2020年10月19日月曜日

今が見ごろの秋

 ハドソンバレー秋景


 いきなり上のような変な画像を載せましたが、なんだかお判りでしょうか?

 幾何学模様?

 ロールシャッハ・テストの絵?

 何かのゲームに出てくる異次元の入り口?

 いえいえそのようなものではありません。

 大自然が作り出す美しい風景にちょっと手を加えただけのものです。

 はい、これは湖面に映る紅葉の森の景色を加工してタテ90度に傾けたものです。実際の写真は下のものとなります。


 とある自然公園の池を訪れた時に撮った写真です。空気が澄んでいて、太陽の光のさす角度も程よく、じつに見事に湖面が鏡のように輝いていたのです。まさにシンメトリーの美。わたしはこういった写真が昔から好きで、デザインの一部に取り入れたりしていました。

 あまり知られていないささやかな場所にも、グッとくる自然美があり、それを一番発見しやすいのがこの「秋」という季節じゃないでしょうか。


 さて。

 すっかり秋めいたニューヨークですが、ここハドソンバレー周辺はもうどこへ行っても、色とりどりの紅葉が楽しめます。車を運転していると、その美しさについ目を奪われ、運転がおろそかになります。気を付けなくてはなりません。加えて、今年は例年になく多くの観光客がこの界隈を訪れ、週末は大混雑となります。通常は学校が夏休みの間、家族連れを中心に賑わうハドソンバレーなのですが、今年は今頃になって、夏場をしのぐほどの人出となっています。


 これは間違いなくコロナ・ウィルスの影響でしょう。ひとつ考えられる要因は、夏のあいだ国民は自粛気味だったので、その反動が今になって表れているのだと思われます。とりわけ都市部にいた人たちは、逃げ場がないというか、閉塞感漂う都会の建物に閉じこもって相当鬱積した感情があったのではないでしょうか。夏の間は我慢し、ようやく警戒レベルが下がった今の時期を見計らって、堰を切ったように郊外へ飛び出し始めた、そんな状況がいま表れているのだと思います。


 通常の秋の行楽でも、このあたりの町はたしかに賑わうのですが、いまは尋常でない人の多さです。わが町コールド・スプリングは各駅停車の止まる小さな町です。平日は町の中心であるメーンストリートも閑散としたじつに平凡なところです。

 が、週末ともなると、いったい何をしに来たのか、とのけぞるほどの人の群れでごった返します。その多くはトレッキング目当ての人かと思いきや、家族連れや友人とただ町をブラブラし、レストランで食事をするだけの行楽客が実に多いことにびっくりします。おかげでストリートは町外からの車で埋め尽くされ、私たち地元の住民の車の置き場がなくなってしまうほどなのです。


 コールド・スプリングはいまそれぐらい賑わっているので、都市部から、あるいは他州から来る方は、十分考慮し、事前情報を得てから旅行プランを立てるようお勧めします。そうでないと、昼頃来ても駐車スペースがなくて、町内をぐるぐる回るだけで時間を無駄にしてしまいますから。


 そんななか、ハドソンバレーの地元の住民はどうしているのでしょうか。じつは多くの住民は、逆にひと気の少ない、なるべくマイナーな隠れ家的な行楽スポットを探し当ててさまよう傾向にあります。みんながみんなというのではありませんが、うちの子供の親御さんたちに聞いてみると、異口同音に「あそこ知ってる?」「ここ行ったことある?」と知る人ぞ知る地味目で渋くて静かなおすすめスポットを教えてくれます。いずれもハドソンバレーの周辺で、車で40分かからないところばかりです。

 自分も聞いたこともない、秘密のトレイルを教えられたり、情報交換するといろいろ新発見があって面白いです。


 今朝はそのなかでウェストポイントの近くにあるフォート・モンゴメリーという鄙びた町の公営公園に行ってみました。冒頭の鏡のような池と森の写真がそこです。

 それは見事な紅葉の森があって、日曜の朝方はほとんど人もいません。森は緑と黄色とオレンジが混ざり合い、背景となる空の青と組み合わせて、それはもうじつに調和のとれた自然美を堪能できるのであります。


 そんな感じで、ここ一週間ほどは時間の許す限り、静かで人の少ない紅葉の見ごろな場所求めて、あちこちカメラ片手にさまよいました。気候もいいので、歩いても汗もかかず、本当に心地よい季節です。

 そういうわけで、いろいろ秋の空気感がする写真を撮って出ししました。私のような写真の素人でも素材の素晴らしさに助けられ、けっこういい風景が撮れたりします。紅葉というとどうしても鮮やかさを求めてしまいがちなので、なるべく調和ということを念頭に、歩き回りました。かえってそのほうが秋らしい風景に出会えるものですね。


 いまさらながら、うちはわざわざ遠方に出かけなくても、そこかしこにいい景色がある素敵な場所なんだなと感じました。

 みなさんもこの空気の澄んだ季節、改めてご自身の住む界隈を見直してみてはいかがですか。きっと小さな秋が見つかると思いますよ。



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