2022年5月27日金曜日

バードウォッチング初心者ガイド 前編

サムズアップ・アメリカ!
野鳥を愛でる楽しさ




春もたけなわのこの季節、私は毎朝鳥たちの愛らしい囀りで目が覚めます。
ニューヨークのハドソンバレーという地域の、水と緑の豊かな街々には毎年たくさんの種類の鳥たちが、春と共に訪れます。
野鳥はみんなそれぞれ個性があり、木の枝に止まる姿も、木から木へ飛び移る姿も可愛くて、見ていて惚れ惚れしてしまいます。
そんな野鳥好きのバードウォッチャーはアメリカにも沢山いて、ここハドソンバレーにも双眼鏡をぶら下げた筋金入りの野鳥マニアが出没します。
とりわけ春は、巣作り、子育てで忙しい鳥たちの活発な行動が観察できるので、今まさに格好のバーディングシーズンなのです。



バードウォッチングという趣味

もしあなたが自然について興味があり、身の回りにあるものについてもっと知りたいと思っているなら、バードウォッチングは素晴らしい活動であり、楽しい趣味です。
身近な鳥に注目するようになると、他の物事にも敏感になれるかもしれません。以前は見過ごしていた音に気づくかもしれません。
木々や昆虫、果物、花など、身の回りの小さなことにも気が付くようになるかもしれません。季節の移り変わりを感じられるようになるかもしれません。バードウォッチングは、もともとそこにあった広い世界を認識し、感謝するための入り口となるのです。




ここでは、人がバードウォッチングを始める4つの大きな理由をご紹介します。

バードウォッチングは非常に低コストです。双眼鏡やカメラに初期投資した後は、旅費と公園入場料ぐらいしかかかりません。

いつでも、どこでもバードウォッチングができます。自宅の庭でできる趣味であり、世界中舞台に旅することができます。

新しいものを見たり、名前をつけたり、発見したりするのは、とても楽しいことです。また、自分の好きなようにできるのも魅力です。



バードウォッチングは、社会的な活動にもなります(ならないという意見もあります)。
家族で楽しめるだけでなく、バードウォッチングクラブやパークレンジャーが提供するプログラムでは、他の人と出会って一緒に鳥を探すことで、知識を共有し、情報を増やすことができるのです。
国立公園で開催されるバードウォッチングプログラムのリストをご覧ください。
熱心な野鳥愛好家は一般的に「群れ」てノートを共有したりします。しかし、もしあなたが一人で行動したいのであれば、それももちろん自由です。






必要なもの

バードウォッチングは、世界中どこででも通用する低コストな趣味です。最低限必要なものは3つだけです。

  • バードガイド
  • 双眼鏡
  • 公共マナー


正しいバードガイドを選ぶ

鳥の種類を知り、識別するためには、鳥類図鑑が不可欠です。ガイドには、あらゆる形、サイズ、形式のものがあります。では、どれが正しいのでしょうか?

最もシンプルなものは、鳥類標識カードです。
通常、折り畳まれた防水シートで、軽量のオプションです。
これらのガイドでは、最も一般的な種のほんの一部をリストするので、カードに記載されている鳥を見る可能性が高くなります。
安価であり、通常、公園のビジターセンターで入手できます。これらのカードは、彼らが公園で見つけるかもしれない一般的な鳥に子供を導入するための素晴らしい方法です。


初心者は、色別に分類された鳥の図鑑が一番簡単かもしれません。しかし、このような図鑑は一般的な種しか掲載されていないことが多く、自分の解釈と図鑑の色が違うということもありえます。


中級クラスは、「カモのような鳥」「とまる鳥」など、鳥の形別に分類されているのが一般的です。この種の図鑑には、鳥の写真やイラストが掲載されていることがあります。
イラストは、初期の鳥類図鑑で使用され、その使用は現在も続いています。
イラストは、写真に写りにくい鳥の特徴を強調することができます。また、写真はより正確な色彩を表現しています。


上級者向けの図鑑では、分類学的に、つまり鳥の科ごとに分類されています。
ウグイスとヒヨドリの区別がつくくらい勉強したら、このタイプの図鑑が最適かもしれません。これらは最も詳細な資料ですが、最も有用なガイドとなるにはもう少し勉強が必要です。しかし、経験豊富な人にとっては、これに勝るものはありません。


また、携帯アプリは、見つけた鳥のIDや記録を取るのに非常に便利です。
アプリには、鳥の同定を確認するためのサウンドクリップが含まれていたり、観察結果を記録するためのログ機能が付いていたりすることもあります。
鳥の鳴き声を研究することで、フィールドで数倍の鳥を識別できるようになります。
スマホはポケットに入れていることが多いので、フィールドで重荷にならないことも利点です。しかし、本があれば、閲覧が少し楽になるかもしれません。


また、多くのウェブサイトが鳥の情報を提供しており、観察したものをもとに同定する手助けをしてくれるかもしれません。





双眼鏡・スポッティングスコープ

双眼鏡にはさまざまな形や大きさがあります。
一般的に、小型の双眼鏡は軽量ですが、倍率が低くなっています。大きい双眼鏡は倍率が高くなりますが、重くなります。いろいろな大きさのものを試して、自分に合ったものを見つけてください。


