2020年10月2日金曜日

アメリカで料理を学ぶ



もう一つのCIA



 ニューヨークも各大学が再開されて一か月がたちますが、今も大半がオンライン時授業主体で行われています。そんな中、今日はコネチカット州から車で二時間半、お客さんを乗せてニューヨーク郊外にあるCIAのビルディングへご案内しました。

 CIAといっても、あの政府の調査機関とは関係ありません。
 The Culinary Institute Of America(カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ)といって、アメリカの私立料理専門学校です。

 本校は料理専門の教育機関では世界唯一の4年制学位を取得できる全寮制の大学および専門学校です。生徒は約3,000人あまりいて、二年制コース、四年制コースに分かれます。
 四年制つまりBachelor’s Degree Programでは料理の実践教育のほかに、レストラン経営に必要な経済学、管理学、心理学なども学べ、将来一流のレストラン経営者を目指す学生たちが全米から集まってくるのです。

 今回、こちらに訪問されたのは、ここで料理を学んで将来はパン屋さんになる夢を抱く学生さんとそのご両親です。
 いまこの学校もコロナの影響で、生徒たちはオンライン主体の授業を余儀なくされています。せっかく料理人になる夢を抱いて入学したのに、今、実践的な授業が受けられない状況はとても残念なことです。この日、数か月ぶりにキャンパスを訪れた生徒さんは、カウンセラーの方と進路相談をされるためだったそうです。せっかく行くのだったら、両親も一緒に連れていってキャンパスを案内する予定だったそうです。




 ところがいざ行ってみると、学内は生徒以外立ち入り禁止とあり、保護者といえども学舎の中には入れない旨を守衛さんから言われました。
 せっかく遠路はるばる来たご両親が外で待つのはかわいそうです。私は何度かここには来ていたので、お子さんだけビルの入り口で下ろし、ご両親を屋外の駐車場に案内しました。そこから一緒に歩いてぶらぶらキャンパスを見て回りました。

 キャンパスはハドソン川沿いにあって美しい景観が評判の場所です。レンガ造りの歴史あるビルディング群もとても風情があり、コロナ以前は多くの人が訪れる観光名所でもありました。
 ご両親はキャンパスを見て回りとても感銘を受けていました。うちの子がこんな立派な学校で学んでいるのは名誉なことだとおっしゃるのです。なにせ、この学校は世界トプレベルのシェフやレストラン経営者らを生み出してきた料理学校界の名門なのです。アメリカ人ならその名を知る幾多の名コックやプロデューサーが卒業生として名を連ねているのです。

 ビル内にはおしゃれなカフェやワインの醸造所まであり、さらにアメリカン・バウンティ・レストランという有名な料理店も入っています。普段は一般の人でもお食事を楽しめるようになっていますが、今は残念ながら休業中。再開を持ち望む人は少なくないでしょう。

 


 学校側としては、今学期内に新しい教育プログラムを再編成し、生徒たちがより実践的な授業を受けられるように対策を講じているとのことです。生徒さんもいろいろ不安を抱えて大変そうでしたが、カウンセリングを受けてなんとか光明を見出せたようです。ご両親も、「今日は来た甲斐があった」とおっしゃってましたし、なんとか卒業まで頑張って、将来の夢、パン屋経営まで邁進していってもらいたいものです。

 おりしも、マンハッタンでは今月からレストランが条件付きではありますが、再開を許可されました。外食産業は今回大変な大打撃を被りましたが、その再起を待ち望む声は、日増しに高まっています。安全を確保したうえで、なんとかかつての活気を取り戻してほしいと願うのが私だけではないでしょう。
 
 ともあれ、このカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ、さきに申し上げましたように、観光地としてもとても満足度の高いところなので、早く以前のようにレストランを再開し、たくさんの人に知ってもらいたいおすすめのスポットであります。

 

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