2020年9月10日木曜日

アメリカでコンデジを応援する

勝手にコンパクト・デジカメを盛り上げる宣言


 昨今、デジタルカメラのニュースと言えば、フルサイズ・ミラーレスの話題ばっかりです。

 わかります。それはメーカー各社が生き残りと威信をかけ、最新の技術で最高の写りを競い合っているのですから、いいモノが出て当たり前です。その分かなりお高くなるもの納得の上でしょう。カメラ業界の不沈はこのフルサイズ・ミラーレスにかかっていると言っても過言ではないでしょう。

 確かに、さすが今どきのハイエンド機、これでもかと言うほど、出る度に新機軸を打ち出してきます。いいものは褒めたくなる。手にとって見たくなる。評価したくなる。SNSやYouTubeで話題になり盛り上がる。これは自然な成り行きです。コレ自体とても健全な流れで、カメラ業界を盛り上げるのに必要不可欠なことだとは思います。

 でもときどき思うのです。最先端、最高画質のカメラを扱う人って、カメラ所有者のごく一部ですよね。そういった方々のレビューや意見は、大勢の見聞きするに人に影響を与えます。あたかも、カメラファン全体を代弁するかのようにです。でもそんなに売れるんですか、昔の一眼のように。

 ええ確かに、そのカメラの凄さを聞かされているとなるほどと納得しますよ。するのですが、いざ自分がそれを買うかとなると、チョット待ってそんなにすごいスペック私に必要? という心の声があります。さらには、それじゃないといい写真、いいビデオは撮れないの? 認めてくれないの? という置いてけぼり感まで抱いてしまうのです。

 大多数の人はそりゃ資金があれば、最新のフルサイズ・ミラーレス欲しがると思います。だってその素晴らしいスペックなら、写真の技術大してなくてもプロっぽくとれるんでしょ、って思ってしまいますから。逆に言えば、ちょっと前のミドルクラスや初心者向けのカメラたち、あれもう駄目なの? 話にならないほどのスペック差で時代遅れ、役たたずってことですか。そんなことはないですよね。ええ、そんなこと誰も言ってません。でももうそんな勢いなんです。ほんの少し前、そう4,5年前のカメラでさえよほど特筆すべき美点がないと、比較さえしてもらえません。フィルム時代のカメラには名機と呼ばれリスペクトの対象となるカメラ、レンズもあったようですが今は違います。カメラ業界は凄まじいスピードでスペック更新が求められる時代になったのです。

 その一因として指摘されるのが、スマホ・カメラの台頭です。一見ハイエンドカメラと無縁の出来事のようですが、このカメラ・ハイアラキーの底辺であったはずのスマホ・カメラがあろうことか、専用カメラを凌駕するんじゃない? みたいな語られ方をされるようになりました。iPheneやファーウェイ、サムソンなどのハイエンド・スマホがあれば、もうカメラは要らないぐらいの勢いです。言ってるのはたいていスマホ側の人達ですが、たしかにノート・パソコンの画面ぐらいではその差がわからないほど、スマホのカメラ画質は向上しています。

 カメラにそう思い入れのない大多数の人にすれば、熟考の余地はありません。とにかく携帯性に優れ、手軽に写真を送受できるスマホ・カメラに画質評価が加わればもう鬼に金棒なのです。こうして底辺を支えるカメラーユーザーのシェアはあっという間にスマホに専有されていったのです。

 いわゆる旅カメラ、日常スナップ撮影で親しまれ、メーカー各社のドル箱だった売れるコンデジがどんどんスマホに食われていきました。

 メーカーとしては、この土俵での勝負はあったと見切りをつけたのか、プロダクト・ラインの力点を一気にハイエンドへとシフトしました。(すくなくとも一般ユーザーからはそう見える)

 土俵が違えばまだまだ専用カメラの生き残りは可能だと思えるわけです。事実、ココ数年、一眼レフ陣営は大幅にミラーレス・カメラの開発へと大舵をきってゆきました。これは当然の成り行きで、技術革新で小型軽量化が進めば、女性でも重さを気にせず扱えるユーザー・フレンドリーでおしゃれなフルサイズも夢ではなくなったのです。もうとにかくこの転換期、採算度外視とまでは行かなくとも、各社ぎりぎり、将来のカメラ業界に賭ける心意気でいまは開発に勤しんでいるのでしょう。

 そんななか置き去りにされつつあるのが、ビギナーにふさわしい入門カメラと、個性を全面に押し出したユニークさがウリのカメラです。

 こういったものは主流から外れ、予算さえ組み難い状況のようです。この点こそが、いま私が最も憂えるカメラの問題点であります。以前カメラが売れていた時代は、そのときどきでとっても買いたくなる(所有欲を満たす)カメラが続々出ていたものです。いまはもうそのアイデアも枯渇したのでしょうか。

 例えばカシオが全面に押し出したスローモーション機能は遊び心満点のガジェットでした。今や一眼レフでも当たり前になったチルト・アングル・モニターを導入したキャノンのコンデジもギミックが新鮮で飛びついて買ったものです。それから12倍、15倍望遠を歌ったコンデジの登場、さらにネオ一眼と謳われた超望遠ズームの大型コンデジも、新しい物好きのカメラファンの話題をさらったものです。いまや倍率50倍、60倍も当たり前ですが、当時は本当にワクワクさせられました。

 いまコンデジの売りげは全盛期の10分の1以下だそうです。毎年続々と発売された新機種の流れは停滞し、各社年に2,3台出せればいいくらいの下火と成り果てました。

 まったく痛恨の極みです。高価なフルサイズ・ミラーレス一眼は出るたびにバズって、プロや専門家が取り上げて話題になりますが、それ以外のカメラはほとんど見向きもされずに、ひっそりと発売され、メーカーのカタログに載るのがやっとです。

 しかしカメラ・ユーザーの層は幅広く、みんながフルサイズに手を出すわけないですよね。むしろ中級かそれ以下のリーズナブルなカメラを求めている人のほうが多いはずなのです。

 私はこういった状況を踏まえた上で、今後、アメリカで入手可能な新規の(日本製中心かな)コンデジはできる限り入手して、実機レポートしようと思っています。とてもニッチなレビューであまり関心も持たれないかもしれません。アメリカのブログなどでも、もはやコンデジを取り上げる人じたいあまり見かけません。しかしそんな時代だからこそ、新しいコンデジを評価したいのです。ハイエンドには比べるべくもないでしょうが、それでも美点を積極的に取り上げたい。新機種なんだから今までよりきっといい面があるはず。そんな思いで取り組みます。すこしでも多くのカメラファン、写真好きのために、こんなカメラがでてますよ、みたいなゆるーい、だけど愛情のこもったコンデジ紹介ができたらと思っています。

 かく言う私も本音ではヨダレが出るほど、新しい一眼には興味があります。しかしそちらはプロやハイ・アマチュアの方にお任せして、私は底辺のカメラ発掘に注力する所存です。

 これからもカメラ業界、写真が趣味の人たちが、力を合わせてこの分野をより豊かにするよう盛り上げていっていただきたい。そう願っています。コンデジよ、がんばれ!


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