2022年8月17日水曜日

異常気象が歴史を抉る!

サムズアップ・アメリカ!
猛暑で埋もれた過去の遺物が露わになった




私の住むニューヨーク州ハドソンバレー地域ではここ数週間まとまった雨が降らず、近所の池や湖の水位が著しく下がっています。
多くのゴルフ場の芝も茶色く枯れ、森の木々も暑さと水不足でそこかしこに枯れて茶色くなった葉を見かけます。
今年の猛暑はここだけでなく、世界各地で、山火事、干ばつ、氷河の融解を引き起こしています。
しかし、その一方で副作用のような、思わぬ発見が露呈しています。
この旱魃のおかげで難破船や死体、幽霊村、庭園、古代都市など、奇妙で暗い過去の事実が明らかになりつつあるのです。ここでは、これらの発見のいくつかをご紹介します。



不気味な発見

ネバダ州のミード湖は埋もれた砂漠の歴史を今、蘇らせようとしています。
春に雪解け水で満ちるはずだった米国の貯水池のいくつかは、代わりにミード湖を含む乾いた土でバスタブ状の輪が出来ていました。ミード湖は今年、記録的な低水量に落ち込んだのです。
いまフーバーダムの巨大な貯水池であるミード湖は、かつての何分の一かにまで縮小し、おぞましい好奇心の場となっています。
なぜか?
それは沈没したボートから死体まで、あらゆるものが訪れた人の目に飛び込んでくるのです!
ネバダ大学ラスベガス校のマイケル・グリーン准教授(歴史学)は、「消えたジェットスキーからさらに多くの死体まで、あらゆるものを見つけることができました」と語っています。「さらに水が引けば、もっと見つかるでしょう。」とも言っています。
個々の報告例は真偽が証明されるまで保留となりますが、この大自然による衝撃的な発掘事件は地元でどよめきとざわめきをもたらしています。
米国国立公園局によると、現場で発見された人骨には、樽に入った遺体も含まれています。

これらの報告例はあまりにも膨大すぎて、目下のところClark County Office of the Coroner/Medical ExaminerとLas Vegas Metropolitan Police Departmentの関係者は、これ以上のコメントを拒否しているそうです。
今後の調査報告が待たれるところですね。

しかし、このような現象はアメリカだけではありません。記事等を拾い上げると、今世界各地で同様の、暑さによる思いがけない副産物が浮き彫りのなってきているのです。






ローマ時代の遺跡

イタリアの干ばつは、第二次世界大戦の遺物やネロ時代の生活を垣間見せてくれます。

数ヶ月間雨が降らず、アルプスの雪解け水が例年より早く止まり、イタリア最長の川であるポー川は過去70年間で最低の水位となりました。干上がった川底からは、ドイツ軍の戦車や貨物船など、これまで隠されていた第二次世界大戦時の残骸が発見されたそうです。

一方、ローマではテベレ川が干上がり、ネロ皇帝時代に架けられたとされる橋が姿を消した。この夏のイタリアは猛暑と乾燥のため、政府は7月に非常事態宣言を発令しています。



スペインの幽霊村

スペインのガリシア地方に1990年代初頭に立ち往生した町が再登場したそうです。

スペインとポルトガルの国境近くにあるアセレド村は、1992年にアルト・リンドーソ貯水池の建設に伴い水没しました。それから約30年後の2月、干ばつで小さな町が再び姿を現したのです。再び干ばつに見舞われたこの小さな町には、時を超えた光景を目にしようと観光客が押し寄せるようになったのだとか。

ガリシア地方は今後も極端な干ばつに見舞われるだろうと科学者は予想しています。バルセロナ在住の気候研究者で、気候変動に関する政府間パネル第6次評価報告書の執筆者であるジョフレ・カルニセル氏は、「降雨と干ばつのパターンは常に複雑で、科学的に予測することは困難です」と言います。そして「この地域の今後数十年の干ばつリスクは高まるでしょう。」と警告しています。



シャクルトン号の残骸

科学探検隊が南極の氷の中の未解決事件を解決した件。

2月25日、南極の海氷は衛星時代の記録的な低さまで縮小し、その影響下で海洋史上最大の謎の1つが解明された可能性があります。
それは有名なアーネスト・シャクルトン卿の船「エンデュランス号」の残骸を発見です。
それはシャクルトン号沈没の調査・撮影するために、南アフリカから調査船で南極のウェッデル海の深海に向かったクルーの話です。1915年に南極の厚い氷に閉ざされ、砕かれたシャクルトン号の正確な所在は長い間不明でした。
しかしそのクルーはついに発見したのです。
35日間のミッションは過酷でした。氷の面積が平年より少ないにもかかわらず、チームは荒れた海域やまだかなり凍結した危険な場所を航行しなければならなかったのです。自律走行機を使用して、沈没船は水深3,000メートル以上の地点で発見されたのです。





秘密の花園

英国の猛暑で17世紀の華やかな風景が発掘されました。

英国の夏の猛暑により、英国中部の歴史的建造物の南側の芝生が焦げ付き、17世紀の隠れた庭園が発見されたのです。いまダービーシャー州のチャッツワース・ハウスの芝生には、広くて華麗な模様が見られるそうです。

大花壇と呼ばれるこの広大な庭園は1699年に造られ、かつては花壇と小道で埋め尽くされていました。1730年になると、この華麗な庭園は芝生化され、新しい芝生は根が短いため、より早く燃えてしまうようになったのです。7月26日、チャッツワースは38.1℃(100.6℃)を記録し、これは100年以上ぶりの最高気温であったといいます。



メソポタミアの秘宝

青銅器時代の帝国の中心都市がイラクに再登場した話。

今年、イラクのモスル貯水池の干上がった部分から、広大な古代都市の遺跡が浮上しました。クルド人とドイツ人の考古学者のチームは、青銅器時代のミタンニ帝国のもとで紀元前1550年から1350年まで栄えたチグリス川沿いの古代都市ケムネ遺跡の調査を開始しました。

その結果、100枚以上の楔形文字が入ったとされる陶器が発見されたのです。
この発見により、ミタンニ時代の都市の終焉と、この地域におけるアッシリアの支配の開始について、より詳細な情報を得ることができるようになりました。
ケムネでの救出発掘に参加したテュービンゲン大学のペーター・ファルツナー教授はプレスリリースで、「未焼成の粘土でできた楔形文字が水中で何十年も生き残ったのは奇跡に近いのです」そう述べています。



遺物探し

氷河の融解により、ノルウェーでは数千年前の遺物が発見されました。

ノルウェーの高山地帯では、氷河考古学プログラムのLars Pilø氏と彼のチームによって、鉄器時代のウールのチュニック、ローマ時代の靴、300年から600年前の矢が発見され増した。この矢はトナカイの狩猟場からの遺物です。

「氏のチームは過去15年間にノルウェー全土の氷の遺跡から何千もの鉄器時代や中世初期の遺物を発見してきました。「氷が後退するにつれて、我々は時間を遡っているのです。」
とまで語る調査団。

この稀に見る大旱魃が、まだまだ地中や水の底に埋もれている遺物をさらい出してくれる可能性は大きいようです。
決して有難い気候変動ではありませんが、歴史を探る観点からは、興味深い現象と言えそうです。







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