しかしながら一年たった今、この先の未来は私が懸念した方向に向かってると言わざるを得ません。

日本の方はご存知でしょう。日々のニュースで日本の対コロナ政策がいかに不十分で、後手後手に回っているか。
医療と経済の板挟みで、日本政府は決定的な政策いや筋道さえ作れていません。こういったことを言うと「批判するのはたやすく実行は難し」と反論が来るのですが、それを承知でも国民はもっと強く明瞭なリーダーシップを求めるべきです。あっちやこっちのご機嫌を伺いながら行ったり来たりでは埒が空きません。
フランスでは今、マクロン政権がワクチン接種による差別問題で暴動まがいのデモが起きていますが、その是非はともかく毅然と決めたことを推し進める姿勢は評価できます。
日本は表向き、すべからく「和を持って尊し」という精神でやっていく建前の国なので、なかなか方向が定まらないのです。


不確かさを否定できない

アメリカでは今年春頃までワクチン接種が順調に進み、バイデン大統領が「アメリカはコロナに勝った、マスクのいらない時代が来た」と宣言しましたが、1ヶ月もしないうちにデルタ変異株の台頭で前言撤回となりました。
加えてワクチン接種に否定的な人が人口の一定数を占めており、目標の「7割国民ワクチン接種」が達成困難であることがわかってきました。
数種類のワクチンを開発したアメリカでさえ、この急激なパンデミックの流れを見通せていないのです。

もはや国民は何を信用していいのやら、根深い疑念を燻らせていると言わざるを得ません。
マンハッタンの混雑する街並みをみていると、一見活気を取り戻したようにも見えます。これは昨年9月の状況と照らし合わせると確かに違います。
しかし道行くニューヨーカーはマスクをしていない人が半数を占めています。
政府や医療機関がマスク、マスクと言っても、接種済みの人はどうしても気が緩みがちになります。また以前からマスク否定派の人達は、ここぞとばかりにワクチンなし、マスクなしで街を闊歩しているワケです。これでは感染がおさまるわけがありません。
ワクチン先進国にしてこの有様です。
世界一統制の取れた国民(ホンマかいな)の日本でも、規制の脇はアマく、海外から新たな変異ウイルスの流入が絶えません。オリンピックの時もそうでしたが、徹底した(と言われる)検査体制にも関わらず、なぜ水際作戦が機能しないのでしょうか。
答えは簡単です。





私はリムジンで日々、国際便の旅客を空港で送迎していますが、その移動期間中に感染しないか、いつもヒヤヒヤしています。
もちろんCDC推奨のKN95マスク着用、モデルナのワクチンは接種済みです。加えて社の方針で2週間に一度のウイルス検査もしています。
お客さんにもマスク着用をお願いするのですが、中にはルーズな人もいます。乗車したときはマスクをしているのですが、電話の時に外したり、いきなり食事をする人、くしゃみや咳をする人も後を断ちません。
以前なら気軽にニューヨークの魅力を談義しながらドライブしていたのですが、あまりお喋るすぎるお客さんには心で「もう喋るのやめて〜」と叫んでいます。

ニューヨーク州では現在、海外からの渡航者は出発前検査での陰性証明書と、滞在初日から2週間の外出控え要請が出されています。
しかし、この外出控えが問題なのです。私は海外からのお客さんに聞きました。
「あなたは2週間、滞在先で外出できないですよね」と。
そしたら答えをぼかす人と「はい」と答える人は半々でした。いやひと組のカップルは明確にスケジュールの都合でそれは無理、と答えたのです。
私はニューヨークに来る人のいったい何人が2週間も悠長にホテル滞在できるのか、甚だ疑問です。せっかくニューヨークまできたのに、外に出ない人がいると思いますか?
私はこの対策は絶対にザルであり、感染拡大の大きな抜け穴だと思っています。

じゃあ、一体いつになったらこのウイルス問題はおさまるの?
そう聞かれて明快に回答できる人はいないでしょう。政治的問題、経済への懸念、医療の逼迫、人流を司る心理的要因の変動、ウイルス変異の不確かさ、などなど。あまりにも多くの要素が入り混じって、予測をますます困難にしています。

と言うわけで、私は改めて一年前の記事でも触れた「柔軟性の時代」への移行を提言します。




柔軟性の時代だ!

はい、もう割り切って行くしかありません。
コロナの時代はまだまだ続く。そう考えた方が気が楽です。気分だけじゃなく、本当に身を守れます。脱コロナを考えず、Withコロナで生き抜く方を求めてゆくのです。
またあのマスクのいらない普通の生活、人混みの中でワイワイやれる時代が帰ってくる、なんて淡い期待は捨てましょう。

これからは「ウイルスと共存する時代」なのです。いやそもそも生物はウイルスと共生しながら何億年とやってきたのです。中にはタチの悪い(相性のよろしくない)コロナさんなんかもたまにあると納得してください。
脅すわけではありませんが、Withコロナは100年続いても不思議ではありません。インフルエンザが周期的にずっとやてくるのと同様、コロナウイルスも地球に定着した(したと思った方が良い)のです。どんなに駆除に励んでも、変異しながら常に人と共に生き続ける、それがウイルスです。
人がそれぞれ勝手な解釈でウイルスに対しているかぎり、これは絶対変わらないのです。

