2021年12月29日水曜日

Nikon Z9のライバルたち

サムズアップ・アメリカ!
出揃ったカメラメーカー各社の切り札



プライドを賭けたハイエンドの戦い



ニコンZ9 vs ソニーa1 vs キヤノンEOS R3。それぞれの特徴

今年は最高のフルフレームミラーレスカメラが3機種も登場しちゃいましたね。
まさにカメラ界大豊作の年。ソニーa1がラインナップの先陣を切り、その4ヵ月後にキヤノンEOS R3が続いた。そして今、Nikon Z9がカメラの展望を揺さぶろうとしています。


この3つのカメラがついに発表され、残る問題は、どのカメラを手に入れるか?(かな?)
もちろん、すでにソニー、キヤノン、ニコンのいずれかのシステムに投資しているのであれば、何を買うべきかはすでに決まっているはず。

なので、よもやこの期に及んでこの3機種からどれにしようかなと迷っているカメラファンはいないと思いますが、それでももしこの3機種から敢えて、一台を選ぶとなると、これは非常に悩ましい選択に迫られそうです。


特に最近カメラに魅せられ、初心者用のカメラから一気に頂点を目指す冒険者にとって、Sony a1 vs Nikon Z9 vs Canon EOS R3はいずれも夢が叶いそうな理想の選択肢となります。

ここでは細部の詮索は後の楽しみとして、各カメラの概要をざっくりと再チェックしてみました。




検証!ニコンZ9 対 ソニーa1 対 キヤノンEOS R3






センサーサイズ

センサーのスペックだけで言えば、5000万画素の積層型フルフレームCMOSセンサーを搭載したソニーa1が勝者です。一方、ニコンZ9は4570万画素のセンサーを搭載しており、その差は僅かです。キヤノンEOS R3は2400万画素で大きく水を開けられています。

しかし、センサーの大きさがすべてではありません。センサーが一番小さいからといって、キヤノンR3が劣っているわけではありません。むしろ2400
万画素程度が汎用的で、さまざまな用途に相応しい万能サイズという声もあります。
あくまでもこの3機種の中で解像度が小さいというだけで、ごく標準的なこのセンサーサイズなら、全く十分で素晴らしい写真を撮ることができるのは明白です。



連続撮影

3機種とも30fpsのJPEG撮影が可能です。しかし、Sony a1とNikon Z9だけが20fpsでRAW画像を撮影することができます。

しかし、ニコンにはもう一つのトピックがあります。Z9は1100万画素で120fpsのJPEG画像を撮影することができるのです。
これは、一部の人にとっては些細な特徴かもしれません。しかし、ウェブやソーシャルメディアの画像には、1100万画素あれば十分です。ネットで作品を挙げるのが主流の時代、ここも目の付け所です。



手ブレ補正

手ぶれ補正機能も、これら三機種いずれのカメラでも問題ないでしょう。全機種に最新のボディ内手ブレ補正(IBIS)を搭載しています。

しかし、キヤノンR3は、レンズ内手ブレ補正とボディ内5軸手ブレ補正機構の協調制御により、最高約8.0段の補正効果を実現。数字上でもニコンZ9とソニーa1を上回っています。



光学系とオートフォーカス

Canon EOS R3は、Sony a1と同様にコントラスト検出型と位相差検出型のオートフォーカスを搭載しています。両機種とも選択式シングルポイント、トラッキング、シングル、コンティニュアス、タッチの各オートフォーカスを搭載しています。顔検出とライブビューオートフォーカスも利用可能です。

ニコンZ9は位相差AFしか搭載していないことを除けば、そこまで比較する必要はないでしょう。

オートフォーカスの点数ではキヤノンR3が勝っています。ニコンZ9が493点、ソニーa1が759点であるのに対し、1053点のAFポイントを有しています。

ニコンZ9は、自動車、バイク、視線追従AFが印象的です。ソニーa1は視線・顔追従、動物の視線追従を搭載しています。
AFのスピードに関しては、これまでSONYの独壇場と言われていましたが、今は各社とも同等か、ニコンZ9の総合的AF能力について言えば、他より一歩リードしているかもしれません。







ファインダー

ファインダーはどのカメラも大きいです。ソニーはファインダー倍率が0.9倍なので、少し大きく感じるかもしれません。また、キヤノンやニコンのカメラに比べ、解像度が高いです。

モニターに関しては、画面サイズもそれほど変わりません。すべて3.2インチのタッチスクリーンで、キヤノンR3はフルアクションです。

ソニーa1は伝統的なチルトスクリーンで、ニコンZ9はユニークな垂直チルト機能を備えています。



スチル撮影機能

ニコンZ9は、最短シャッタースピード900秒、最高シャッタースピード1/32000秒です。

メカニカルシャッターの場合、EOS R3はソニーa1のように30秒と遅くなることがあります。しかし、電子シャッターにすると、1/64000まで行けます。ソニーは電子シャッターで1/32000に止まっています。

