2021年5月30日日曜日

Netflixのファンタジー

サムズアップ・アメリカ!
Netflixのハマるドラマ:暗黒と神秘の骨





今年もNetflixの躍進が止まりません。特にオリジナル作品の力の入れようは凄まじく、映画、ドラマ周辺の諸ビジネスモデルを一新させてしまいました。アメリカの既存のテレビ局が作るドラマが簡素に感じてしまうほど、大金を投入して作る大作が目白押しです。
その数あるヒット作の中でも、ファンタジー好きが見逃せない最近のヒット作が「暗黒と神秘の骨」です。

原題Shadow and Boneは、エリック・ハイセラーがNetflixのために創出したアメリカのファンタジー・ストリーミング・テレビシリーズで、2021年4月23日に初放送されました。 この作品は、アメリカの作家リー・バルデュゴが著作したティーン向きのファンタジー大作「グリシャバース」の2つのシリーズ本をベースにしています。
一昔前は大作に「サーガ」を名乗るものが多かった(スターウォーズ・サーガなど)のですが、最近のトレンドは「バース」です。ユニバースの対語としてマルチバースがあるように、複数の話が錯綜しあって進行するより複雑な構成が特徴です。(アメリカ版ゴジラシリーズがモンスターバース、MCUはマルチバースへと向かっているようです)

Shadow And Bone - (grisha Trilogy) By Leigh Bardugo (paperback) : Target

それはさておき、このドラマは最初の作品である『Shadow and Bone』(2012年)から始まる3部作と、『Six of Crows』から始まる2部作をミックスしたものとなっています。

少なくとも8時間は楽しめるファンタジーシリーズを探しているなら、このNetflixで配信中の「シャドウ&ボーン」がぴったりです。大量のアクション、魔法、そして若者の苦悩が盛り込まれており、ヤングアダルト向けの作品としては最良の部類と言っていいでしょう。


ファンタジー世界の複雑なディテールはもちろんのこと、複数のストーリーを把握するのは難しいものです。リー・バルデュゴの『グリシャバース』シリーズの『シャドウ&ボーン』を映画化し、さらに『シックス・オブ・クロウズ』という別のシリーズのキャラクターも登場させたこの作品は、8つのエピソードに多くのことを詰め込んでいるため、十分消化しきれたとは言えません。おそらくはセカンドシーズンを想定とした作りとなっているのでしょう。

しかし、魅力的なキャラクターたちが大人数のキャストによって生き生きと描かれている『Shadow and Bone』は、オーディエンスから多大な支持を集めることに成功しました。全体的には未だまとまっていないものの、意欲的な作品であることは間違いありません。


Netflix's Shadow and Bone: Cast, episodes, plot, reviews and news on season  2 | Marca


あらすじ

近世ロシアの影響を彷彿とさせる国、ラヴカでは、シャドーフォールドと呼ばれるモンスターの多い地形が、魔法や非魔法の国を脅かしています。物語の中心となるのが、若い兵士であり孤児でもあるアリーナ・スターコフ(ジェシー・メイ・リー)で、彼女はただ生き延びて、思い寄せるモル(アーチー・ルノー)のそばにいたいと願っている少女です。
アリーナが所属する軍の隊列が移動中に怪物に襲われ、ある魔法能力が目覚めることから、ストーリーが転がり始めます。
彼女の持つ邪悪な影を消すその能力は様々な立場から注目され、その争奪戦が静かに進行していくのです。

これと同時系列、別の舞台で別の主要キャラクターたちの話も進みます。詐欺師のカズ(フレディ・カーター)、イネージュ(アミタ・スマン)、イェスパー(キット・ヤング)の3人は、合法的ではないが儲かる仕事を追い求めており、やがてアリーナと交わることになりまます。

時折、2つの異なる番組を見ているような気分になりますが、どちらのストーリーがメインなのかは明らかです。アリーナは自分の選ばれし者としての能力を発見し、元素を意のままに操ることができる魔法の戦士グリーシャのランクを上げていきます。




見どころ

師匠であるマダム・フーチ(Zoë Wanamaker)との魔法のトレーニングは、予想通りの展開であれば満足できるものです。いやそうでなくても、カズ、イーニェ、イェスパーが犯罪者を出し抜いて大金を手に入れようとする試みは、特にキット・ヤングのカリスマ的な演技によって、歓迎すべきエピソードとなっています。彼らの活躍により、驚くほど残酷なアクションが展開され、危険度の高いシャドーフォールドでの出来事も盛り上がります。

また、ベン・バーンズが演じるキリガン将軍は、影を操るダークリングと呼ばれ、敵か味方かわからないグレーゾーンの存在となっています。アリーナの相棒である魔法のグリシャ軍のバーンズは、大げさなところがあるが、シリーズが進むにつれて、より魅力的な役割に転じていきます。

周りに流されがちな主人公アリーナは、自分の運命をしぶしぶ受け入れます。アカデミー賞にノミネートされた『アライバル』の脚本を担当したヘッドライターのエリック・ハイセラーは、アリーナが親友のモルと過ごした貧しい子供時代のフラッシュバックをエピソードの随所にちりばめています。彼女のモルとの関係は本物だが、「フォールド」での両親の失踪は、彼女がフォールドの終焉をもたらすことへの奇妙な焦りのなさを浮き彫りにしています。

また、グリシャ・ニーナ(ダニエル・ギャリガン)や、彼女を捕らえたマティアス・ヘルバー(カラハン・スコッグマン)など、魔法を嫌う国のキャラクターは、今後のシーズンで重要性を増すように設定されているようです。

太陽の召喚者 (魔法師グリーシャの騎士団1): Leigh Bardugo; Chiyuki Tanabe: 9784150205676:  Amazon.com: Books


この物語をより楽しむには、原作を読んだ方がいいでしょう。翻訳本は早川書房から「太陽の召喚者」のタイトルから始まる三部作で全部出ています。

少なくとも、冒頭に示される地図が、話の理解を深めるので、地理的な情報だけは、仕入れておくと良いでしょう。

いずれにしても、話は半ばです。まだまだ掘り下げる要素の多い素材なので、きっといろんなものを用意しているはずです。ファンの応援があれば必ず続編も期待できる、そんなファンタジー大作として、今一押しの一作です。




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