2020年10月18日日曜日

今カメラ界は動乱の時代

 富士フィルムの攻勢が始まる

  


 先日eBayのオークションで富士フィルムのAPS-C機のX-T200(Bodyのみ)、リファービッシュ(新品扱い・再調整品)が399ドルという破格値で出品されているのを見ました。あまりの安さに目を疑いました。出品者はeBayでも販売実績を保証されている優良リセラーです。信用のうえでも問題なし。現物写真もピカピカの新品そのものに見えます。「うわコレ、買いかも・・・」と思った時にはもうBIDのボタンを押していました。もう典型的な衝動買いですね。あとは入札期限まで約2日。その時点で二人しか入札者はおらず、多少競り上がっても500ドルにはなるまいと高を括りました。「ふっふっふ。久しぶりにいい買い物できそうだな」



 そう思った数時間後です。米国の富士フィルム・カメラのウェブサイトで新機種が発表されました。その名も「FUJIFILM X-S10」。

 スペックを見て「ええっ!」をうなりました。ほとんどすべての点でさっき入札したばかりのX-T200を上回る性能です。

「しあったー!」

 声を上げて後悔するほど、このたび発表された新機種はエントリー機(もしくわ中級?)でありながらすばらしいスペックでした。サイトを読むと、フジの最新にして最高の大評判人気機種「X-T4」に迫る性能が記載されているのです。それでいて価格は半分以下だとか・・・。(まじかよ)

 とくに素晴らしいのはボディ内の6軸手振れ補正機能。これはすべてのカメラファンが待ち望むものですが、ミラーレスに関してはまだどこのメーカーも上位機種にようやく搭載され始めたばかりです。フジはいち早く下位機種に対応してくれたのです。

 次にオートフォーカスは高速化し、瞳追従にも対応しました。SONY並みに爆速とまではいかないでしょうが、サイトのビデオを見る限り必要十分な速さ正確さ。さらに、富士フィルムならではのフィルム・シミュレーションが上位機種並みに揃っています(これぞ富士フィルムの真骨頂)。さらに小型軽量を維持しつつ、グリップを大型化して使用感を向上させました。センサーももちろん最新のX-Trans CMOS、画像処理エンジンもフジ自慢の高性能「X-Processor」搭載です。

 ああ、もうこれ見たら、他社メーカー含めてほかの機種は躊躇せざるを得ません。私はいまさらながら、早まったオークションの入札を後悔しました。「頼むほかの人、買ってください」 

 げんきんなものです。数時間前まであれだけ欲しがっていたカメラなのに(X-T200ごめんね) ※幸いめでたくほかの方が競り勝ってくださいました。(笑)

 なぜこのフジの新製品がいいかというと、私的に最大の理由はそのコンパクトさにあります。有効画素数約2610万のAPS-C機でありながら重量わずか465g。幅126ミリ、高さ85ミリ。小っちゃくてすごい軽いです。私が今年買ったキャノンのコンデジPowershot G3Xは690gですからその差は歴然です。

 世間で話題の中心たるフルサイズ・ミラーレスだとこうはいきません。レンズも当然大きくなるので、私の理想とする「チャンス優先」からは遠ざかってしまうのです。この富士フィルムのX-S10のサイズ感なら薄型の単焦点レンズなどを付けて容易に持ち運びができます。



 ここまでくると、画質や機能に勝るAPS-C機に食指が動くのも致し方ないのです。それにしても、キャノンやソニー、ニコンではなく、富士フィルムがこういうものを低価格で出してくるとは意外でした。フジは数年前から新しい方向性を明確に打ち出していますが、いよいよフジの巻き返しが本格化すると、私はにらんでおりますね、はい。

 

 それはさておき、個人的な話ですが、正直なことを申し上げましょう。

 私はずっと以前からコンデジ支持派でした。でしたというものなんですが、最近のデジカメ発表の動向を見ていて、それがちょっと揺らぎつつあります。(ちょっとどころじゃないかな。動揺してます)

 その第一の理由は、上記のように「ミラーレスの小型軽量化が著しい」ということです。

 私がなぜいままでコンデジを支持してきたかというと、何よりもまずシャッターチャンスに強いという利点からです。常にポケットやバッグに入れて、いざという時、さっと出してオートで撮れる。これがストリート・シューターに最も必要とされることだったからです。 

 その次にスマホの台頭があります。近年スマホのカメラ性能が急激によくなって、もはやコンパクト・デジタルカメラに拮抗する性能のものが出てきました。それによってコンデジの存在理由が問われはじめたのです。これはコンデジとともに生きてきた私には悲しいことで、なんとしてもコンデジの消滅を止めたいと思ったのです。

 カメラにはカメラならではの良さがあります。スマホで兼用できる範囲を超える、撮影の楽しさをどうしても存続させたいのです。そういう理由でずっとコンデジを応援してきました。それは今後も変わりません。

 ただ、より良い写真のためなら、ある程度の携帯性を保ちかつ高性能であることはいいに決まっています。ついこの間まで、携帯性と高性能を両立できるカメラなどずっと先の話だと思っていたのですが、どうやらもうそれは始まっていたのです。

 ていうか2020年はその嚆矢となる年だったのかもしれません。プロレベルの人でも自撮りがもはや当たり前になり、これからVlogを始めようという方も急増中です。小型化は必然の流れでしょう。これまでの一眼は入門機でさえレンズ込みで700g、800gが当たり前だったことを考えれば、長足の進歩です。レンズのサイズには限界があるでしょうが、こと本体に関してはまだまだ改良の余地があるでしょう。

 そういったわけで、コンパクトなデジカメは今後も肌身離さないのですが、小型で軽量ならフルサイズであろうがAPS-Cであろうが、注目せざるを得ません。そういった理由で今回発表された富士フィルムのX-S10は今一番気になるカメラです。キャノンやソニーなどからも魅力的な入門機が出ていますが、小型軽量でボディ内手振れ補正、高性能オートフォーカス、バリアングル、タッチスクリーンが備わり、かつ富士フィルムならではのフィルム・シミュレーションが使える本機は一歩抜きんでている感があります。ここは十分慎重に発売日まで検討する必要があると考えているところです。

 いずれにせよ今後のカメラ開発に目を離せない状況、来年も続きそうですね。


 そういうわけで、いまカメラに対する気持ちは揺れに揺れ動いている時期です。カメラ業界全体の動向もここ数年が過渡期でしょう。これまで一眼レフ中心だったカメラが間違いなくミラーレス、小型化へとシフトしつつあます。業界全体が盛り上がって、より良い製品が世に出ることを望むばかりです。


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