2022年5月17日火曜日

欧米の抹茶ブーム

サムズアップ・アメリカ!
抹茶について知っておくべきこと




アメリカで抹茶ブームが始まった十年ほど前から、抹茶についてよく聞かれるようになりました。日本では当たり前すぎて、あまり考えずに親しんできましたが、改めて異国の人に説明するとなると、上手くいかないことがしばしばです。
それで、ここで改めて抹茶に関する基礎情報と、今の欧米での現状を踏まえ、抹茶とはなんぞやというテーマでまとめてみました。


お茶の世界の中で抹茶をより客観的に簡潔に表現すると、

「抹茶は緑茶の特殊な形態である」
ということができます。

抹茶は文字通り「粉末のお茶」という意味です。従来の緑茶を注文すると、葉の成分がお湯に浸され、葉は捨てられます。
抹茶の場合は、葉を細かく粉にしたものを飲みます。伝統的には、小さじ1杯ほどの抹茶パウダーを湯呑み3分の1のお湯(沸騰未満に加熱)に混ぜ、茶筅で泡立つまでかき混ぜます。

従来の緑茶とは異なり、抹茶は収穫前に茶樹に遮光布をかけます。そうすることで、より風味と質感に優れた茶葉が育つのだそうです。
手摘みされた茶葉は、短時間蒸して発酵を止めた後、低温で乾燥・熟成させ、味を深めます。乾燥させた葉は、石臼で細かく砕き、パウダー状にします。



抹茶の健康効果

抹茶は上質の茶葉から作られ、葉を丸ごと摂取するため、急須で入れた緑茶よりも栄養価が高いのです。少量のビタミンとミネラルに加え、ポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質が豊富で、心臓病や癌の予防、血糖値の調整、血圧の低下、アンチエイジングにつながるとされています。
抹茶に含まれるEGCGと呼ばれる別のポリフェノールは、代謝を促進し、がん細胞の成長を遅らせたり止めたりすることが研究で明らかにされている。
こういった研究成果が欧米でも喧伝され、抹茶の健康効果に注目が集まっているというわけです。





カフェインが含まれている

抹茶は葉を丸ごと摂取するため、急須で入れたお茶の3倍、淹れたコーヒーの1杯分ほどのカフェインを摂取することができます。
抹茶の愛好家によれば、コーヒーによるカフェインの喧騒に比べ、抹茶は、眠くならずにリラックスを誘発するl-テアニンという天然物質によって、「警戒心のない静けさ」を生み出すのだそうです。ただし、就寝の6時間前までには、抹茶を含むすべてのカフェイン摂取を控えたほうが、ぐっすり眠れるとも付け加えられています。



抹茶と瞑想(欧米人の関心事)

抹茶は日本の茶道の中心であり、長い間禅と関連付けられてきたのは事実です。これは、欧米でも瞑想が近年注目されるにつれて、人気が出てきた理由の一つでしょう。
抹茶を点てたり飲んだりすることーーそれらの所作そのものが、禅の思想とつながり、心の健康に寄与するという考えは、多くのアメリカ人にも理解されつつあります。
科学的には、抹茶は抗酸化物質による体内の毒物除去などの働きが評価されていますが、医療の現場で公式に認められているわけではありません。
また抹茶はコルチゾール(食欲を増進させ、お腹の脂肪を増やすことで知られるストレスホルモン)を減らし、炎症(老化や病気を早めることで知られる)を抑え、過度な食欲を抑え、血圧を下げる効果がある、などということが分かっています。



抹茶そのものは苦い

カフェなどで販売されている抹茶ラテや抹茶アイス、チョコなどの影響で、抹茶は甘いなどと信じている人も多いようです。
しかし本来の抹茶の味はご存知のように強く苦いです。ただよく吟味すると、草やほうれん草のような味も含まれており、うま味もあります。
ただ慣れていない欧米の人のため、口当たりをよくするために甘くすることは常態化しています。
砂糖類と抹茶の相性は良いので、飲みやすいようについブレンド化してしまいがちですが、糖分は極力抑えて、抹茶本来の風味に親しんでもらいたいものです。

お茶の専門家は、抹茶は品質が重要であり、それにはコストがかかると警告しています。言い換えれば、高品質で新鮮、純粋な抹茶は高価だということです。
欧米でも一般的に、価格が低いと、品質が悪いと判断される可能性があります。






鉛の含有量について

最近一部のメディアで指摘された、お茶の鉛含有量に関する報告ですが、これはごく少量で、毎日飲んだとしても影響が検出されるほどのレベルではないということ。むしろ食品全般の平均的鉛含有量をはるかに下回ると、日本の農林水産省が公式見解を述べています。

有機栽培された緑茶にも鉛が含まれていることが分かっています。鉛は環境から植物に吸収され、特に中国で栽培された茶には多く含まれているとのこと。
抹茶の場合、葉を丸ごと精製するので、理屈で言えばより多くの鉛を摂取することになります。



抹茶はレシピに加えられつつある

抹茶は飲料としてだけでなく、甘い料理や塩味の料理の材料としてシェフの間で話題になっています。
抹茶のレシピをググると、抹茶のマフィン、ブラウニー、プリンから、抹茶のスープ、炒め物、そして抹茶のワカモレまで、あらゆるものが見つかります。
欧米のシェフや料理研究家は常に新しい食材を求めており、抹茶もさまざまな可能性を秘めているということで意見が一致しています。
その貪欲な応用ぶりは、本家日本を凌ぐもので、これからどんな新しいレシピが生まれるのか、注目して行きたいものです。
単に健康ブームに乗ったものから脱却し、全ての家庭に抹茶の行き渡る日はそう遠くないかもしれませんね。




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