2020年10月15日木曜日

アメリカのリスの写真

 リスたちの表情

 アメリカでもっとも身近な野生動物はなんといってもリスです。山奥から野原に町に、とにかくどこにでもいます。全米くまなく生息しているわけではありませんが、少なくともアメリカ北東部から中西部にかけてはハイイロリスという種が支配的に生息しています。


 こいつは体長15センチあまり。特徴であるふわふわ大きなしっぽをいれると30センチ前後にもなります。ちょこんと立ち上がって、木の実を両手でつかんで食べる姿が、なんともほほえましい小動物です。

 こんなに馴染み深い小動物なのに、大抵の日本人はリス=SQUIRRELという単語がとっさに出てきません。さらに難しいのが発音で、だいたい「スクワロー」と口ごもるように発音しないと通じません。ついでに言えば、日本語でも漢字でリス=栗鼠と書ける人は少ないでしょう。


 私の住むニューヨーク州周辺、つまりアメリカ北東部でも、写真のような全身が灰色がかったトウブハイイロリス(Eastern gray squirrel)が主流です。もともと山間部に生息していたこのリスが、1800年代に都会でペットとして飼われ始め、リスをペットにするのがブームになったようです。現代ニューヨークの大都会でもよく見かけるのは、そのころ逃げたペットが繁殖したものだそうです。今でこそトウブハイイロリスを飼うのは禁じられていますが、百年前は愛玩用ペットとして人気があったのですね。でもニューヨーク以外のフィラデルフィアやシカゴといった大都市でもペットのリスを公園に放つことが流行りだし、あっという間に町にリスがあふれ出したんだそうです。


 当時はこの野に放たれ繁殖しすぎたリスに対し、賛否両論が飛び交ったようです。はじめは都会でも見られるかわいい野生動物としてもてはやされました。リスの餌をやる行為は人間性を高めるとして学者が推奨したくらいに。
 しかし人間の予想をはるかに上回る繁殖力で、町にあふれ出すと、害獣扱いする人も増えました。じっさいネズミ に匹敵する旺盛な食欲で、屋根の上やら電線を渡り、庭や玄関にまで出没しるようになったのです。今では町の多くの公園ではリスの餌やりを禁じています。町なかのリスは人間慣れしていて、うっかり一匹のリスにナッツなどをやってしまうと、徒党を組んで群がる危険も指摘されています。


 あのように愛くるしい見かけなので、駆除を大っぴらに勧める人は少ないのですが、農家や園芸をする人にとってはまさに天敵。迷惑極まりない厄介な生き物なのです。
 最近うちの庭に野鳥のための餌箱を設置したのですが、初日からリスに見つかり、またたくまに鳥の餌を食べつくされてしまいました。餌箱は用心深く、木の幹から遠い枝に架けていたのですが、リスは身軽なので、木の枝から枝に自在に飛び渡り、難なく野鳥より先に餌にたどり着いてしまったのです。今後、リスを近づけないよう対策を練らねばと、いろいろ頭を悩まされているところです。
 とはいえ、リスは写真撮影の練習にもってこいに動物です。リスを観察していると面白いですよ。リスは木の実を枝からもぎ取ってちょっと齧る癖があります。全部食べないで、抱えたまま地上に降り、少し離れたところまで走って、その実を地中に隠すのです。そしてすぐまたせわしなく木に登り、夢中で木の実を探します。でもちょっとおバカさんで、その頃のは前に自分が隠した木の実のことなどすっかり忘れてしまうのです。で、また新しい木の実を取っては隠す。その繰り返しをしています。ご苦労様って感じです。



 しかしリスの姿自体はやっぱりかわいいのです。しぐさにいろいろパターンがあって、写真映えする動物だと思います。とても用心深くて、5メートルも近づけばすぐ逃げてしまいます。しかもすばしっこくて、あまりじっとしていないので、撮影には根気が必要です。
 でもだからこそ撮影技術を磨くのにちょうどいいといえます。リスを見つけて、カメラを出し、撮影設定を決める。カメラを構え、照準を合わせシャッターを切る。これがきびきびできるようになると、撮影も楽しいものです。チャンスを逃がすと悔しいので、大抵は常時ポケットにある小さなコンデジで撮って済ませます。時間があれば、ミラーレス一眼で狙い撃ちを試みますが、なかなかリスもいいタイミングで現れてくれません。まあリスとは気長に付き合っていきます。これほど身近で心和む野生動物ってそうそういませんからね。



 みなさんもニューヨークへお越しの際は、ぜひリスを観察してみてください。かわいい奴ですよ。

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