2020年11月22日日曜日

日本の評価:2020

アメリカで評価される日本



 US News And World Rewport誌の発表によると、ベスト・カントリー・ランキングで日本は今年世界で第3位になりました。おめでとうございます。(拍手)


 何の話かと言いますと、これは時事解説で知られるアメリカの有名な雑誌「USニュース&ワールド・レポート」が毎年行う国別ランキング調査の結果です。この雑誌は(雑誌というか昔は週刊誌だったのですが今は電子雑誌のみ)政治、経済、社会問題を中心に様々なレポートをする報道メディアで、雑誌関連の規模で言えば、「TIME」「newsweek」に次ぐ人気を誇ります。US News And World Rewportは毎年行われる大学ランキング(College and University Rankings)が人気で、ある種の権威にまでなっていますが、この国別ランキングも年を追うごとに、影響力を増してきています。
 その国別ランキングというのは、Adventure, CItizenship, Cultural Influence, Entrepreneurship, Heritage, Movers, Open for Business, Power, Quality of Lifeという九つのジャンルごとに国家のランキングを作り、それらの総合順位で一番高い国家をその年の一番優れた国と認定するものです。


 九つのジャンルがちょっとわかりにくい判断基準なのですが、今年日本を総合第3位に押し上げたジャンルの一つ、Entrepreneurshipを見てみましょう。
Entrepreneurshipとは起業家精神のことですが、ようするに企業に最適な国という意味です。この部門のランキングで日本はドイツに次いで堂々第二位なのです。その理由を読むと、

ーーー各国が国民に繁栄をもたらすためには、デジタル時代、いわゆる第四次産業革命の中でグローバルに競争できる産業を見つけなければなりません。一方で、各国の経済における格差の拡大が懸念されています。世界経済フォーラムの「世界競争力報告書」の中で、著者はこのような課題について次のように述べています。「現在の経済的アプローチでは人々や社会に十分に貢献できていないという認識が定着しつつあり、人間中心の経済発展の新しいモデルが求められている」と。
 2020年ベストカントリーランキングは、グローバルマーケティングコミュニケーション企業VMLY&RのユニットであるBAVグループとペンシルバニア大学ウォートンスクールとのパートナーシップにより作成されたもので、4つの地域から2万人以上の世界市民を対象に調査を行い、73カ国を75の異なる指標で評価した調査に基づいています。
 起業家精神のサブランキングは、世界とのつながりがある、教育を受けた人口が多い、起業家精神がある、革新的である、資本へのアクセスが容易である、熟練した労働力がいる、技術的な専門知識がある、透明性の高いビジネス慣習がある、インフラが充実している、法的枠組みが整備されている、などの10の属性から、その国の起業家精神に関連するスコアを均等に加重平均したものです。起業家精神」のサブランキングのスコアは、9つのカテゴリーの中で最も高い18%のウェイトを占めています。
 ドイツは、昨年のランキングでは一時2位に後退した後、再び1位を獲得しました。ドイツのスタートアップ・シーンの顔であるベルリンには、世界中の起業家を惹きつけ、コワーキング・スペースやコミュニティ・ネットワーキング・イベントを提供する起業家ハブが数多く存在しています。東アジアの国は2008年の金融危機から徐々に回復してきましたが、リスクに対する文化的な嫌悪感とスタートアップのための資金不足が課題となっています。
 日本、米国、英国、スイスが最も起業家精神旺盛な国として上位5カ国を占めています。ヨーロッパ、環太平洋地域、北米の国々は、いずれも新しい試みを支援するための資源を持っている経済国であり、ランキングの上位を独占しています。ーーー

 なるほど日本は諸外国と比べて、ベンチャー企業などが比較的成功しやす国家なのですね。個人による起業も一時期に比べてよくはないとは言われていますが、他国では起業の失敗率がもっと高いということです。

 ジャンル別ではこのほか、Moversが第5位、Cultural Influenceが第6位となっております。
どちらも「影響力のある」という意味でしょう。でもそれぞれ具体的な違いは不明です。おそらく日本には他国に影響を及ぼすような経済的力が認められるというような意味だと理解します。日本人自身は無自覚ですが、けっこうよその国からは意識されてるのだなと思いました。
 ちなみにMoversのランキング一位から順に、アラブ首長国連邦、インド、中国、エジプト日本というランキング。Cultural Influenceでは一位イタリア、フランス、スペイン、あめりか、イギリス、日本の順です。

 総合一位はスイス。二位はカナダ、三位が日本です。誰もが認める実質の国力ナンバーワンのアメリカはこのランキングでは7位。なのでこのランキングイコールどうだというのはイマイチはっきりしません。しかしそれでもこの結果のように日本がいろんな分野で目立った結果をだしたゆえの総合三位だと思います。実情を知る日本人として手放しでは喜べませんが、それでもこのような調査結果が出て誇らしい気持ちもあります。だれだって褒められるとうれしいですからね。

 逆にあまり芳しくないランキングはジャンル別の中のAdventureで34位。このジャンルの基準が一番納得いきません。ほかのランキングでは行ってみたい国アンケートなどで常に上位を獲得する日本がなぜAdventureで34位なのか? 一位を獲得したのがブラジルなので、単なる観光ではなくやはり「冒険」という意味合いでの魅力的国家のランキングなのかもしれません。

 というわけで、この調査結果で日本を総括したコメントが以下の通りです。

総合第三位:日本

ーーー世界で最も識字率が高く、技術的にも先進的な国の一つである日本は、4つの主要な島々と6,800以上の島々からなる東アジアの列島国である。日本の大部分は山と森林に覆われてるが、日本の人々は独特の都会的な生活を送ってる。長い間、隣国の文化的影響を受けてきた日本は、今日では古代からの伝統と西洋の生活の側面を融合させている。

 国の政治的統一は、紀元前4世紀後半と5世紀初頭にトレースすることがでる。文明は8世紀後半から12世紀後半に繁栄し、軍事支配のさらに多くの世紀に続いている。国は1600年代初頭から19世紀半ばまで孤立していたが、その時点で、その港は西洋に開放された。日本は1900年代に壮大な領土拡大を目指し、いくつかの国を侵略したが、第二次世界大戦で敗北した。
 日本は立憲君主制の議会制政府である。天皇は国民統合の象徴としての地位を保持しているが、実際の決定権は選挙で選ばれた政治家が握っている。
 世界第3位の経済大国である日本は、2011年の震災による製造業の混乱から大きく立ち直った。日本は自動車、電子機器、鉄鋼などの世界最大の生産国。国内総生産と雇用の面では、サービス業が経済に占める割合が最も高い。
 日本は、茶道、書道、華道などの伝統芸能で世界的に知られている。日本には、独特の庭園、彫刻、詩の遺産がある。日本には十数箇所のユネスコ世界遺産があり、日本の最も有名な輸出料理の一つである寿司の発祥の地でもある。日本は多くの武道を発展させてきた。最も有名な伝統スポーツは相撲で、その起源は8世紀にまで遡ることができる。
 日本の政治家の中には、北朝鮮の核ミサイル問題で緊張が高まっていることから、戦後の平和主義憲法の改正を求める声もある。北朝鮮の指導者である金正恩氏の継続的な核実験と東アジアでの脅威は、日本がアメリカの防衛にコミットしていることをワシントンに保証することを求めるようになった。国内では、日本は世界最高齢の人口と、少子化の経済的な影響と闘っている。
 日本は国連、アジア開発銀行、世界銀行などの国際機関に加盟している。ーーー

 日本は客観的に概観するとこんな国だということが分かります。肝に銘じておきましょう。


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