それならそれでいいじゃありませんか。それは必ずしも人類の敗北ではありません。腹を括りましょう。コロナと共存する道へシフトするのです。

ただしそれには柔軟な思考法が必要です。
幼少の頃、私の娘は蜘蛛恐怖症で、小さな蜘蛛でもみただけでパニクっていましたが、兄が昆虫好きで、蜘蛛も含めて、色々飼育しているうちに、娘も蜘蛛を見慣れるようになりました。怖い怖いと思っていた存在に対処できるようになったワケです。
コロナウイルスも、医師や専門家の的確な指導のもと、注意怠りない生活をしていれば、そうそう容易に罹患することはなくなる時がきます。防護対策も進むでしょうし、ワクチン以外にも治療薬の開発が進み、重症化の前で食い止める方策も色々出てくるはずです。
大きく見れば、今はまだパンデミックの初期段階と言えます。

コロナウイルスには人類を舐めるなよ、と言いたいです。人類の叡智はこれから次第に発揮されていきます。未曾有の出来事なので、初期段階においては不手際続出ですが、いよいよ来年あたりから新たな動きがあるでしょう。

我々はそれまで柔軟な発想で生きねばなりません。
政府主導の対策だけでは、いつも後手後手になるので、小回りの効きやすい地方自治に積極的に参加することをお勧めします。
あなたの声をあなた自身の所属する自治体に直接届けるましょう。民主主義社会ではこれを活用しない手はないのです。
うちの近所のとあるおばさんは、いつも町のコミュニティを引っ張って、市役所にリクエストするのが趣味のようになってます。ここ数年で、町の要所に横断歩道を作らせたり、役所のサービス向上を促したりとても熱心に税金の使い道を模索しています。
コロナの問題なら尚更、もっと地域行政が市民の声に耳を傾けるべきでしょう。




耳の痛い提言も

このような人の命に関わる緊急事態ですから、甘いことばかりではありません。
実際私の知人で、日本で串カツ店を営むご夫婦は、仕事ができなくなって悲鳴を上げていました。それはもう痛いほどわかります。かといって私がどうこういっても「現実を見ろ!」などと言われて口論になるだけなので、何も申し上げませんでした。でも本当は「やれるだけのことはやってみたら?」と言いたかったです。
例えば店内改装。アクリルの仕切り版だけでなく、空調のシステムや座席配置を抜本的に変えるとか、営業スタイルを、配送、配達のみにし、それに合わせた新メニューを作るとか、です。
資金繰りやら従業員雇用問題やら、現実にはクリアしなきゃいけない問題が山積みになるのは承知でそう言いたかったです。
本当にその仕事を維持したいのであれば、それなりの資金とエネルギーを費やしてでも大胆な改革を図るべきです。それが現実上無理ならば、思い切って転職するしかありません。

とにかく今は何をするにも長期的観点が必要。事業においてもその場凌ぎの対処療法では追いつきません。それよりいかに地域社会と帯同して対策に取り組んでいくかです。
そうして人々はけっきょく、昔ながらの助け合い運動、みたいな精神が必要となってくることに気づきます。

コロナから逃げるのではなく、共生する道を模索する。これがキーワードだと思います。

生活様式を見直しましょう。今うちの田舎町には、マンハッタンでアパート暮らしをしていた人たちが、続々と移住してきています。都会のオフィスを離れ、郊外でリモート形式の仕事をする人が後を立ちません。
ちょっと前までは一時的な撤退、といった感覚でこちらにきた人たちが、今では本格的にこちらに移住しようと、本腰を入れ始めています。
事実、マンハッタンのアパートは空きが増え、逆にこちらの田舎では不動産価格がうなぎ上りです。
このように、ライフスタイルにも大きな変化が出始めているニューヨークですが、これは今後、他の大都市圏周辺でもどんどん進むでしょう。もう後戻りはできないと腹を括った結果です。





結論

世界は徐々に、しかし紛れもなく今までとは違った形に変容しつつあります。
目に見えない小さなウイルスが人間の生活様式を変えていくのです。リモートでの仕事は弊害も指摘されていますが、そのうち順応する企業も増えてくるでしょう。リモート不可能の業種においても、ソーシャルディスタンシングの進化型が導入されるはずです。
医療現場に方には本当に頭が下がる(いやそれ以上の崇敬の念があります)が、対ウイルスの治験・研究開発の分野では急ピッチで、治療薬や医療機器の開発が進んでいると聞きます。
あと少し持ち堪えて、医療体制が整えば、コロナ恐るるに足らずの時代は必ずやってくると信じています。
まさにコロナよ、人の叡智をナメるなよ、と言える時がやってくるのです。
それまでの、この一番苦しい過渡期をどう凌ぐか。みんなで知恵を出し合って、助け合い精神を発揮しようではありませんか!

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