2021年12月26日日曜日

今年、全米第一位ベストセラー小説

サムズアップ・アメリカ!
今アメリカで最も読まれる作家



クリスティン・ハナの勢いが止まらない

2021年1月に出版された「The Four Winds」は全米の書店の店頭に並ぶや火を吹くような勢いでヒットチャートを駆け登り、瞬く間に全米一位の売り上げを記録し、メディアでは早くも今年のベストワンブックに挙げられました。
ニューヨークタイムズ初め、並いる影響力の高いブックレビュアーがこぞって絶賛するこの作品とはどんなものなのでしょうか?

いずれの書評にも「感動する」「涙が止まらない」「読み始めたら止まらない」などの胸熱の感想が続出し、読者を鷲掴みにするドラマ性が本作の成功要因であることは確かです。

しかしこの全米を席捲したクリスティン・ハナの快進撃は本作に始まったことではありません。

ここ数年、アメリカで彼女の出す小説全てが片っ端から大ベストセラーになっています。
日本ではほとんど無名ですが、90年代後半から着々と実力をつけてきたクリスティン・ハナは全米で今や押しも押されぬ、現代小説の大御所と言っていいでしょう。

特に2015年の「The Nightingale」、2018年の「The Great Alone」あたりからは神がかり的な物語作家としての本領を発揮し始め、業界では「彼女の作品にハズレなし」との暗黙の了解さえ生まれています。
いわば、日本で例えれば村上春樹的なアイコンを獲得しているのです。とはいえ彼女の作風は時代の先端をいくような、洗練されたものではありません。

スタイリッシュとは真逆の、地に足のついた土臭い、骨太な歴史大河小説を想起させます。日本で言えば、山崎豊子に近いポジションでしょうか。

今年の最新作「The Four Winds」ではその重厚な物語に人物造形の奥行きが加わり、更なる圧倒的な熱量が読者を圧倒してきたようです。

それでは今年、全米ナンバーワンの輝くこの小説の内容、一体どのようなものなんでしょうか?



要約すると、

「テキサス平原からカリフォルニア海岸まで、より良い生活を求めて努力する一家を描いた大恐慌時代の物語です。」


え? それだけじゃさっぱりですよね。もうちょっと「あらすじ」に突っ込んでみましょう。

その前にある書評家のこの惹句をご紹介しておきます。


「あなたはThe Four Windsを手放すことができないでしょう。文字どおりです。私は3人の幼い子供を持つワーキングマザーですが、この450ページの本を36時間で読みました。登場人物は忘れがたく、ストーリーテリングは魅力的で、今の生活との類似性は特筆すべきものがあります。クリスティン・ハンナの真骨頂です。」



あらすじ

「主人公のエルザ・マーティネリは、義理の両親と飲んだくれの夫、そして二人の幼い子供と一緒に暮らしている。
肉体的、精神的、感情的なあらゆる面で生き延びようともがくエルサは、子供たちのために厳しい選択を迫られる。
このまま旱魃の中を生き抜くか、それとも仕事と太陽と繁栄が約束されたカリフォルニアへ向かうか?
20年にわたる『The Four Winds』は、アメリカン・ドリームを実現しようとする普通の人々の気概、勇気、犠牲を描いた作品である。」



これで大体の感じが掴めるように、いわばアメリカ版「大河ドラマ」のような作品です。
違うのは、主人公が有名な歴史的人物ではなく、市井の名もなき女性で、彼女が歴史の激動に翻弄されるという点が特徴です。

本作は愛され、必要とされ、理解され、変化をもたらすという、私たちの最も深い願望を描いています。
登場人物たちが経験するさまざまな感情に引き込まれ、何度も涙を流すことになります。

前作『The Great Alone』と同様に、土地は本の中で特別なキャラクターのようなもので、物語に深みと複雑さを与えています。

クリスティン・ハンナは明らかに研究を重ねており、読んだ人は、みんなこの本を配りたくなるような衝動に駆られると言います。まさにページターナーとして面目躍如の一作なのです。
2021年のトップ・ブックになったのは、この魔力にも似たクリスティン・ハナの物語創作力あってのことなのですね。






本書のキモ

1934年、テキサス州。数百万人が失業し、干ばつが大平原を破壊している。
農民たちは、作物が育たず、水が枯渇し、土埃ですべてが埋もれそうになる中、自分の土地と生計を維持するために戦っている。
世界恐慌の中でも最も暗い時代のひとつと言われる「ダストボウル時代」が再びやってきたのだ。
この不確かで危険な時代に、エルザ・マーティネリは、多くの隣人たちと同様に、愛する土地のために戦うか、より良い生活を求めて西のカリフォルニアへ向かうか、苦渋の選択を迫られます。
「The Four Winds」は、勇気と犠牲を払った一人の不屈の女性の目を通して見た、アメリカとアメリカンドリームの忘れがたい肖像です。現実の歴史とリンクしているだけに、アメリカ人にとってはより真に迫り、先祖の歴史を思い浮かべる人もいるでしょう。
この小説がもたらしたインパクトの大きさから察するに、遠からずNetflixあたりが豪華キャストでドラマ化したりするのではと思っています。

またこの反響の大きさから見れば、当然日本語訳版も出てくるのではと思われます。
待ちきれない方は、ぜひ本国版に挑戦してみてください。


最後に、絶賛の嵐となった各種書評サイトから、読者レビューをかき集めてみましたので、ご参考になさってください。



読者の声

クリスティン・ハンナの書くものは全て最高! 
この物語の全容が予想される冒頭から、費やすべき時間や情報量は半端ないと危惧しましたが、Hannahはそれをとてもうまくやり遂げました。このような、「痒いところに手が届く」ような作品に出会えるのは、本当に嬉しいことです。



このような "儚さ "を持った作品に出会えるのは、本当に嬉しいことです。戦士は決してあきらめない。戦士は自分より弱い者のために戦う。それはまるで母性のようだ!



"愛とは、他のすべてが失われたときに残るもの" 。クリスティン・ハナが示した私のお気に入りの格言です。世界恐慌を舞台にした、苦難、貧困、回復力、母娘関係、愛、そして贖罪の物語。星は満点の5/5。



クリスティン・ハンナという作家はどう表現したらいいのだろう......どの小説も美しく、私の心を揺さぶる。中でも本作のエルザは最も素晴らしいキャラクターの一人です。私は母親として、彼女のような愛と意欲を持ちたいと願うばかりです。



私はクリスティン・ハンナが大好きです。彼女は美しく、とても考えて書いています。すべての言葉が意図的で、彼女の物語は他のものより長く読者の心に残るのです。



この物語は、本を読んでいる間のほとんどが悲しい、悲しい、悲しいです。この本が私の今年のトップ10に入らないわけがない。これは単純に驚異的な物語で、最後には涙が流れていました。



この本には何度も涙を流しました。私はカリフォルニアのセントラルバレーに住んでいます。私の父の両親はカリフォルニアにやってきて、ダストボウルの時期に「オーキーズ」でした。彼らは自分たちの経験について決して語りませんでした。



なんという話でしょう。読み足りないので、一日で読んでしまいました。この本は、本当に深い感情を感じさせてくれます。



関係者の皆さん!  私は本を読んで泣くことはないのですが、エルサの話を読み始めた瞬間から止まらなくなりました。1930年代の問題(移民、富の分配、労働倫理)は、現在でも通用するものだと思う。



30年代の出来事であるにもかかわらず、この本は今と関連性がある。仕事が多すぎるし、それを埋める人も足りない。The Four Windsを読んだ後、私は自分の仕事に永遠に感謝することになるだろう。即席のお気に入りです。


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