2020年11月19日木曜日

コンデジが消えていく

 カメラ業界の今



 スマホ・カメラに限界を感じて、カメラを新たに購入検討している方。そんな人が昨今本核的なカメラに目を向けつつあります。ただそのギャップが気になります。

 日本を含むアジア圏ではVlogが急速に伸びておりそれ相応の小型軽量カメラの需要が伸びつつあるのですが、アメリカはいまかなり混乱しております。

 といいのもカメラメーカーの8割が日本なもので、どうしても商品選びも日本発のものに引っ張られるのです。しかし、先述のように、欧米ではスマホのつぎのカメラを探しているのに、いきなりフルサイズ・ミラーレスに手を出してしまう人が急増しているのです。むかしはコンデジ、APS-Cと段階を踏んでステップアップしていくのが普通でしたが、昨今の強力なフルサイズ押しの流れにすっかり巻き込まれてしまっているのです。

 実際に今年も次々と魅力的なカメラが登場しましたよね。カメラ不況と言われる逆風のなか、しかもコロナという思わぬ伏兵によって、停滞を余儀なくされた中でもよくこれだけハイレベルの新製品ラッシュができたな、と各社の健闘に拍手を送りたいです。

 ただどうしても指摘しておきたいのは、今年は良くも悪くも去年に引き続き、フルサイズ・ミラーレスのカメラにだけスポットが当てられた感が強いでした。よって新規顧客もフルサイズにしか目を向けられない状況になっているのです。

 今年出た主だったカメラは以下の通りです。

CANON EOS R5, CANON EOS R6

SONY a7C, SONY a7S III

NIKON Z5, NIKON Z6II, NIKON Z7II

LUMIX S5

 性能といい、品質といい、いずれ劣らぬ超豪華なそして高価なラインアップです。これらのカメラはすべてカメラ関連の情報媒体で高く評価され宣伝されていました。価格ドットコム等のカメラ評価サイトなどでも、発表されるたびにどの機種もバズりましたし、なによりインフルエンサーの有力YOUTUBERさんたちが競うように速報で実写レポートを連発して多くのカメラファンの購買意欲を掻き立ててくてました。

 昨今、新製品の宣伝はテレビコマーシャルよりネットの口コミでいかに広く流布させるかが課題となっております。より低予算で効率的にカメラの紹介をできるYOUTUBEなどは格好の宣伝ツールとなっており、ネット経由での販売競争がより激化する流れはもはや止められないでしょう。実際YOUTUBERさんがよくやる新製品開封の儀。あれによって商品はもはや店頭に出かけて買うのではなくて、ネットで注文して配達してもらうのが主流、のような印象を受けるようになりました。確かに通販で梱包された箱を受け取って開ける、あのワクワク感は映像にしてもしっかり共感をもって受け止められます。まったくいいところに目を付けたものだと思います。

 それにしても、一台30万前後もするカメラなどでも、いまはオンライン決済で、安心して受け取れる時代なのですね。

 話はそれましたが、いまカメラはこうしてもっぱらハイエンド機ばかりが脚光を浴びるようになりました。それまで主流だったAPS-C一眼レフ・カメラはどこへ行ったんでしょうか。各社今後の開発計画で明らかにはしていませんが、今年の発売状況を鑑みると、もはや間違いなくメーカーの力点はフルサイズ・ミラーレスへシフトしたといって間違いないようです。勿論ユーザーのレンズ資産は無視できないので今後もゆるやかにそれなりのペースでしばらく製品は出るのでしょうが、流れはもう明確です。ファンもそれを悟って、徐々にシステムの移行を検討しているはずです。

「しょうがねえな」とカメラファンは表向きメーカーへの不満を漏らすものの、本心では新しいシステムの構築を夢想しワクワクしてしまうのです。それがカメラファンというものです。いまは各社フルサイズ対応レンズの布陣充実化が急務となっており、来年も限られた予算の多くをレンズ関連の開発、製造に割いていくことになるでしょう。

 そうなると必然的にしわ寄せがくるのがローエンド商品群です。今年の新製品状況を見てもコンパクト・デジカメの出る余地はなかったようです。SONYとパナソニックからVlog用の比較的ビギナー向けカメラが出て話題になりましたが、それより下位の1/2.3インチセンサーのコンデジに至っては新製品皆無という悲惨な年になってしまいました。本当にコンデジの未来は真っ暗な状況に突入しました。現行モデルがどこまで続くのかが存続のカギとなるほど情けない状況。昔からコンデジを応援する身としては残念で仕方ありません。

 来年はなんとか、より高性能になったあっと驚くような新しいコンデジが出てほしいと願っております。


 



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