2020年10月29日木曜日

ハロウィン:日米の温度差

お祭り気分でGo Go Ghost



 毎年ハロウィンの季節になると、日本での盛り上がり状況などを伝えるニュースに違和感を覚えます。

 日本でも年々ハロウィンのお祭りが拡がってきているというのですが、本場アメリカのそれとはずいぶん似て非なるような気がします。

 実際に自分が日本人のハロウィンを見たわけではないのですが、報道によると、ただの若者のコスプレパレードやパーティに終始しているような印象を受けます。もちろん小さなお子さんたちも仮装を楽しんでいるのでしょうが、一番盛り上がっているのは、ティーンや20代の若者のように見受けられます。これはもちろんアメリカとも重なることは確かです。特にニューヨークなど都市部の若者が仮装してストリートを練り歩くさまは、渋谷で毎年展開される暴走気味のハロウィン騒動と同類の空気を感じます。



 私もかつて面白半分でマンハッタン、ソーホーで盛大に行われたハロウィン・パレードに参加したことがあります。私は顔を白く塗った子供向けのコミカルなピエロに変身したのですが、これが逆効果。同じピエロ被りの集団に囲まれ、押しくらまんじゅうのようなボディ・アタックを受けました。そのピエロたちはいずれもホラー映画かゲームから飛び出したような凶悪そのもののいでたちで、まさになにするかわからんような輩でした。

 当時の現場はモンスターや奇怪な化け物の跳梁跋扈するカオスの世界で、酒に酔った(あるいはクスリでラリッた)怪物たちが好き放題暴れ、踊りまくり、なにが起きてるのかわからない状態でした。それ以来私は都会のハロウィンには近づかないようにしています。

 近年はすこし落ち着いてきたのか、大きなニュースになるほどのトラブルは起きていないようです。



 アメリカと日本のハロウィンの最大の違いは、根底的な意識の違いにあると思います。

 日本人はクリスマス同様、西洋の人間が楽しむお祭り騒ぎを見て、「なんだか楽しそう」と軽いノリで乗っかってきた感があります。単にホラーっぽいものに仮装してお祭り騒ぎをしているだけ、に見えるのです。

 アメリカ人は少なくともハロウィンの本来の意義というものが意識のどこかにあるのでしょう。都会で羽目を外す人たちを除けば、9割以上の国民が、穏やかに万聖節の夜を過ごしています。

 ハロウィンの最大の主役は「トリック・オア・トリート」を楽しむ小さな子供たち。このお菓子目当てで家々を回る行事こそが、現代ハロウィンの最大の特徴です。


 小さい子のいる家庭では、何週間も前から、仮装のアイデアを考え、当日どんな衣装でトリック・オア・トリートを行うのか、家族で話し合って決めていきます。たんに店で売っている衣装をそのまま着込む子から、親の協力で、手作りのユニークなコスチュームを作る子供まで様々です。また仲のいい近所の子供たちとグループで行動することもあり、一つのテーマを決めて統一色を出す子供たちもいます。
 一方で子供がいるいないにかかわらず、多くの家がハロウィンを祝うため、家の周りをハロウィンのテーマに沿って飾りつけします。
 我が家も子供が大きくなったので、もっぱらこっちの装飾に力を入れています。毎年少しづく違った趣向を凝らすのですが、今年はちょっと自粛気味で行きます。でも住民の多くはは町がオレンジ色のパンプキン・カラーに染まっていくのを楽しみにしています。
 
 とにかく時間とエネルギーを割いてでもハロウィンの日に向けて全力で準備する家族が多いですね。当日は地域にもよりますが、人口密度の高い町では、まだ日のあるうちからちっちゃなコスプレ・キッズが大挙して通りに出現します。基本親が同伴する場合が多く、夕方から町はなんだかワクワクする楽しい雰囲気に包まれます。我が町のまわりにもここぞとばかりに、かわいい魔女やゾンビやモンスターが出現し、家々を訪ね歩きます。どの家庭も用意したお菓子を持って玄関を開け、笑顔で子供たちにお菓子を手渡す、これこそがハロウィンのメイン・イベントなのであります。
ここが本場と日本の一番大きな違いですかね。
 残念ながら、今年は知事からの自粛要請もあり、ハロウィン関連のすべてのイベント、催しがキャンセルか縮小になる見込みです。それでも精一杯できる範囲でハロウィンを楽しもうという家族は多いはずです。なんとかトラブルもなく、それなりに盛り上がるハロウィンになってほしいものです。

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 ハロウィンとは:

