2020年6月30日火曜日

アメリカのパンって美味しいですか?

日米パン食べ比べ 

 最近アメリカの食料品店に行って気がついたことの1つ。それは店頭に並ぶパンの傾向が変わってきたなと言うことです。

 どういうことかというと、やたらにホールウィート(Whole Wheat Flour)のパンが幅をきかせていると言うことです。健康に良い言うことで、少し前から日本でもいわゆる全粒粉パンとよばれるものは増えてきているようですが、アメリカのヘルシー志向はますますエスカレートする傾向にあります。

ちょっと多すぎる気がする全粒粉パン

 とにかく食パンの陳列棚を見ると、各メーカーが競うように所狭しとホールウィートブレットを並べています。もうほとんどホールウィートだらけと言ったら言い過ぎでしょうか。でもちょっと前まで明らかにこんなんじゃなかったです。

 ひとつには既存の白い食パンに魅力がなくなったと言うことでしょうか。正直言ってアメリカの白い食パンはどれもいまいちです。日本のあのふっくらしっとりした芳醇な甘みをたたえた食パンがとても懐かしいです。そう、食パンも日本に来て日本人の口に合うようにどんどん進化していったのです。当然アメリカではあの味に巡り会う事はできません。きっぱりあきらめて、アメリカで暮らすからにはアメリカのパンに慣れるしかありません。しかしアメリカも今や健康志向。パン業界もどんどん変わってきているのです。

 でもわたしゃあのホールウィートのパンはいただけませんね。ホールウィートのパンは味を犠牲にしていると言うのはアメリカも同じ。周りのアメリカ人に聞いてもホールウィートの良さは認めつつも、味を絶賛する人は皆無です。でも売れているのは確かなようで・・・このあたりはジレンマを感じるのです私は。

 しかしさも言いながら、健康第一で考えると、やはりこれからの売れ筋はホールウィートとなるのでしょう。私はそれに逆らうわけではありません。ありませんが、どうせ食べるならもう少し味わいのあるもの、と言うことで最近は穀物入りのパンを好んで選んで食べるようになりました。

 こっちではマルチグレイン•ブレッドなどと呼ばれてるやつです。これも各メーカー競うように出し合っていて激増中。穀物が十種類、十二種類、中には二十種類かつオーガニックなんていうのもあります。最初は慣れなかったのですがよく噛んで食べていくに従って、その味わいを楽しめるようになりました。近頃はサンドイッチのパンも八種類ぐらい穀物の入ったパンでないと物足りない感じがします。慣れというのは恐ろしいものですね。では日本にもある穀物入りのパンとはどう違うのでしょうか。

 日本で人気の山崎パン十二穀ブレッドは、パッケージの成分表によると、ひまわり、ごま、とうもろこし、キヌア、小麦、大麦、ライ麦、大小麦、オーツ麦、きび、玄米、スペルト小麦の12種類の穀物が入っています。

 一方アメリカのパンメーカー最大手のひとつアーノルド社のマルチグレイン、十二穀物入りパンはというと、全粒小麦粉、小麦グルテン、ひまわりの種、ひきわり小麦、ライ麦、オート麦、挽いたトウモロコシ、そば、玄米、大麦、亜麻仁、キビ、ナツメヤシ、大豆レシチン、ナッツ、クルミまたはヘーゼルナッツおよびアーモンド。と成分表に記載されています。比較すると、同じ穀物入りパンでも日米では内容がけっこう違っていますね。印象ではナッツの触感が粗くて大粒感があるような気がします。これも好みですね。

 山崎パンは手元にないので食べ比べることはできませんが、風味も食感もかなりの差があることは想像できます。

 もちろん成分だけではなくイースト菌や砂糖や塩、防腐剤の配分などもちがうだろうし、製法などによっても食べた印象は全然違ってきますからね。どちらがいいとは言えません。ただ、一般的に言って日本人はパンの柔らかくモチモチした食感が好まれますよね。穀物パンでも柔らかさを維持することに力を入れてるのではないでしょうか。

 一方でアメリカ人はと言うと、一般的にあっさりした食感を好みます。アメリカ人ももちろん、ふんわりとした食感を好む人はいるのですが、モチモチとした食感はあまり評価されません。納豆食べる日本人とあのネバネバが理解できないアメリカ人の差でしょうか。モチモチと言うのは今一歩完成度が低いみたいな感じかな。

 全てがそうと言うわけではありませんが、ことパンに限って言えば、しっとりはいいけどモチモチはちょっとな、という感じですか。どこまでもソフトな滑らかさを好む日本人と、パンはあっさりしてこそ本来のもの、一緒に食べるほかの材料との相性を重視する欧米人との差が如実に出ていると思います。

 とは言えパン業界の未来はこれから楽しみです。今後どんな栄養価が高くてなおかつおいしいパンが出てくるのだろうか。そんなことを期待し、楽しみにしながらトーストを食べる毎朝です。

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