2022年9月14日水曜日

オリオン大星雲の最新画像

サムズアップ・アメリカ!
ウェッブ宇宙望遠鏡、星雲の画像を発表




NASAとESA、CSA が共同でプロジェクトを進めているジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡は、この度オリオン大星雲の内部を最も詳細にとらえた画像を公開しました。

オリオン星雲は、オリオン座の方向、約1350光年の距離にある散光星雲です。
NGC1976、メシエ42、M42、LBN974、シャープレス281とも呼ばれ、約24光年にわたって輝く雲です。

肉眼では、オリオンベルトの下、ハンターの剣にあるオリオン座シータ星を囲むように、ぼんやりとした斑点として見ることができます。

オリオン星雲は、記録に残る天文学の始まりの頃から星として知られていましたが、ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡を使ったわずか1年後の1610年に初めて拡大星雲として注目されたほど、その存在感は際立っています。

この星雲の詳細な記述は17世紀後半に始まり、それ以来、望遠鏡を持つ人たちの人気の的となっています。

200万年前のオリオン星雲は、若い星や形成途中の星を研究するための理想的な実験場です。この星雲は、46億年前に太陽が誕生したときの様子を垣間見せてくれるのです。

この星雲の新しい画像は、ウェッブの早期公開科学プログラム「Photodissociation Regions for All (PDRs4All)」の一環として撮影されたものです。





「我々は、オリオン星雲の息を呑むような画像に圧倒されています。」
ウェスタンオンタリオ大学の天体物理学者であるEls Peeters教授はそう語り、また次のように述べています。
「我々はこのプロジェクトを2017年に開始したので、これらのデータを得るために5年以上待っていたことになります。」さらに、
「オリオン星雲の観測は、ウェブの前例のない高感度な機器にとって非常に明るいため、挑戦でした。」とCNRS天文学者Olivier Berné博士は付け加え、
「しかし、ウェッブは信じられないほど、遠くの暗い銀河や、赤外線で最も明るい天体の一つである木星やオリオンを観測することができます。」と称賛。
「これらの新しい観測によって、大質量の星が、それらが生まれたガスや塵の雲をどのように変化させるのか、よりよく理解することができます。」と述べています。

「若い大質量星は、大量の紫外線を直接、大質量星を取り囲む雲に放射し、雲の物理的形状や化学組成を変化させます。これがどのように正確に作用し、更なる星や惑星形成にどのような影響を与えるかは、まだよく分かっていません。」とも。

新しいウェッブ画像は、オリオン星雲内部の多数の壮大な構造を、太陽系サイズに匹敵するスケールまで明らかにしています。





「いくつかの高密度のフィラメントをはっきりと見ることができます。これらのフィラメント構造は、塵とガスの雲の深い領域で新しい世代の星を促進する可能性があります。また、すでに形成されつつある恒星系も見えています」とベルネ博士は語っています。
「その繭の内側では、惑星が形成される塵とガスの円盤を持つ若い星が星雲の中で観測されています。生まれたばかりの星の強烈な放射線や恒星風に吹かれて掘られた小さな空洞もはっきりと見えています。」とも。

プロプリド(Proplyds:イオン化された原始惑星系円盤の略)
は、惑星が形成される塵とガスの円盤に囲まれた中心の原始星から構成されています。
また、原始星のジェットや流れ出し、塵に埋もれた新生星が画像中に散見されます。

「このような環境で星間物質がどのように構成されているのか、また、厳しい放射線の中で惑星系がどのように形成されるのか、私たちはこれまで見ることができませんでした」と、宇宙物理学研究所の天文学者エミリー・ハバルト博士は語っています。

これらの画像は、惑星系における星間物質の遺産を明らかにするもので、今後の惑星の生成や構造の解明に役立つことが期待されます。



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