絞り優先、シャッター優先、フルマニュアルモードなど、通常のモードもすべて利用可能です。しかし、キヤノンは素早いスナップショットのためにシーンインテリジェントオートを搭載しています。プロはともかく、アマチュアには咄嗟の場合、重宝します。

フラッシュに関しては、どのカメラも内蔵フラッシュを搭載していません。なぜなら、想定しているマーケットは、すでに外部フラッシュを手にしているプロフェッショナルだからです。

しかし、ソニーa1のフラッシュ同調速度は1/400、R3の同調速度は1/250である。ニコンZ9は1/200です。

適切なフラッシュを使用すれば、すべてのカメラが高速シンクロをサポートします。これは、ライティングをよりコントロールする必要がある場合に最適です。



ビデオ撮影機能

3機種とも4K動画を撮影します。Canon R3は120pまでの4Kを撮影します。しかし、ソニーとニコンは8K録画でワンランク上の映像を撮影します。

ビデオ撮影は最近ソニーの得意分野であり、Sony a1にもそれが表れています。Logで8K動画を撮影でき、HDMI経由で4K RAW動画を撮影することができます。

Nikon Z9は、最大2時間のノンストップ撮影が可能な8Kビデオ録画機能で、多くの人を驚かせました。これはビデオグラファーにとって、オーバーヒートを心配する必要がないため、大きなメリットとなります。

一般のビデオグラファーならば、3つのカメラのいずれを選んでも不満はないでしょう。しかし、プロにとっては、Sony a1とNikon Z9がベストな選択と言えます。

またソニーは1080p 240pのスローモーション映像など、特別な機能を備えています。

ニコンは、Z9に近々ファームウェアのアップデートが来ると言っていました。これには、内部での12ビットRawビデオ記録とProRes 4Kが含まれる予定です。









ストレージと接続性

これらのカメラはデュアルカードスロットを持ち、SDXCとCFExpressカードに対応しています。しかし、Sony a1のみCFExpress Type-Aで動作します。R3とZ9はCFExpress Type-Bを使用します。

接続性については、すべてのカメラにUSB 3.2 Type Cスロットが搭載されています。USB充電に対応し、HDMI出力も備えています。マイクやヘッドホンは専用端子で対応します。

Wi-FiとBluetoothにより、カメラからスマホへの画像転送も簡単に行えます。すべてのカメラにリモコンがありますが、それぞれメーカーの特徴があり、使い勝手も違います。
EOS R3とZ9はスマートフォンから操作できます。ソニーa1はBluetoothまたはUSBテザリングでも
操作でる、と言った具合です。



造りとクオリティ

現代のフラッグシップカメラの例に漏れず、これらのカメラの造りの良さは際立っています。すべてのモデルにマグネシウム合金のボディが採用されています。これは、どのような条件下でも長期間の使用に耐える耐久性があることを意味します。
特にニコンは戦場で使えるカメラとして、堅牢性の伝統は受け継がれています。タフさに関しては、ニコンは譲らないでしょう。

また、耐候性にも優れています。予期せぬ豪雨にも耐えられますし、砂漠での撮影などでも保護されます。

しかし、だからといって、雨に打たれてもいいというわけではありません。これらのカメラを使用する間は、やはり予防措置をとる必要があります。

見た目で言えば、キヤノンEOS R3やニコンZ9は、ソニーa1に比べて物理的に大きくなっています。これは、ソニーには縦位置グリップがないのに対して、キヤノンには内蔵されているためです。

キヤノンR3はバッテリー込みで1015g。ニコンZ9は1340gで、この中では最も重い。ソニーa1は737gで最も軽い。



バッテリー駆動時間

キヤノンEOS R3はLP-E19電池を使用し、最大760枚の撮影が可能です。一方、Nikon Z9はEN-EL19Dバッテリーを使用し、最大740枚の撮影が可能です。

一方、ソニーa1はNP-FZ100電池を使用し、定格撮影枚数は530枚までとなっています。これは、R3やZ9と比較して、カメラのサイズが小さいためです。

キヤノンとニコンは、コンパクトさと機能性、電池の持ちの良さを引き換えにしたのです。




価格と発売時期

キヤノンEOS R3の価格は5,999ドルで、ソニーa1は6,500ドルで最も高価です。ニコンZ9は5,500ドルで最も手頃な価格です。ニコンの価格設定には多くのカメラファンは驚いています。いずれも十分高価なカメラではありますが、ニコンの縦グリ一体化フラッグシップ機がこの価格というのは、まさに意表をついた戦略です。

キヤノンR3は今年2021年11月に発売されました。ソニーa1は市場に出てから数ヶ月が経過しています。Nikon Z9は12月24日、ついこの間発売されたばかりです。

どのメーカーも現在、半導体の供給不足で在庫は品薄です。せっかくハイエンドカメラの戦いの火蓋が切られた2021年にこのような状態になるとは皮肉なものです。しかしこの状況から脱した暁には、デジタルカメラの新時代が到来するのではないでしょうか? そうあってほしいと願うばかりです。




どのカメラシステムが最高のレンズ資産を有しているのか?


