2020年10月13日火曜日

イラストで見る「オズの魔法使い」

The Art of Wizard of OZ 


 今年はあの有名な児童書「オズの魔法使い」が出版されてちょうど120年です。本来ならアニヴァーサリー・イヤーとして様々なイベントも行われる予定でしたが、思わぬ自粛の波を受けて縮小されてしまいました。しかし世界中にその名を知らしめた映画版「オズの魔法使い」は1939年公開で、去年80周年記念イベントが盛大に催されました。この映画版のインパクトが強いせいか、オリジナルの「オズの魔法使い」のイラストは日本ではもう忘れ去られているようです。



 フランク・ボーム原作の「オズの魔法使い」に挿画を描いたのはウィリアム・ウォレス・デンスロウ。オズを描くまでは無名のイラストレーターでした。当時この児童書は内容とともに、挿画もとても斬新だったそうで、本は増刷が間に合わないほど、飛ぶように売れたようです。デンスロウの挿画はとてもユニークでユーモアたっぷりです。多くの人が彼の描くドロシー、ライオン、かかし、ブリキの木こりを見て本を読みました。

 このイラストなしではイメージするストーリーも人それぞれできっと違うものになったことでしょう。このイラストのおかげで、多くの読者がイメージを共有し、めくるめく物語世界に入っていけたのです。

 時は流れ、「オズの魔法使い」と言えばあの映画のイメージを思い浮かべる人のほうが多くなったようです。それでも私は英語の教材として図書館で借りたオリジナル版の児童書が好きで、あのイラストをみながら模写を試みたものです。ボームの絵柄はまねようとしてもなかなか様にならず、どう描けばあの独特のタッチを出せるのかと、ペンや画用紙を変えてみたりもしました。ずいぶん昔のことで、今回改めてあの絵を見て、いまだにデンスロウは孤高のイラストレーターだなと感じ入る次第です。


 今では様々なアーティストがオズの魔法使いのあのキャラクター達を描くようになりました。昔はじつに素朴で、ほのぼの系のドロシーとその仲間が多かったのですが、最近は独自の解釈や、原作から遊離したものまで様々な別バージョンが無数に描かれています。

 それらを見比べるだけでも、いかに「オズの魔法使い」が世界中の人に親しまれ続けてるかがわかります。(とはいえ、やっぱり今でもオリジナルのデンスロウ版が別格で最強!)

 今回はいろんなイラストを交えながら、この物語の簡単な要約をお読みください。とっても夢あふれるファンタジーですよ。

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ドロシーはカンザスに住む平凡な女の子。ある日、彼女の住む場所に大きな竜巻が起こりました。

ドロシーは子犬のトトを探し連れ帰ったのですが、竜巻が彼女たちのいた家ごと飛ばしてしまいました。

彼女は気がつくとお花畑の見えるキレイな場所にいました。

そしてそこにいたのは「北の魔女」。

彼女はドロシーに「東の魔女をやっつけてくれてありがとう!」と感謝を告げます。

うしろを振り返ると、悪い東の魔女が、彼女の家の下敷きになっていたのです。

北の魔女は、ドロシーに東の魔女が履いていた銀の魔法の靴を履かせます。すると東の彼女は消えていきました。

ドロシーが「家に帰りたい」というと北の魔女は、オズの魔法使いの元に行き、願いを叶えてもらうようアドバイスしました。




言われた通りドロシーは旅に出ます。オズの元に向かう道中、かかし・ブリキのきこり・ライオンの3人に出会いました。

かかしには「本当の脳みそ」、きこりには「心を持てる心臓」、ライオンには「弱さを治す勇気」をオズに授けてもらおうと思い、子犬のトトを加え5人で旅を続けました。

オズのいる場所に着くと「魔法の靴を履いている」ことが評価され、ドロシーたちは建物の中へ入ることを許可されます。

そのとき出会ったオズは「大きな顔のみ」の不思議な存在でした。

一行はそれぞれの叶えて欲しい願いを伝えると、「西の魔女を退治することが条件」と言われ、一行は西へ向かいます。




それを知った魔女は怒り、手下達に彼らを攻撃させ、さらに「その魔法の靴をよこせ」と要求してきました。

ドロシーがそれを断ると、彼女はドロシーを、自分の奴隷にしてしまったのです。

そんな奴隷の日々が続いたある時、魔女はドロシーの足を引っ掛けて転ばせ、そのすきに脱げた靴を奪い取ります。

それに怒ったドロシーは、魔女にバケツの水をふっかけます。すると魔女は、水が弱点だったようで、みるみるうちに溶けてなくなって行きました。

オズの元に行き、魔女を退治したことを告げましたが、その時に、実はオズの正体は、特殊な力を持っていない、ただの人間のお爺さんだということが判ります。

「大きな顔」は不思議に見せるためのトリックにすぎなかったのです。




オズはみんなに約束のものを渡すことはできませんでしたが、それぞれに「おがくずの脳みそ」「布切れの心臓」「勇気の出るジュース」を与えました。しかし彼らは冒険を通じてすでに望みの物を得ていました。もらったのはその証だけなのです。そしてドロシーには「気球」をプレゼントしました。

ドロシーは気球に乗って元の場所に帰ろうとしたのですが、トトがそのタイミングで逃げ出してしまったため、乗れないまま気球が飛び立って行ってしまいます。

落ち込む彼女のところに再び、最初に出てきた北の魔女が現れ、「魔法の靴を3回打ち鳴らしてごらん」と言います。

言われてtあ通りにすると、あっという間に元いた世界に戻ることができました。
めでたしめでたし。




 いかがですか。映画も傑作ですが、本を読むとその素朴な物語世界がじつにノスタルジックで、古き良きアメリカのおとぎ話を実感できます。はじめに日本語版を読んでから、原作を読むと、より分かりやすく楽しめますのでお試しください。電子書籍版、オーディブル版合わせて楽しむのもいいかもしれませんね。

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