双眼鏡には、「10×50」などの規格があります。この数字は、双眼鏡のレンズについて教えてくれるものです。
最初の数字は倍率で、「10×50」の双眼鏡は対象物を実際の大きさの10倍に拡大します。
2つ目の数字は対物レンズの大きさを表しており、目から最も遠いレンズです。対物レンズが大きいと、より多くの光を集めることができるため、特に暗い場所でも鮮明な画像を見ることができます。10×50」の双眼鏡は、対物レンズが50ミリという意味です。

スポッティングスコープは、望遠鏡のようなものです。倍率が高いですが、かなりかさばります。もしあなたが自宅の裏庭中心に観察をするなら、スポッティングスコープは素晴らしい選択肢です。
他にも考慮すべき機能や要因はありますが、倍率は最も重視すべき選択基準です。販売店であなたのニーズに合ったものを選んでください。



とるべき態度

自然の中にいる間は、現在進行形でいましょう。あなたの周りの環境に注意してください。今、あなたの周りには何がああるか、です。
空気を感じ、音を聞けば、自然界は驚くような方法であなたに姿を現すことでしょう。ナチュラリストの草分けジョン・ミューアは、「自然とともに歩めば、人は求めるよりもはるかに多くのものを受け取る」と述べています。

また好奇心は重要な要素です。
より良い野鳥観察者になるためには、さまざまな生息地、さまざまな季節、さまざまな場所を探索するとよいでしょう。見つけた鳥に名前を付けられるようになり、バードガイドでその鳥について学べるようになりたいと思うはずです。

最後の要素は、自分自身と鳥の両方に対する忍耐力です。
経験豊富なバードウォッチャーでも、鳥がいつも協力してくれるとは限りません。あなたにとって、これから知るべき鳥はたくさんいます。練習すれば上達します。続けてください。





バードウォッチングの方法

場所、時間帯、天候、時期によって、観察できる鳥の種類や数が変わってきます。

あなたの地域の特性を知る
ご近所で見かける鳥の中には、一年中観察できる鳥もいます。視覚と聴覚でこれらの鳥を識別し、彼らの習慣(どのように移動するか? 何を食べるか? どのような音?)を認識することによって、常連の鳥とたまに訪れる珍客とを識別できるようになります。
より良い珍しい野鳥が来るときに目ざとく見つけることができるようになります。


スポット探し
野生動物保護区域をドライブしたり、トレイルを歩いたり、一カ所に座って鳥がやってくるのを待ったり。森と草原の境界、泥の海岸線と水辺など、2つの生息地が出会う場所を見つけることが一つのポイントです。鳥が餌と水を求める場所を見つけることで、興味深い種に出会える可能性が高まります。


時間帯
早起きは三文の得と言いますが、バードウォッチャーはもっと早くから起きていなければなりません。夜明けや夕暮れ時は、空気がひんやりとして風が弱いため、鳥の鳴き声が遠くまで届くからです。
このような鳴き声は、耳に心地よいだけでなく、まだ見ぬ鳥の存在を知らせてくれます。身近な鳥の多くは日中に活動しますが、フクロウをはじめとする多くの鳥は夕方から夜にかけて活動するものです。朝が苦手な方でも、彼らを観察するチャンスはあります。


季節帯
鳥は餌のあるところに行くので、北極から南極へ毎年移動している鳥もいます。一年中生息している鳥もいれば、夏にしか現れない鳥、冬にしか現れない鳥、春と秋の渡りの時期にしか現れない鳥もいます。






溶け込む
迷彩服は必要ありませんが、バードウォーカーが白い服を着ないことはよく知られています。目立たない色の服を着て、静かにしていれば、鳥を怖がらせることはありません。じっとしているのも効果的です。バードウォッチングに適した場所にいれば、鳥がやってくるはずです。


忍耐
鳴き続けて自分の存在をアピールする鳥がいる一方、静かで環境に溶け込む鳥もいます。あなたがしばらく静止し、動きを警戒しているときにのみ、彼らは姿を現すことがあります。また、自分自身にも忍耐が必要です。鳥の同定ができなくても、あまりイライラしないでください。


ノートを取る
いつ、どこで、どのような鳥を見たか、リストアップしてみましょう。記録をつけることで、渡り鳥の動きを予測することができます。野鳥観察の愛好家の中には、これまで見た野鳥の種類をすべて記録するライフリストを作成する人もいます。


実践してみる
積極的に鳥を探さなくても、練習はできます。通勤や通学の道すがら、キッチンの窓から外を眺めているとき、あるいは屋外で他の活動をしているときに見たり聞いたりした鳥を記録してみましょう。他にも面白いことに気がつくかもしれませんよ。



まとめ
以上述べたことは、あくまで野鳥愛好家の平均的な実態です。これを読んで、必ずしもそうしなければいけないというのではありません。
野鳥を愛する気持ちがあれば誰でもバードウォッチングを楽しめます。鳥を想う気持ちがあれば、何をしてはいけないかは自ずとわかるようになり、環境へに配慮の大切さも身についてくるでしょう。
要は野鳥を愛し、そっと見守ってやる気持ちだけで、ぐっと鳥たちが身近になります。そっこから一歩づつ、バードウォッチャーへの道を歩めば、その時、あなたに何が必要かわかってくることでしょう。


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