2020年11月23日月曜日

写真対決ふたたび

Fujifilm X-T200 vs Lumix G8



 先週富士フィルムから最新のミラーレス一眼、X-S10が発売されました。富士フィルムのカメラの中では中級レベルのものだそうですが、初心者にも扱いやすいような工夫がいろいろなされています。持ちやすい大型グリップ、モードダイアル、大きく精細な液晶画面、タッチスクリーンでのビジュアルなインターフェイス。主に操作性が向上し、今までの富士のカメラより一段と扱いやすい仕様になっているようです。にも拘わらず、中身は上位機種のX-T4と同じX-Trans CMOS 4を採用しています。さらに富士フィルもお得意のフィルムシムレーションも最新のものまですべて網羅されています。そして何といっても目玉はカメラ本体に内蔵された6軸手振れ補正システムです。これにより動画も静止画もより安定した、失敗の少ない絵が撮れるようになりました。

 以前このブログでも書きましたが、このX-S10は絶対買いだと思っていました。昨今はどのカメラメーカーも明らかにフルサイズ・ミラーレスの開発製造に力を入れており、APS-Cサイズ・センサー対応のカメラおよびレンズの発表ペースがどんどん落ちていました。SONYはガチで不動の人気を誇るa6000系のラインアップが充実していますが、ほかのメーカーはやや停滞気味と言わざるを得ません。老舗カメラの二大メーカーの一つ、NIKONは一年前に出たZ50のみ、CANONは今月ようやくEOS KISS M IIが出ますがそれでもほんの数機種です。PENTAXはペンタミラーにこだわりミラーレスには参戦しない意向ですし、OlympusとPanasonicはマイクロフォーサーズ陣営です。そんな中、じわじわとAPS-Cミラーレスで頭角を現してきたのが富士フィルムです。

 フジは現在、業務用の中判サイズのセンサーを用いたGFXシステムを除くと、APS-C機の製造に注力しており、このXシリーズのラインアップはとても豊富です。2020年11月現在、フラッグシップ機のX-H1や大人気のX-T4はじめ全部で13ものAPS-C機が販売中です。プロやハイアマチュアから中級、初心者までカバーする充実ぶり。対応レンズも現在30本と豊富で他社を突き放す勢いです。

 目の肥えたカメラファンの注目はどうしても上位のフルフレーム・カメラに向きがちですが、実際カメラを使用する初級から中級のボリュームこそが最大の購買者層なので、ここを制することが成功への近道だと思います。わたしも富士フィルムのカメラはかつてコンデジで愛用してきたこともありましたが、いまや気づくとAPS-C機を生み出す本命へと成長していたのです。そんなさなかに発売された切り札的新シリーズ第一弾のX-S10。スペックだけみても本当に欲しくなるカメラです。


 そんなさなかに私は先々週、フジの中ではエントリー機とされるX-T200を購入しました。なぜかというと、まずコスパです。X-S10は最新の技術を詰め込んでコンパクトに仕上げたもはや未来の名機になりそうですが、ボディだけで$999、標準ズームとのキットが$1399です。これでも同レベルのカメラと比較して格安だと言われていますが、私のX-T200は最近急激に値下がりしてズームレンズ込みでたったの$499でした。APS-C機ですよ。もう正気とは思えない激安ぶりです。話によると本機は今年2月に発売された新型機にも関わらず、期待したほど売れずディスコンが決定したとの噂です。しかしこれは宣伝不足が災いしたとしか思えません。残念ながらフジのカメラはアメリカの店頭で売られることは少なく、実物を見ることはなかなかないのです。私が買ったのも家電最大手のBEST BUYですが、ここにはデモも在庫もなく、オンライン販売のみでした。積極的に店頭で実機を触れる、販売戦術に長けたSONYやCANONが売れるのは当然です。しかし富士フィルムのカメラは、実際手に取りシャッターを切ると、本当に素晴らしい撮影ができるのです。販売戦略を変えればフジはきっとアメリカでもシェアをトップクラスにできる、それだけの技術と魅力のあるカメラを販売していると思います。

 X-T200を選んだもう一つの理由は、私が動画をあまり重視しないからです。動画を中心に撮るなら間違いなくX-S10は買いです。6K相当のデータ量から4K映像を生成することので、ノイズが少ないクリアな映像が富士独自の色彩で撮影できるのは魅力的ですし、他社をリードする大きなポイントです。加えて強力な手振れ機構が動きのある動画により安定性をもたらします。ビデオを始めるのにはもってこいのカメラなのです。私はスチルカメラ専用機としてX-T200を選びましたが、これでも富士独自のフィルムシミュレーションはあるし、同じレンズ資産を運用できます。なにより軽量コンパクトという私の求める最重要ポイントをクリアしているX-T200は普段使いにもってこいのカメラなのです。まだほんのちょっと試し撮りしている段階ですが、それでもこのカメラのポテンシャルは、私の期待を上回る手ごたえを感じています。

 以前、このX-T200とマイクロフォーサーズのPanasonic Lumix G8のスチル写真比較を行いましたが、どうも作例にばらつきがあり不十分に感じたので、今回あらためてより近い条件で撮影をし比較してみました。

 どちらも近いF値の標準ズームレンズを使用し、基本オートでの撮影を試みました。

 以下がその作例です。

X-T200

LUMIX G8




X-T200


LUMIX G8






X-T200



LUMIX G8




X-T200


LUMIX G8





X-T200


LUMIX G8



長年愛用しているPanasonicのGシリーズは、きりっとしたシャープな絵柄を出せて、風景撮影に最適なので気に入っていました。ところがフジのX-T200はよりリッチな発色、抑えたトーンを使い分けられそうです。しばしば狙いの斜め上を行く出来栄えの写真が飛び出すので、少々驚いているところです。これならAPS-Cのライバル機NIKON Z50やCANON EOS KISS MまたはSONYのa6000シリーズと比較してもなんら遜色はないどころかアドバンテージさえ感じております。富士フィルムおそるべし。それがいま正直な感想です。本当にいい買い物しました。
 むろん最新鋭のX-S10は上位のセンサーですし、オートフォーカスも最新最速でしょう。その他の機能も操作性も勝って当然ですが、私はこのX-T200で十分役目を果たせると思っています。なにせ半分以下の価格帯なので、差額でレンズや周辺機材を充実させた方が、ずっといいと思っているのです。


 これからカメラを始めたい人にはX-T200を、初級からのステップアップを図りたい方ならX-S10。これで決まりです。


 富士フィルムのカメラ、今後ネットでもたくさんのレビューが出るでしょうから、じっくり検討してご自分にふさわしい機種をお選びください。

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