今年のスニーカーのトレンドを見る
アメリカにはスニーカーヘッドと呼ばれる人がいます。とにかくスニーカーが好きすぎて、その行動が時に過剰に伝えられる人たちのことです。例えば、私の知人でマイケルジョーダンの大ファンだったT氏はナイキから出る新作スニーカーを片っ端から集めていました。特にエアジョーダンが出るたびに発売日前日にニューヨーク本店で徹夜で並んでいました。しかも生粋のコレクターなので、レアなものは同じモデルを二足買い、一つは観賞用、もう一つは保管用に取っておくのです。そう、彼はコレクションを滅多なことでは履かないのです。ただ集めるだけ。普段は誰でももっている普通のナイキ以外のスニーカーも履いています。
こんな人がアメリカ(だけじゃないでしょうが)にはごまんといるのです。
アメリカで春と言えば、毎年呆れるほどにたくさんの新作スニーカーが発売されます。今年はことさらステイホームの圧力に屈しまいと抗うかのように、各社から意欲的な新しいスニーカーが続々と発売される模様です。
このスニーカーの隆盛は過去何度か大きく盛り上がり、世界的に大きなブームが来ては去っていったのですが、ここ数年の大きな潮流は、もはや流行りすたりのレベルではないようです。
ひと口に靴といってもいろいろありますが、ことスニーカーというジャンルでいうと、このスニーカーほど柔軟で、時代に敏感で変化に富んだ履物はありません。
ふた昔ほど前まではスポーツする人のダサいゴム靴、くらいに思っていた人もいると思うのですが、今やファッション界のリーダーが高級ブランドの衣服とスニーカーとのコーディネーションを当たり前のように発表する時代です。
これまで一段低い履物とみられていたスニーカーが、最近の健康志向の流れに乗って、どこでも誰でも、いろんな服とのマッチングを楽しめるスポーティなファッションへと昇華していったのです。
最近のスニーカーのバラエティさときたら、まさに百花繚乱で、こんなデザインもありなのかと目を見張るものがあります。コロナの影響で出歩かなくなった分、昨年は不調だったのではと思って振り返るとさにあらず。
去年1年、輝きを失わなかった靴のジャンルがあるとすれば、それはスニーカーだと思うのです。確かに、厚手の靴下や肌触りの良いスリッパ、シャーリングの裏地が付いたスリッポンなどは、ローテーションの中で確固たる位置を占めていました。
しかし、スニーカーは、用事があるときや、健康のために歩くとき、友達と一緒に社交的に歩くときなど、機能的な優位性があらゆる世代に浸透してきたのです。新しいシーズンを迎えた今、2021年春のスニーカーの最大のトレンドを把握する時が来ました。
そこでここ半年前後のスニーカー関連のトレンド記事を追って、いまこの分野で何が起きているのかをまとめてみました。
Farfetchのシニア・ウィメンズウェア・エディターであるセリーヌ・サイデルは、インタビューに次のように語っています。「スニーカーは、時代とともに実に興味深い進化を遂げてきました。今日、スニーカーというカテゴリーは、独自の気候の中で機能しており、トレンドの入れ替わりが激しく、ファンの間では大きな宣伝と需要が発生しています」。
先述のような熱狂的スニーカーマニア、スニーカーヘッズがいるからこそ、ブランドは新しいモデルを次々と生み出すことができるのですが、世界的な大流行により、その注目度はさらに高まりました。以前はスポーティな靴を考えなかった人でも、改宗とまではいかないまでも、興味を持つようになりました。サイデル氏は次のように述べています。
「当然のことながら、ロックダウンされた1年の間に、お客様はこれまで以上にフラットシューズに目を向け、既製服とスポーツウェアを組み合わせた、機能的で新しいハイブリッドなワードローブの一部となりました」。
サックス・フィフス・アベニューのウィル・クーパー上級副社長兼婦人靴担当GMMは、サイデル氏と同様に、スニーカーは日常のファッションの定番として進化し、今やワードローブを構築し、自分のスタイルを表現するための重要な柱の一つとなっていると述べています。