カメラを購入する場合、ボディだけが決め手ではありません。
レンズの選択も考慮する必要があります。レンズの選択肢が少ないカメラシステムに飛びつくのは、要注意です。
今後、あなたがどのようなシチュエーションで、どういった特性を持つレンズが必要になってくるのか。これを視野に入れた上で、システム構築を練らなければいけません。

2021年末現在の比較では、ソニーが依然として最大のレンズコレクションを持っています。現在、41本のネイティブGレンズが利用可能です。さらに、ソニー純正のGレンズ以外にも、ツァイスなどのサードパーティ製の素晴らしい選択肢もあります。

ニコンZマウントもここ数年で大きく広がりました。20本以上のレンズから選ぶことができ、すべての焦点距離をカバーしています。サードパーティのオプションも充実してきています。また、適切なアダプターを使用すれば、ニコンのデジタル一眼レフカメラ用レンズもZマウントのカメラで使用することができます。
最後に、キヤノンRFマウントは、サードパーティ製を除いて23本のレンズがラインナップされています。

つまり、3ブランドとも大三元のレンズを持っているのです。
大三元とは、異なるシチュエーションをカバーする3本の明るいF値通しレンズのことを指します。通常、超広角レンズ、ワイドズームレンズ、望遠ズームレンズが含まれます。

レンズの選択だけなら、今はソニーに軍配が上がります。しかし、キヤノンとニコンも通常の焦点距離をすべてカバーしているので、この2つのブランドはレンズでも選択肢から外れることはないはずです。



あなたはどのカメラを手に入れるべきか?

Nikon Z9 vs Sony a1 vs Canon EOS R3の議論は、明確な勝者を決める決定打に欠けます。いずれも今出し得る最高のスペックを誇り、妥協を許さないビルドクオリティがそれを支えています。
実際、これらのカメラの能力を見ると、最高のカメラを判断するのは難しい作業です。逆説的に言えば比べれば比べるほど、どれを選んでも一長一短が生じるのです。
(仮に見方を変えて、重量(軽さ)を重要視する方には現行、Sony a1一択に思えます。)

キヤノンEOS R3には、手ブレ補正やAFポイントの数などの優位性があります。さらに、ポートレートに関しては、キヤノンの色彩技術はやはり圧倒的です。

一方、ニコンZ9は、これまでのカメラが競合他社に押され気味だったことを考えると、ニコンが発売する「何でもあり」の万能カメラのように見えます。
AFのスピード、ビルドクオリティ、写真やビデオの品質など、すべてのスペックがトップクラスです。

ソニーa1は、スポーツやアクションの写真家に大きな恩恵をもたらすフラッグシップ機能をもたらします。レンズの選択も素晴らしいので、どんな状況でも完璧なレンズを見つけることは難しくありません。


さてここまできて、いきなり乱暴に結論づけると、現在の3機種の中では総合力でニコンZ9が一番良いということになりそうです。
もう一つ、価格は大きな要因です。5,500ドルで、ソニーの動画機能に匹敵し、かつニコンが得意とする素晴らしい写真が撮れるフラッグシップ機を手に入れることができるのです。

もしソニーa1の価格を下げれば、競争は厳しくなります。しかし今のところ性能、価格を考慮に入れると、Nikon Z9に軍配が上がりそうです。






さて、もしあなたがすでにカメラシステムに投資しているなら、所有するメーカーからのフラッグシップカメラで十分。何も変更する必要はありません。システムを完全に変更するのは大変なことですから。

でももしこれからシステムを組もうという方なら、ニコンの未来は明るいかもしれません。
今後の展開を考えると、ニコンの選んだ大きなマウント径の利点はジワジワ効いてくるはずです。しかもレンズの評価も新型が出るたびに上がり続けています。さすがニコン。ダテに長くカメラ製造続けてきたわけではありませんね。

無論ライバルのキャノン、ソニーとて、今後もそれぞれの利点を活かしたカメラ、レンズを繰り出してくるでしょうから、気を抜くことはできません。

さて、あなたにぴったりの最上機種カメラはどちらでしょうか?


以上、ニコンZ9、ソニーa1、キヤノンEOS R3の机上の空論談義でした。


*Nikon Z9に関してはこちらもご覧くださいhttps://www.amemono.com/2021/11/z9.html

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