2020年11月16日月曜日

日本車を脅かすメーカー

際立つKIAの躍進

 北米の自動車市場は世界でもっとも競争の激しい戦場と言われています。そんな中、いま一番業界で注目されている(あるいは警戒されている)のがKIA MOTORSです。
 とにかくここ数年での新車ラッシュが際立っています。KIAが最も力を入れている小型車ー中型車の部門では、モデルチェンジも頻繁でいつこんなクルマ出したの? とびっくりするぐらい短期の発売スパンで新陳代謝を繰り返しています。
 ちなみにいま北米で販売しているSUV(クロスオーバー車)は以下の通りです。

SOUL

SELTOS



SPORTAGE



NIRO



SORENTO



TELLURIDE



RIO


 かなり似通ったサイズ、スペックのクルマが集中しています、これは半端ない力の入れようです。30年以上アメリカで販売し続けているトヨタやホンダでさえ、北米で流通するSUVは5,6車種です。新興のKIA MOTORESが短期間でここまで車種を投入するのは驚異的ともいえるのです。

 KIAは90年代までは低迷していたのですが、1999年に韓国トップの現代自動車の傘下となりました。部品共有など協力体制ではありますが、北米市場では熾烈なシェアの奪い合いで鎬を削る間柄です。

 いやいや産業としてはまだ当分日本車にはかなうまい、と思っている人もいるでしょうが、とんでもない。実績から言っても、アメリカではもはや鼻の差で追いかけられているのが日本勢なのです。

 元フォルクス
ワーゲン・グループのペーター・シュライヤーがデザイン部門のトップに就任して以来、内装、外装とも車の造形が飛躍的によくなりました。彼の功績の最たるものは、車の顔であるフロントエンジングリルに「タイガー・ノーズ」と呼ばれる統一したデザインを施したことでしょう。これが実にかっこいい。BMWのキドニーやボルボの斜め線など、一目見てわかるメーカーの顔ともいえるこのデザインがKIAを躍進へと導きました。勿論デザインだけではありません。元々70年代ごろからマツダの指導で車を製造していた会社なので、技術力の蓄積は侮れないものがあるのです。 

 アメリカでもっとも権威のある品質調査会社JDパワー社の「初期品質調査部門」で、2年連続で第1位を獲得してるのはその技術力の証です。
 KIAの最たる代表作「スティンガー」をみれば、その実力は歴然です。


スティンガー



 もうめちゃめちゃカッコいいです。最初、公道で見たときはどこのヨーロッパ車かと思いました。それもそのはず、この車は
元アウディの名デザイナーと元BMW Mスポーツ部門のトップエンジニアが開発に携わり、欧州で走りを鍛え上げたクルマです。直4、2LターボとV6、3.3Lツインターボの2種類のエンジンを持つFRで、ジャンル分けではハッチバックにぞくします。それでいてもう走りはスポーツカーそのもの。名のある評論家からも、「BMW、アウディと同レベルだ。劣るところは何もありません。コーナリング、ブレーキ、パワーのすべてがハイレベル」と絶賛を受けています。

 さらに今年発売された新型SUVの「テルライドが」ワールド・カー・オフ・ザ・イヤーを受賞しました。日本車を含む、欧米の並みいる強力新型車を凌いでの受賞は快挙に値します。

 この車のフォルムもじつに堂々としていて、ヨーロッパの伝統とアメリカ車の先進性を併せ持っています。日本車でこのクラスでガチ対抗するクロスオーバーは、ホンダのパイロット、トヨタのハイランダー、日産のパスファインダーなどです。すでに定評のあるこれらの日本車は北米でもっとも競争の激しい中型車市場でもずっとトップランナーでした。はたしてこれらがKIAの猛追を凌げるのか、興味は尽きません。




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