 まず、アメリカの現代のハロウィンについて、いくつかのトリビアを紹介します。

・年間販売されるお菓子の4分の1はハロウィンのために購入されています。

・アメリカ人は毎年約80~90億ドルをハロウィンに費やしており、クリスマス以外では最大の商業的祝日となっています。

・個人のハロウィンのための平均的な支出は80ドル以上です。

・2020年の子供の仮装のトップ5は、プリンセス、スパイダーマン、スーパーヒーロー、ゴースト、バットマンとなっています。

・毎年、ペットのためにコスチュームを購入するアメリカ人が増えています。2020年に最も人気のあるペットの衣装は、かぼちゃ、ホットドッグ、スーパーヒーロー、猫、バンブルビーです。



ハロウィンの歴史

 焚き火に火を灯して幽霊を追い払う伝統は、古代ケルトのお祭り「サムハイン」(「夏の終わり」の意味で、「ソーウィン」と発音)から始まりました。もともとは11月1日に始まるケルトの新年を祝うお祭りでした。ケルト人は2,000年前にアイルランド、イギリス、フランス北部に住んでいたため、収穫を迎え、「一年のうちの暗い半分」つまり冬はしばしば死と関連付けられていました。

 ケルト人は、新年が始まる前夜に、生者と死者の世界の境界が曖昧になり、死者の亡霊が地上に戻ってくると信じていました。この日は、秋分点と冬至の中間地点で行われました。祝いは祈りでもあり、宗教儀礼の一環として、牛を犠牲にすることもあった。

 8世紀のイタリアでは、教皇グレゴリー3世が11月1日をすべての聖人を称える日と定めたことから、キリスト教の祭典である「万聖人の日」が誕生しました。ブリタニカ大百科事典によると、この日は「異教徒の祝日をキリスト教の祝日に取って代わらせるため」に選ばれたのではないかと言われています。

 メインイベントの前の晩は、オール・ハロウズ・イブとして知られるようになりました。「ハロウ」という言葉は、聖なるものや神聖なものを意味する古英語に由来しており、時が経つにつれて、10月31日のオール・ハロウズ・イブはハロウエン=ハロウィンと短縮されていきました。

 アメリカが最初に建国されたとき、ハロウィンは植民地時代のニューイングランドでは、プロテスタントの厳格な信仰体系のためにかろうじて祝われていましたが、メリーランド州や南部の植民地でははるかに一般的でした。しかし、19世紀の後半になると、新しい移民がアメリカに殺到しました。これらの新しい入植者の流入(特に、飢饉から逃れるためにやってきた何百万人ものアイルランド人)は、現在私たちが楽しんでいるハロウィンの国民的なお祝いを普及させる中心的役割を果たしました。


現代のハロウィンの伝統の起源

 私たちが今でも現代世界でハロウィンと関連付ける伝統の多くは、サムヘインに由来しています。サムヘインを記念して、ドルイド(異教の宗教指導者)が巨大な焚き火に火を灯し、ケルト人の神々への生け贄として作物や動物を燃やしました。

 ケルト人はこの祝典の間、動物の頭や皮を使った衣装を身にまとい、お互いの運勢を占っていました。お祝いが終わり、家に帰ると誰もが神聖なかがり火で囲炉裏に火を灯し、やってくる長い冬に備え、身を守るために焚き火をしていました。

 万霊の日もサムヘインと同様に、大きなかがり火やパレード、聖人や天使、悪魔に扮した衣装を着てお祝いされました。

 アメリカでは、入植者の伝統が最初に形成されたとき、ヨーロッパの異なる民族グループとアメリカンインディアンの習慣が混合したと言われています。
 アメリカ版のハロウィンが始まったのはここからなのです。この初期のお祝いには「プレイパーティー」と呼ばれ、コミュニティは死者の話を共有したり、お互いの運勢を話したり、ダンスや歌を歌ったりするために集まってきました。

 パーティーはヨーロッパの伝統を取り入れ、時が経つにつれ、仮装をして家を訪ねて食べ物やお金を要求することを含むように発展しました。これが今日の「トリック・オア・トリート」の伝統となりました。その後、ハロウィンを幽霊、いたずら、魔術のルーツから切り離すことは難しくなりましたが、これらの特徴を持つハロウィンには破壊行為も含まれていたため、この2つを切り離す動きがあり、時が経つにつれて(1950年代までに)ハロウィンは迷信的で宗教的な意味合いのほとんどを失いました。今のように、パーティーを中心に祝うものへと変化していったのです。


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