サックス・フィフス・アベニューのウィル・クーパー上級副社長兼婦人靴担当GMMは、サイデル氏と同様に、スニーカーは日常のファッションの定番として進化し、今やワードローブを構築し、自分のスタイルを表現するための重要な柱の一つとなっていると述べています。
「ランウェイやソーシャルメディアでは、スーツやドレスなど、あらゆるスタイルに合わせたスニーカーが数多く見られます」と氏は語ります。
市場には、チャンキー、スポーツ、クリーン、レトロ、ロゴ、パステルなど、さまざまなスタイルのスニーカーが出回っています。ちょっと前までは時代に敏感なファッション、靴業界の人や若者しか知らなかっら、スニーカーのカテゴリーが、いまや一般人にも浸透しつつあります。
「クローゼットに1足のスニーカーしか持っていないというのは、もはや十分ではありません。私たちのお客様は、あらゆる機会に対応できるように、複数のスタイルのスニーカーを購入しています」と氏は語ります。
へー、と私は思いました。ふと自分の靴関係を見直すと、スニーカーが八足で最大でした。革靴はなんと一足のみ。もう気が付けば私も生粋のスニーカー応援団の一員なのです。
というわけで、この春注目のだれでも履けるスニーカーをピックアップしてみました。
adidas Samba Vegan Shoes
最近、adidas Sambaはある種のルネッサンス期を迎えた印象があります。もしあなたがちょっとしたスター気分でスニーカーを履きたいのであれば、このアイコン的スタイルのヴィーガンバージョンを試してはいかがでしょうか。時代を超越したデザイン(約70年前から発売されているのには理由があります)は様々な服装にマッチし、どんな世代にも耐えうる汎用性があります。
$80
NIKE ブレザー ミッド '77 ヴィンテージ
クローゼットの中に白のスニーカーを1、2足は持っていると思いますが、このナイキのブレイザーほどクールなものはないでしょう。ただの白スニーカーと思いきや、サイドやヒールに施された布帛素材がアクセントになっており、春にふさわしいアースカラーの美しさを醸し出しています。
$110
Reebok アウェイク クラシック レザーシューズ
リーボックとニューヨークのブランド「Awake」とのコラボレーションでは、同ブランドのクラシックなシルエットを高級感のある素材で表現しています。経営的に苦しいと噂されているリーボックですが、手抜きのないこのようなスニーカーを出している間は絶対健在だと信じています。
$120
Everlane Forever スニーカー
EverlaneのForeverスニーカーほど、ベーシックなものはありませんが、それは最高の意味を持っています。シンプルで飽きのこないデザインは、他に何を履いていいかわからないときや、出かけるときに急に履くのに最適な靴です。
$65
ニューバランス 997H
私の一番の贔屓はやはり、ニューバランス。春はパステルカラーが主流であることは周知の事実ですが、だからといって大胆な原色を履くことを禁止するわけではありません。特にこのニューバランスの997Hは、刈りたての芝生を思わせる鮮やかなグリーンが印象的です。
$89.99
Converse Color Chuck 70
チャックを買うなら、厚めのソールとコントラストステッチなどのディテールで、オリジナルデザインに近いレトロな雰囲気を醸し出しているブランドのチャック70バージョンをお勧めします。このモーヴ色は、あなたのワードローブに合わせても、退屈にならない程度の落ち着いた色です。
$80
Vans Salt Wash Authentic SF
ウォッシュ加工され、少し色あせたように見えるこのVANSは、まるで何度も太陽の光を浴びたかのような印象を与え、ビーチのような美しさは夏への移行期にぴったりです。さらに、本当に困ったときには、折りたたみ式のヒールのおかげで、文字通り靴を履くことができます。
$55
以上、いまアメリカのスニーカートレンドの渦中にあると思われる、代表的なものを並べてご紹介しました。お好みの靴は見つかったでしょうか?
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